心和のラノベ感想

1ヶ月15冊読了目標!

アクセル・ワールド5 -星影の浮き橋- 感想

アクセル・ワールド5 2010.6

 

今回は、AW5巻です。

また上下巻になるのかと思いましたが、きっちり1巻に纏まってました。スカイ・レイカーさんがヒロインに昇格するようです、的な。

あらすじ

日本のソーシャルカメラ技術の海外輸出のニュースから推測し、《ヘルメス・コード縦走レース》への参加権を得たハルユキ達。5人で参加を決めた他、パドさんやアッシュ・ローラーらも別チームで参加していた。

イベント開始後、突如として現れた加速研究会の《ラスト・ジグソー》は負の心意の力を使用し、他アバターへの過干渉を行なっていく。脱落者が増える中、ハルユキに取り憑いたクロム・ディザスターが目覚める。

感想

スカイ・レイカーこと倉崎楓子さん、しっかりネガ・ネビュラス加入!(ただし近接型) そして、宇宙を目指すイベントを通して、スカイ・レイカーの足が復活!の話でもありました。

恋愛面では、チユリと東京都庁デートに黒雪姫さんお泊まりに楓子さんお姫様抱っこ&アバターのマクス越しキス…。ハルユキ選手中々でやんすなぁ。

ぶっちゃけ軌道エレベーター云々の話は珍紛漢紛でしたねー。ふーんそうなんだーで片付けてしまった。とりあえず、宇宙でもBB(ブレイン・バースト)が繋がるようになって、それきっかけのイベントが開催されたんだなーくらいの理解度。

ただうーん、黒雪姫さんがBB内で普通に出て来ちゃって大丈夫だったんだっけ?というのが気になる。時間が経って、賞金首って感じでも無くなったのだろうか。領土戦でもこれまで出てたんだろうけど。

そして、今回も登場した加速研究会。《ラスト・ジグソー》は《ブラック・バイス》の仲間だったのか。ジグソーが憎悪の負の力でイベントで錆を侵食させ無茶苦茶にする中、ハルユキに寄生という形で残っていた災厄の鎧がハルユキに取り憑いた事で、今後早いうちに王の会議はありそうですね。

希望より憎悪が勝るのは仕方ない事とは言え、虚しいものがある。災厄の鎧もチユリのお陰で何とかなったものの、ジグソーを退ける上では欠かせないアイテムでもあったと思います。因みに、スカイ・テイカーの足はチユリの力でも治らなかったから、やはり本人の想いが大きな要因だったんだろうなと。

BBは親の愛情が少なかった人が条件に適合し易く、結構憎しみや心理的な傷が強さになり得る、何とも危なげなゲームでもあるんだなぁ。にしても、基本ハルユキの家が溜まり場になりがちだから、黒雪姫の本名は愚か家族の話とかも秘匿されてるのが気になります。

今回のbest words

どうせなら、前で抱っこしてください。せっかく二人きりですし (p.309 レイカー)

あとがき

加速研究会がSAOで言うラフコフみたいな感じですかねぇ。

アクセル・ワールドはBBだけでずっと続いていくのかな?

アクセル・ワールド4 -蒼空への飛翔- 感想

アクセル・ワールド4 2010.12

 

今回は、AW4巻です。

vs能美征二の完結編。今回もシビアな展開が続きましたが、最後に救いがあると思いながら何とか読み切れました。チユって奴は…。

あらすじ

チユリの離反によって、勝機を逃したハルユキ達。チユリを問い糺すも、素っ気ない態度のまま能美に追従するのみ。そして、学校では盗撮の冤罪を掛けられるハルユキ。

絶対絶滅の中、心意をマスターする為にタクムはニコに師事し、ハルユキはニコから紹介された《ブラッド・レパード》と能美のマッチングリストに出ない仕組みの調査に乗り出す。

感想

序盤にしてはかなりの強敵だった能美ことダスク・テイカーとの戦いが終結。一段楽かと思いきや、色々と明かされる部分や謎を残した部分もあって、今後の広がりにも期待出来るような終わり方だったなーと思います。

何と言っても、チユリが良い奴で良かった。マジで一度疑ってしまってすんませんって感じ。敵を欺くにはまず味方からか。

今回のポイントは、チユリの気持ち、タクムの心意修行、能美がどうやってネットワークを掻い潜っているか、そして最終決戦かなと思います。

まず、チユリが何故能美に従っていたかという点については、脅迫されていたのではなく、ハルユキの飛翔能力を取り戻す為でした。というのも、ヒーラーと思われていたチユリの能力が時間遡行アビリティだったから。

