今回は、忘却探偵シリーズ11巻です。
名探偵は行く先々で事件に遭遇する_を体現した短編群でした。今日子さん曰く探偵の営業とのことでしたが、親切さんを鍛える為でもあった…?
感想
〜今日子さんin寝台列車『ひらめき』〜
三段ベッドが両側、4人が寝泊まりする列車で1人が殺害された事件。入室した順番と同室している人がいる中で殺人をする精神がポイントでした。
というのも、被害者と2,3人目の入室者は会話をしていたものの、それは4人目の入室者が被害者のフリをしていただけで、実は4人目ではなく2番目に入室して最初に殺人を行なっていたという順番が正しい。
2.3人目が寝静まった後に、遺体を対角線上に移動して現場は完成。初対面だからこそ出来るトリックではありますが、2.3人目が死体の顔を見て終えばバレてしまう中々に綱渡りな工作だったなーと思います。
行きがけで裁判官に出会う話。探偵は犯人を指名すれば仕事としては完了だけれども、裁判官にとっての重要な関心事は犯人の動機の方。それは、情状酌量の余地を測り、量刑を決める必要があるから。
仲の良い兄妹。兄が受験を替え玉して妹を殺害したという事件。ひねくれた動機は数あれど、替え玉受験の為に妹を殺したとは主客転倒というか、また斬新な話です。しかも、滑り止めとあっては、死んでも死にきれないと思うのですが…。
〜高速艇『スピードウェーヴ』〜
乗船した船の船長と副船長が共に倒れ、すんでの所を今日子さんが阻止した話。一応密室状態。
誰か1人をピンポイントで殺害する為に、船を操縦できる船長を邪魔者とした挙げ句、自身をも文鎮で殴って失神。乗客も船長も言わば巻き添えという形。しかし、その誰か1人というのが今日子さんだったのか否か。
〜水上飛行機『ウォータージェット』〜
とある水上飛行機会社。社長が飛行中に服毒自殺したという事件。
飛行中の機体は勿論密室であり、青酸カリが検出されたということで、時差的な殺害も否定される。何となく、機材の故障での墜落事故を自殺によって帳消しにしたという結末を予想していましたが、真相はまた別のものでした。
殺害ということではなく、自殺で間違いないという。誰かに殺されてもおかしくないほど恨まれていたからこそ、自分で命を絶った。前の飛び降り自殺少女の思考にちょっとだけ似てる?
自殺としか思えない死に方をすることで他殺を疑われるってのも、何か皮肉な話。
〜観光バス『ハイスピードロード』〜
帰り道の観光バスで、親切さんの隣の席の男性がシートベルトで絞殺される未遂事件。被害者が男だと分かったのは、1階が男性2階が女性と分かれているから笑。
犯行理由が、リクライニングを後ろの席に断らずに行なった事という結論になっているけど、短期な人はいるしなるべく人に迷惑をかけないように生活したいですね。それで猫背になっていると厄介のようになりそうですが…。
〜掟上今日子の五線譜(序曲)〜
前回のあとがきで言われていたタイトルですね。次回もこのタイトルは使われてないようですが…。厄介が親切さんを試す話?
とある楽器集団の住む島での、楽器に保険が掛けられていた為に、楽器>人ということで死人が出たという過去話が出てましたがよく分からん。
今回のbest words
やだ、あなた、こんなところで (p.139 掟上今日子)
→このシーンを想像するだけで面白い。
あとがき
うーん厄介がラスボス感出してるの何なんだろう笑。
筆者あとがきは、エスカレーターはエレベーターから派生した言葉という話。言われてみれば逆な気もする。