心和のラノベ感想

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掟上今日子の忍法帖 感想

掟上今日子忍法帖 2022.6

 

今回は、忘却探偵シリーズ14巻です。

雑誌掲載の短編3本。前回の事務所破壊を受けて、バーチの保護の元?ニューヨークに拠点を移した今日子さんが、忍に纏わるキーワードが介在する事件に挑む話でした。時折出てくる横文字が癖になる。

感想

掟上今日子の手裏剣〜

セントラルパーク内で、手裏剣の刺さった遺体が発見される。死因は『SHURIKEN』に付着した毒。パーク内の散歩を習慣としていた日本人ということで、今日子さんが容疑者に。

今回の3本は全てリバルディ警部とキャステイズ警部補&今日子さんという立ち回りで、リバルディ警部の重箱の隅をつつくような神経質さには中々辟易しつつ、振り回されるキャステイズ警部補が貧乏籤を引くという一貫した流れでした。

今日子さんの推理であった、凧に張り付いての手裏剣を重力に任せて落下させるとか、水遁の術は的外れではありましたが、リセット後の手裏剣同士を跳弾させたという説が真相のようです。

最後の説も随分突拍子もないのですが、2段階積み重なるともう驚きもそんなにって感じでしょうか笑。こうなってくると、今日子さんに玩ばれている気もしてきます。

それから、忍者と言えばまにわにで、撒菱指弾を思い出しました。自由の女神の鎖鎌の事件はいつか描かれるのか…。

サラッと流されていたけれど、新聞から作った折り紙手裏剣って林檎に刺さるのだろうか?今日子さんのサイドスロー恐るべし。

掟上今日子の兵糧丸〜

ブロードウェイで若手のダンサーが壇上で死亡。死因は栄養失調。体内には『HYORO-GAN』が検出される。

兵糧丸というと、食べれば空腹を10日紛らわさせるとか、今で言うスーパーフードの立ち位置。秋道チョウジが次郎坊戦で使用したのも懐かしい。

ともあれ、転生林檎さながらとある売人から買った、怪しげなサプリメントがダイエットの名目でダンサーらの間で流行しているのではという話になる。そして、1000人在籍の内、当初の被害者含めて4人の死亡が確認される。0.4%である。

捜査は難航しながらも、団員らの口座の出入りを調べると、逆に10日に1回5万円ほどが振り込まれている事が判明、それも日本円のレートで。まー結局、治験でありしかもそれがプラセボ効果だったということで、犯人を追及出来ずに終了。

プラセボ効果というのも、意外とタチが悪い所があって、人によっては効果を証明されたりするので、悪魔の証明っぽくて厄介ではありますね…。今日子さんのリセットとは相性が悪い。毒にも薬にもならない。

掟上今日子の不忘術〜

『FUBO』と言われて日本人ですら何だそれはとなりましたが、不忘の術後というのは歴とした忍術らしい。痛みと記憶を結び付けるもので、古傷を見ればあの時に…と思いだすようなものと言われればなるほどと思う。

ナイアガラの滝ってアメリカとカナダの国境にあるんだーということで、それを渡す橋で女性が死亡。全身に細かな傷と特に左腕の切り傷が多数、死因はまたしても毒。

こちらも犯人は分からず仕舞いだったものの、スキュタレーという暗号形式が使用されてました。これは、コナンでも見た事があったものの、自分の体を利用するというのは中々斬新でした。

冤罪王・隠館厄介もアメリカ入りをして、今後は舞台を世界に移してのグローバルな話になっていくんでしょうか…?厄介ってそんな過剰に警戒される人物じゃなかったのに笑。

今回のbest words

ええ。言いかたは難しいですが、おいしかったらまずいわけです (p.180 掟上今日子)

あとがき

今日子さん羽川翼説は無いと思っていたのですが、今回匂わせが結構ありました。虎の尾ではなく猫の尾だとか、例の名言「何でもは知らないわ。知ってることだけ」が出てきたり、フリーハンドで真円を描けたり。

西尾維新さんの文章に最近は片仮名(外来語)も増えてきて、バリエーションもまた多彩になってきたなぁと感じます。

筆者あとがきは、旅としてか定住としてかで変わるみたいな話。受け手次第。