よく考えたら、どれくらいHPが回復するか議論がなかった訳ですが、時を戻すのであればいつでもHPを全回に出来るということになる。あれ、逆に強くなってない?という気もしますが、今後制約とか話は出てきて辻褄は合っていくと思われます。

ということで、能美の元で加速世界を無双した結果、チユリも一足跳びにレベル4となり、それによって、無制限中立フィールドに入れたり、自身を強化していたと。ハルユキらに言わなかったのは、盗聴を恐れたり、能美の隙を狙っていたりだからと言われれば、納得せざるを得ないですね。

タクムは、ハルユキから言われて初めて心意を知ったようで、黒雪姫なき現状で教えを乞う相手として、ニコが再登場。あんまり親身に教鞭を取った訳じゃなさそうなのがハカセ可哀想。

一方、ハルユキはその間にまた新たなおねいさんと別作業。赤のレギオンでメイドの《ブラッド・レパード》ことパドさん。KってOKの略なの?? 秋葉原に対戦で賭ける場所があるとは。賭け金が300円なのが世代的に優しい笑。

《ラスト・ジグソー》という能美と似たシステムを利用したユーザーは取り逃したものの、《イエロー・レディオ》とかとも関係ありそうですねぇ。

因みに、このネットワークの話は、旧世代の脳に埋め込むBIC(ブレイン・インプラント・チップ)によるものらしい。技術の革新とその規制の難しさというか、使い方次第だなーと思います。

最終決戦は、無制限中立フィールドでのポイント全賭けの負けた側がバーストリンカーの資格を失うというものでした。待ち伏せがないように、時間をコロコロ変えるというのが面倒ですね笑。

結果的には、チユリの協力や黒雪姫が沖縄から15時間掛けて駆け付けたりで勝利を収めるんですが、《ブラック・バイス》という能美の協力者の謎は残ったままでした。能力然り、加速世界でも通常の時間の流れでいられるとか。

明らかにされた点としては、バーストリンカーから退場した能美がそれ関連の記憶を全て失っていたこと。これは何となく予想出来た事とは言え、このゲームの恐ろしさの序章という感じもします。

そう言えば、自身の弱点とかトラウマみたいなものがアバターの能力に反映されるブレイン・バーストですが、能美は兄から搾取され略奪された過去があったようです。あー、自分の経験を他人にやっちゃうやつか…。実は、タクムも昔剣道の先輩からイジメに遭っていたというのも意外でした。喉を突かれるとは怖すぎる。

今回の教訓は、信頼して仲間を作ろう、ですかね。

それから、スカイ・レイカーさんが遠距離要員として、ネオ・ネビュラスに入ってくれたらバランス良さそうだけれども、レイカーさんはどこのレギオン所属なんでしょう? 今は無所属なのかローラー君と同じ?

今回のbest words

そ、そんなの、カレーの恩をハヤシで返すようなもんだろ! (p.48 ハルユキ)

あとがき

爆弾あんだぎーをちゃんと買ってくる黒雪姫さん可愛い。これもう両想いですよ。

チユリが上半身下着姿を見せた意味って…? 体はハルユキのものだという主張?!

筆者あとがきで、本だとページ数で物語の一区切りが物理的に分かってしまうからこそ、この話を上下巻にしなかったと言われてて、理由が分かったのは良かったですね。

アクセル・ワールド3 -夕闇の略奪者- 感想

アクセル・ワールド3 2009.10

 

今回は、AW3巻です。

黒雪姫さんの水着姿という甘いシーンもありながら、全体としては結構読者にダメージを与えるというか毒もあり、そして早く続きが気になる終わり方でした。

あらすじ

2年生に進級したハルユキは、チユリと転校してきているタクと同じクラスになる。1年生の中にバーストリンカーがいなさそうとの事で安堵する一方、アバターを得たチユリの能力はかなり希少な回復術師だった。

剣道部に所属することとなったタクは、模擬戦で1年の能美征二に敗北する。その動きは明らかにバーストリンカーを匂わせるものだったが、学内ネットワークには名前が表示されていなかった。調査を進めるハルユキだったが、能美の罠にハマってしまう。

感想 

アクセル・ワールドも3巻となり、これまでの下敷きがある事でかなり面白さを感じるようになってきました。個人的には、ハルユキにとって最初のバトル相手であったアッシュ・ローラーの喋り口調だったり、良い感じのライバルみたいな立ち位置になっていたりが面白かったです。

今回の話としては、謎の新入生が襲来!という所でしょうか。黒雪姫が修学旅行で不在にしている間に襲いかかる悲劇が、それなりに大事という。次回に続くという終わり方だったので、能美が何者でどういう絡繰りを使ったのかが不明なままなんですよねぇ…。兄の存在も仄めかされていましたし。

とりあえず、チユリに関しては問題なくアプリの資格をクリアしたばかりか、争奪戦が予想されるヒーラーという。その辺りは動きがなかったものの、ラストで何故能美を助けたのかは気になる所です。

能美の罠に関してはまず、シャワー室の男女を惑わさせる事でハルユキを女子更衣室へと入らさせしめました。謎に容量が多いデータには気を付けよう…。チユリの裸挿絵は中々に衝撃的でしたが、何とか大事には至らず。それでも、隠しカメラを見つけさせることで、二重の罠を仕掛けているとは能美くんしたたか過ぎる。

それから、ハルユキの飛行能力を奪うという必殺技。これはえげつない。バトル中だけとかそんな事はなく、バトル後も奪ったままとかそんなんトラウマになるぜ…。これを以て、ハルユキをポイントを貢がせる犬にしようとしたと。

そんな絶望的で自暴自棄に陥ったハルユキを助けたのは、アッシュ・ローラーでありその親のスカイ・レイカーでした。この立ち塞がった壁に対しての修練という流れは、バトル物ではお決まりですね。

にしても、心意というゲームシステムを思いの力で捻じ曲げる概念は、SAOアリシゼーションなんだよなぁ。いや強化外装の時からおやおやと思ってたけども。筆者あとがきで、ゲーム小説としては禁じ手みたいにかかれてましたが、別にありなんじゃないかなーとは個人的に思います。途中でそういう概念が…となると話は変わりますが。

必死の登攀で力を得て、強化外装まで貸してくれたスカイ・レイカーは、何と黒雪姫と昔仲間だったらしい。色々あったけれど、ゲームに没頭し過ぎて現実を疎かにするなとか良い事言ってました。あと、黒雪姫と違って巨乳らしい()

あとは、タクの友情にも感動しました。ハルユキが翼を奪われてからというもの喋れなくて喧嘩をしたりしたものの、タクはタクで能美の弱点を独自に調べて、ハルユキの力になろうとしていたと。心強い。

ただまー能美も底が知れない所があって、コイツ自身も心意を駆使していて、2vs1で何とか追い詰めたものの、最後のチユリなんだよなー。続きが気になります。

今回のbest words

あ、言っておくが私の能力を超えるお願いは無理だからな。鼻からスパゲッティ食べるとか (p.65 黒雪姫)

あとがき

バーストリンカーを現実に利用するのが羨ましいですねー。カンニングし放題だったり、精神と時の部屋だったり。

口絵がどれも良かった!

アクセル・ワールド2 -紅の暴風姫- 感想

アクセル・ワールド2 2009.6

 

今回は、AW2巻です。

のっけから妹登場というスタートから、そこそこシビアな展開を辿りつつも1冊として纏まったストーリーで面白かったです。

あらすじ 

レベル4まで駆け上がったものの、飛行の対策が練られ始め絶賛停滞中のハルユキ。

「おかえりなさい、お兄ちゃん!」

そんな日常を打ち破ったのは、そんな一声だった。家に帰ると、身に覚えのない妹が待ち構えていた。ハルユキのいとこを騙った上月由仁子(ニコ)は、レベル9《スカーレット・レイン》こと赤の王その人であった。

ユニの狙いは《災禍の鎧》の破壊。クロム・ディザスターという伝説的バーストリンカーの置き土産とも言うべき強化外装は、持ち主の精神を汚染するという。現在の所有者はユニの属する赤のレギオンメンバーであり、《無制限中立フィールド》へ討伐に向かうのだが、そこに黄の王の横槍が入り…。

感想

赤の王が現実的に接触してくるという衝撃の出だしでしたが、ニコのストーリーとして綺麗に着地していたので良かったです。

バーストリンカーは最年長でも高校生くらいで、小学生にしてマセてるニコもナマガキではあるんですが、良いキャラクターではありました。

話としては、《災禍の鎧》という所有者を捕食者へと変えるアイテムがあって、その破壊をニコがハルユキらに手伝って貰うという感じ。ニコがそれに拘るのは現所有者がニコのゲームにおける《親》だから。出藍の誉が当人を追い込んでた面もありそうです。

《無制限中立フィールド》については、モンスターが出てきたり、プレイヤー同士で戦うことになったり、離脱がポイントに行かないと出来なかったりという認識で良いかな。

そこで、黄の王が罠を張ってて、ニコの断罪を狙っていたと。しかしながら、当時《災禍の鎧》がポップした際に隠していたのは黄の王で、今の所有者を唆した疑いがあり。

黒雪姫も当時のトラウマが色々ありつつ、何とかハルユキが頑張って事態を終息させたという所だけれども、クロム・ディザスターの怨念はまだ消え去っていなさそうなのが怖い所。

それから、《災禍の鎧》に取り憑かれていた本人は現実では無事そうだったので、良かったですね。ニコもその男の子も孤児だったらしく、そういう設定はSAOっぽさも出てるなぁ。

黒雪姫×ユニの百合もありです。

今回のbest words

お帰りなさい、おにーいちゃん! (p.339 ニコ)

あとがき

チユリもバーストリンカーになれるのかどうか。

筆者あとがきは、ツーリングで牧場に行って猫にパンを掻っ攫われる話。ほのぼの。

アクセル・ワールド1 -黒雪姫の帰還- 感想

アクセル・ワールド1 2009.2

 

今回は、AW1巻です。

第15回電撃小説大賞の大賞受賞作。と言うより、SAOで有名な川原礫さんのデビュー作ですね。SAOとも比較しながら読み進めていきたいと思います。

あらすじ

有田晴雪(ハルユキ)はいじめられっ子である。現実ではデブで後ろ向きな13歳は、ニューロリンカーによるフルダイブ先では多少の自信があった。そんなハルユキには幼馴染の倉嶋千百合(チユリ)がいて、当時3人組だった中で黛拓武(タクム)と付き合った後も、ハルユキの事を心配してくれていた。

ゲームの腕を見込まれたハルユキは、副生徒会長で美貌を持つ《黒雪姫》から《ブレイン・バースト》というプログラムを紹介され…。

感想

アクセル・ワールドに関しても、アニメを含めて全くの事前情報無しで読み始めましたが、こっちもゲームというか仮想空間に近い設定なんだなぁ。SAOで例えるのが良いのか分かりませんが、GGOにちょっとALO要素が入ったような感覚かなと思います。

他の作品の例に漏れず、序盤こそ読み進めづらい部分はありましたが、中盤以降は加速して楽しんで読めたと思います。まぁ、まだ設定が完全に理解できた訳では無いのですが。

ヒロインはどっちも可愛かったです。高嶺の花に見えた黒雪姫さんが実はしっかりハルユキの事を好きで、生徒手帳に写真を入れてたり、嫉妬したり。本名早く知りたい。はたまた幼馴染のチユリも、こっちも嫉妬擬きだったり、お節介焼きだったりで好感が持てました。

話としては、《ブレイン・バースト》という幽体離脱のように思考を千倍にするソフト?があって、そのプログラムの中で戦闘を行なっていくことでレベルを上げていく、というのが根幹にありました。

レベル9の頭領のいる派閥が5〜6個くらいあって、最上級のレベル10に至るにはレベル9を何人か倒す必要があるものの、やられると再度ゲームを始める事が不可能になり、それ故に停戦協定が結ばれたという過去があり。この辺りは、ユナイタル・リングにも重なる。

そこで反旗を翻したのが当時の黒雪姫らしく、失敗に終わり今は雌伏の時といった状況ということで、実は黒雪姫さんめちゃくちゃ古参勢だった訳ですね。それで、最近敵の気配を感じているということで、白羽の矢が立ったのがハルユキだったんですが、駒とか奴隷とかとして見ているんじゃないってのが救いではありました。

いや本当、自己肯定感低いハルユキ君だったんですが、チユリの存在も含めて成り上がるというか報われるのは良かったです。キリトとは出自のランクが違うね。良いマンションに住んでるっぽいけど…。

で、黒雪姫を狙っていたのがチユリの現彼氏でイケメンで文武両道のタクムだったのは、途中チユリにウイルス的な感じで潜入してた件もあって薄々勘付いていたとは言えびっくりでした。これも嫉妬みたいなもんなので理由としては醜いですが、レベル差を越えて勝利したハルユキと和解出来たのは、少年漫画っぼくて熱い。

因みに、ALOは飛ぶのが当たり前の世界ですが、今回ハルユキが飛翔したのはかなりレアらしく、自分だけの特権みたいなのは良いですよねー。地味に《ブレイン・バースト》を現実に応用して、甲子園でHR量産みたいな話がちょっと笑えました。タクムの剣道も怪しいらしいが…。

それと荒谷の執念が凄過ぎ…^^;

今回のbest words

もっと先へ……《加速》したくはないか、少年 (p.29 黒雪姫)

あとがき

直結って言葉がちょっとエロいよね…笑。

川上稔さんの解説が解説じゃない!

掟上今日子の忍法帖 感想

掟上今日子忍法帖 2022.6

 

今回は、忘却探偵シリーズ14巻です。

雑誌掲載の短編3本。前回の事務所破壊を受けて、バーチの保護の元?ニューヨークに拠点を移した今日子さんが、忍に纏わるキーワードが介在する事件に挑む話でした。時折出てくる横文字が癖になる。

感想

掟上今日子の手裏剣〜

セントラルパーク内で、手裏剣の刺さった遺体が発見される。死因は『SHURIKEN』に付着した毒。パーク内の散歩を習慣としていた日本人ということで、今日子さんが容疑者に。

今回の3本は全てリバルディ警部とキャステイズ警部補&今日子さんという立ち回りで、リバルディ警部の重箱の隅をつつくような神経質さには中々辟易しつつ、振り回されるキャステイズ警部補が貧乏籤を引くという一貫した流れでした。

今日子さんの推理であった、凧に張り付いての手裏剣を重力に任せて落下させるとか、水遁の術は的外れではありましたが、リセット後の手裏剣同士を跳弾させたという説が真相のようです。

最後の説も随分突拍子もないのですが、2段階積み重なるともう驚きもそんなにって感じでしょうか笑。こうなってくると、今日子さんに玩ばれている気もしてきます。

それから、忍者と言えばまにわにで、撒菱指弾を思い出しました。自由の女神の鎖鎌の事件はいつか描かれるのか…。

サラッと流されていたけれど、新聞から作った折り紙手裏剣って林檎に刺さるのだろうか?今日子さんのサイドスロー恐るべし。

掟上今日子の兵糧丸〜

ブロードウェイで若手のダンサーが壇上で死亡。死因は栄養失調。体内には『HYORO-GAN』が検出される。

兵糧丸というと、食べれば空腹を10日紛らわさせるとか、今で言うスーパーフードの立ち位置。秋道チョウジが次郎坊戦で使用したのも懐かしい。

ともあれ、転生林檎さながらとある売人から買った、怪しげなサプリメントがダイエットの名目でダンサーらの間で流行しているのではという話になる。そして、1000人在籍の内、当初の被害者含めて4人の死亡が確認される。0.4%である。

捜査は難航しながらも、団員らの口座の出入りを調べると、逆に10日に1回5万円ほどが振り込まれている事が判明、それも日本円のレートで。まー結局、治験でありしかもそれがプラセボ効果だったということで、犯人を追及出来ずに終了。

プラセボ効果というのも、意外とタチが悪い所があって、人によっては効果を証明されたりするので、悪魔の証明っぽくて厄介ではありますね…。今日子さんのリセットとは相性が悪い。毒にも薬にもならない。

掟上今日子の不忘術〜

『FUBO』と言われて日本人ですら何だそれはとなりましたが、不忘の術後というのは歴とした忍術らしい。痛みと記憶を結び付けるもので、古傷を見ればあの時に…と思いだすようなものと言われればなるほどと思う。

ナイアガラの滝ってアメリカとカナダの国境にあるんだーということで、それを渡す橋で女性が死亡。全身に細かな傷と特に左腕の切り傷が多数、死因はまたしても毒。

こちらも犯人は分からず仕舞いだったものの、スキュタレーという暗号形式が使用されてました。これは、コナンでも見た事があったものの、自分の体を利用するというのは中々斬新でした。

冤罪王・隠館厄介もアメリカ入りをして、今後は舞台を世界に移してのグローバルな話になっていくんでしょうか…?厄介ってそんな過剰に警戒される人物じゃなかったのに笑。

今回のbest words

ええ。言いかたは難しいですが、おいしかったらまずいわけです (p.180 掟上今日子)

あとがき

今日子さん羽川翼説は無いと思っていたのですが、今回匂わせが結構ありました。虎の尾ではなく猫の尾だとか、例の名言「何でもは知らないわ。知ってることだけ」が出てきたり、フリーハンドで真円を描けたり。

西尾維新さんの文章に最近は片仮名(外来語)も増えてきて、バリエーションもまた多彩になってきたなぁと感じます。

筆者あとがきは、旅としてか定住としてかで変わるみたいな話。受け手次第。

掟上今日子の鑑札票 感想

掟上今日子の鑑札票 2021.4

 

今回は、忘却探偵シリーズ13巻です。

これまでとは毛色の違った、今日子さんの過去に迫るような話でした。急にハードというかシリアス展開で、積み上げてきたものをぶち壊すような、これもまた西尾維新さんらしいストーリーなのかなーと感じました。

あらすじ

ある総合病院の一室、某大企業の重役が狙撃された。遠く離れた建設現場で作業員として働いていた隠館厄介は、容疑を掛けられる。しかし、事件はここで終わらず厄介が病室に呼び寄せた今日子さんも狙撃されてしまう。

一命を取り留めた今日子さんであったが、推理用語を忘却したばかりか、アイデンティティの忘却すらも忘却してしまっていた。さらに、立て続けに厄介に降り掛かる地雷、置手紙探偵事務所の破壊行為、FBIまで登場?!

感想

急転直下でした。これまでののほほんとした事件解決からの規模感の違いが凄い。

結果的には元の木阿弥になったので、シリーズがまだまだ続いていきそう(著者曰く24巻まで!)なのは安心しましたが、今日子さんが脳を撃たれて記憶喪失とは中々にショッキングでした。しかも、事務所に関してはマジで更地になっちゃいましたからね…。

ただ、地下にシェルターがあって図書館になっていたのは憧れるなぁ。読んでボロボロになった本じゃなくて綺麗な状態で保管したいですが。酸素を調整するという機能が最終的には役立ったというのは伏線回収でした。

今回の出来事は、今日子さんが海外で活動していた頃のファンクラブメンバー達が起こしたゴタゴタだった模様。世界で起きている紛争を調停していた今日子さんの影武者の、ホワイト・ホースが犯人。

探偵となってしまった今日子さんを昔の軍人に戻したいという気持ちと、退役した今日子さんの探偵としての地位を掠め取りたいという気持ちの両方が一応の動機っぽい。まぁ、どちらもオリジナルには劣る影武者らしい、模倣者らしい後追いの理由な気はする。

今日子さんの部屋の天井の文字に関しては、連邦捜査局のエージェントであるホワイト・バーチという人物が書いたとのこと。事務所の崩壊と共にその文字も消えてしまったけれども、この人も今日子さんのファンクラブの一員で、今日子さんの保護の為に動いている?

とまぁ、今日子さんが元調停者としての想定でここまで進んでいますが、本人は人違いを主張しているようです。自身で一度脳を撃って忘却探偵になったというのも中々に壮絶で、否定するならどのタイミングで一度銃弾を食らっているのかって話にもなるんですが、現時点では不明。

前に、掟上今日子羽川翼説というのを見掛けたことがあって、なるほど確かに今回の出来事を勘案するに、強ち牽強付会でもないのだと思います。羽川も白髪で世界平和の為?に戦災地を訪れたりしてたみたいですし。

でも、ここは敢えて別人説を採りたいと思いますけどね。怪異的な現象が今日子さんには無い訳ですし。否定する材料が少ないのも確かですが…。少なくとも、ホワイト・ホースがマムと呼ぶ人物と紺藤さんは海外で出会っているのは確か。

そういや、置手紙探偵事務所が戦車に砲撃された件、VRで片が付いたっぽいけれど、実際よく分からないな…。想像が付かないというか。

里井先生の再登場にはびっくりしたけど、何だただの天才か。戦争は目に見えなくても世界では起きている…。

今回のbest words

お目覚めですか?薬師館さん (p.228 掟上今日子)

あとがき

どれが本当の今日子さんなのか分からなくなってきました。

表紙の加工が綺麗。イラストは今日子さんかはたまたホワイト・ホース?

筆者あとがきは、言われたら思い出せると言われても思い出せないの違いについて。断片的に覚えているからこそもどかしいというのもあるかも知れません。

掟上今日子の設計図 感想

掟上今日子の設計図 2020.3

 

今回は、忘却探偵シリーズ12巻です。

今日子さんvs爆弾魔。二転三転するストーリーと最後は心温まるエンドでした。うーん、何か物足りない感もありますが…。

あらすじ

立体駐車場を爆破して見せた學藝員9010を名乗る人物。次なる標的は、町村市現代美術館であると告げその動画は閉じる。

人死はなかった駐車場の爆発だったが、爆発元の車の所持者が厄介だったことで、厄介は容疑者となってしまう。今日子さんの別の方法の提示で事無きを得た後、美術館での爆発の阻止に動く。

感想

最近ちょっと思うのが、名探偵コナンって小さくなった名探偵が事件を快刀乱麻を断つ勢いで解決していく話だけれども、マンネリ化することなくずっと面白いの凄いなーということ。ミステリー作品を読んでると、少年漫画のエンターテイメント性を残しながら繰り広げられる事件が魅力的だったなーと。

さておき、今回は爆弾魔との戦いでした。偏見になるけど、芸術家は変な所に拘りがあるよなぁという事を少し感じました。犯行の動機が2つの建物を爆破することにあり、片方は建築家の父が作り、もう片方は賄賂?で別の人が設計したものらしく。

まぁ、犯人の父が作ってない建物だから勝手が悪いとか貶すような描かれ方をされているのは、ご都合主義を感じる所ではありましたが。

二転三転というのは、元々美術館を狙ったのは、人払いして美術品を盗む為ではと思われていたり、その後に犯人が今日子さんとの過去の因縁から今日子さんを殺す為だと言ったりしたからなんですが、結局は先述の理由でした。

特に、20時に美術館を爆破する宣言にも関わらず、美術館自体には爆弾を仕掛けず、丁度20時に美術館の下を通過する地下鉄内で爆発させようとしたというのは、中々のひねくれ度というか予想外で良かったです。

犯人はほぼ自殺も視野に入っていた中で、妊婦のフリで爆弾を抱えていた訳ですが、乗客に席を譲って貰ったことで、人情を感じ実行を取り止めたというのもまたエモい。今時、人に席を譲るのはリスクの方が勝ってるように思いますからね…。ま、今日子さんがナッジしたというオチではありますが。

因みに、犯人は仕事中に光を失った扉井あざな警部補。盲導犬と警察犬を連れているという事で、春日井春日さんを思い出す。その2匹がカップルとなり、子犬が生まれるというサプライズで、犯人に生きる光が生まれたという意味でハッピーエンドでした。

というか、今日子さんのいつの間にか定番になった"最初から真相が分かってました"というセリフも、木賀峰さんも似たような事言ってなかったっけと思う。

今回のbest words

ありがとうございました、私の冤罪を晴らしていただいて (p.180 掟上今日子)

あとがき

そう言えば本の遊び紙が毎回変わるようになってますね。

筆者あとがきは、自分が忘れても他人が覚えていると問題という話。どっちも約束を忘れていたら何も起こらないからね…。今日子さんのアリバイを厄介だけが知ってるというのも熱い。いや、覚えすぎてて狂気の沙汰ですらある笑。

五線譜?伝言板??

掟上今日子の乗車券 感想

掟上今日子の乗車券 2018.10

 

今回は、忘却探偵シリーズ11巻です。

名探偵は行く先々で事件に遭遇する_を体現した短編群でした。今日子さん曰く探偵の営業とのことでしたが、親切さんを鍛える為でもあった…?

感想

〜今日子さんin寝台列車『ひらめき』〜

三段ベッドが両側、4人が寝泊まりする列車で1人が殺害された事件。入室した順番と同室している人がいる中で殺人をする精神がポイントでした。

というのも、被害者と2,3人目の入室者は会話をしていたものの、それは4人目の入室者が被害者のフリをしていただけで、実は4人目ではなく2番目に入室して最初に殺人を行なっていたという順番が正しい。

2.3人目が寝静まった後に、遺体を対角線上に移動して現場は完成。初対面だからこそ出来るトリックではありますが、2.3人目が死体の顔を見て終えばバレてしまう中々に綱渡りな工作だったなーと思います。

山麓オーベルジュ『ゆきどけ』〜

行きがけで裁判官に出会う話。探偵は犯人を指名すれば仕事としては完了だけれども、裁判官にとっての重要な関心事は犯人の動機の方。それは、情状酌量の余地を測り、量刑を決める必要があるから。

仲の良い兄妹。兄が受験を替え玉して妹を殺害したという事件。ひねくれた動機は数あれど、替え玉受験の為に妹を殺したとは主客転倒というか、また斬新な話です。しかも、滑り止めとあっては、死んでも死にきれないと思うのですが…。

〜高速艇『スピードウェーヴ』〜

乗船した船の船長と副船長が共に倒れ、すんでの所を今日子さんが阻止した話。一応密室状態。

誰か1人をピンポイントで殺害する為に、船を操縦できる船長を邪魔者とした挙げ句、自身をも文鎮で殴って失神。乗客も船長も言わば巻き添えという形。しかし、その誰か1人というのが今日子さんだったのか否か。

〜水上飛行機『ウォータージェット』〜

とある水上飛行機会社。社長が飛行中に服毒自殺したという事件。

飛行中の機体は勿論密室であり、青酸カリが検出されたということで、時差的な殺害も否定される。何となく、機材の故障での墜落事故を自殺によって帳消しにしたという結末を予想していましたが、真相はまた別のものでした。

殺害ということではなく、自殺で間違いないという。誰かに殺されてもおかしくないほど恨まれていたからこそ、自分で命を絶った。前の飛び降り自殺少女の思考にちょっとだけ似てる?

自殺としか思えない死に方をすることで他殺を疑われるってのも、何か皮肉な話。

〜観光バス『ハイスピードロード』〜

帰り道の観光バスで、親切さんの隣の席の男性がシートベルトで絞殺される未遂事件。被害者が男だと分かったのは、1階が男性2階が女性と分かれているから笑。

犯行理由が、リクライニングを後ろの席に断らずに行なった事という結論になっているけど、短期な人はいるしなるべく人に迷惑をかけないように生活したいですね。それで猫背になっていると厄介のようになりそうですが…。

掟上今日子の五線譜(序曲)〜

前回のあとがきで言われていたタイトルですね。次回もこのタイトルは使われてないようですが…。厄介が親切さんを試す話?

とある楽器集団の住む島での、楽器に保険が掛けられていた為に、楽器>人ということで死人が出たという過去話が出てましたがよく分からん。

今回のbest words

やだ、あなた、こんなところで (p.139 掟上今日子)

→このシーンを想像するだけで面白い。

あとがき

うーん厄介がラスボス感出してるの何なんだろう笑。

筆者あとがきは、エスカレーターはエレベーターから派生した言葉という話。言われてみれば逆な気もする。

掟上今日子の色見本 感想

掟上今日子の色見本 2018.1

 

今回は、忘却探偵シリーズ10巻です。

2桁ナンバリングまで来ました。現状だと残すは4冊。今日子さんの過去に少し迫れるかとや最速の探偵はすぐにその可能性を断ってしまいましたね…。

あらすじ

掟上今日子は預かった。返して欲しければ、十億円用意しろ」

親切守の元に掛かってきた電話は脅迫電話であった。今日子さんの残したメッセージから2億円の準備に成功するも、犯人の狙いはお金ではないらしく…。

「かつては戦闘機並みのお値段がついたこともある私の頭脳も、安く見積もられたものですね」

感想

今回は誘拐された今日子さん。これまで何度か自分は記憶を失う一方で、探偵に恨みを持つ人の存在は消えない、だからこその要塞のような堅固なマンションに住んでいるという事で言われてきましたが、オフの日にあっさり。

拉致じゃなかっただけまだ物怪の幸いとも言えなくもないですが、そもそも自分から飛び込んで行ってますけど…。前回のように?敢えて留置所に入った訳でもなく、誘拐されるのは今日子さんにとっても寝耳に水だったとは思いますが。

須永昼兵衛の小説に出てくる旧車を犯人が用意し、それに意気揚々と乗り込んだ形。叙述トリックでも何でもないですが、犯人が女性だったのは意外でした。女性だったからこそ警戒が薄くなった説もある。

今回は、親切さんが諸々頑張ったお陰で無事済んだ感じでした。推理もさながら、旧車の持ち主をSNSの他人の投稿などから当たりを付けるというのは、今風な捜査でした。

犯人の目的は、例のパリの矍鑠伯爵に近いもので、今日子さんの解決した事件の情報だったようです。忘却探偵の一度解決した事件の、忘却された部分。強請ったりでお金になるんですかねぇ。

誘拐先が船上であり洋上だったのは驚きでした。ただ、今日子さんの保険というか安全弁というか、色見本の写真と共に位置を示したデータをPCに残し、3点の中心位置に自身がいる事を暗号として親切さんに伝えた事で、万事休す。

この保険が機能したのは、この仕掛けを作ったのが今日子さんが忘却探偵となる以前の事だからであり、そうなると今日子さんが前に海外を転々としていたという事実は少なくとも本当だったと分かる。

その後すぐに証拠隠滅されたせいで日付とかは分からずでした。それでも、今日子さんの記憶力然り、星の位置で自分の現在位置を割り当てるとか、常識外れだぜ…。そして相変わらず狸寝入りがお上手。

今回のbest words

67点! (p.141 掟上今日子)

→今日子さんのファッションチェックは厳しい。

あとがき

すっかり今日子さんの専門家の地位を獲得した厄介くん面白い。でも、親切さんも今日子さんから下の名前で呼ばれる事あるのかぁ。

筆者あとがきは、色について。人によって見え方が違うとか無限に色はあるとか。虹は7色とか、血液型は4種類とかそういう枠組みには口出ししない方が吉ですかね。家電製品の仕組みを知らなくても使えればOKみたいな。