心和のラノベ感想

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掟上今日子の鑑札票 感想

掟上今日子の鑑札票 2021.4

 

今回は、忘却探偵シリーズ13巻です。

これまでとは毛色の違った、今日子さんの過去に迫るような話でした。急にハードというかシリアス展開で、積み上げてきたものをぶち壊すような、これもまた西尾維新さんらしいストーリーなのかなーと感じました。

あらすじ

ある総合病院の一室、某大企業の重役が狙撃された。遠く離れた建設現場で作業員として働いていた隠館厄介は、容疑を掛けられる。しかし、事件はここで終わらず厄介が病室に呼び寄せた今日子さんも狙撃されてしまう。

一命を取り留めた今日子さんであったが、推理用語を忘却したばかりか、アイデンティティの忘却すらも忘却してしまっていた。さらに、立て続けに厄介に降り掛かる地雷、置手紙探偵事務所の破壊行為、FBIまで登場?!

感想

急転直下でした。これまでののほほんとした事件解決からの規模感の違いが凄い。

結果的には元の木阿弥になったので、シリーズがまだまだ続いていきそう(著者曰く24巻まで!)なのは安心しましたが、今日子さんが脳を撃たれて記憶喪失とは中々にショッキングでした。しかも、事務所に関してはマジで更地になっちゃいましたからね…。

ただ、地下にシェルターがあって図書館になっていたのは憧れるなぁ。読んでボロボロになった本じゃなくて綺麗な状態で保管したいですが。酸素を調整するという機能が最終的には役立ったというのは伏線回収でした。

今回の出来事は、今日子さんが海外で活動していた頃のファンクラブメンバー達が起こしたゴタゴタだった模様。世界で起きている紛争を調停していた今日子さんの影武者の、ホワイト・ホースが犯人。

探偵となってしまった今日子さんを昔の軍人に戻したいという気持ちと、退役した今日子さんの探偵としての地位を掠め取りたいという気持ちの両方が一応の動機っぽい。まぁ、どちらもオリジナルには劣る影武者らしい、模倣者らしい後追いの理由な気はする。

今日子さんの部屋の天井の文字に関しては、連邦捜査局のエージェントであるホワイト・バーチという人物が書いたとのこと。事務所の崩壊と共にその文字も消えてしまったけれども、この人も今日子さんのファンクラブの一員で、今日子さんの保護の為に動いている?

とまぁ、今日子さんが元調停者としての想定でここまで進んでいますが、本人は人違いを主張しているようです。自身で一度脳を撃って忘却探偵になったというのも中々に壮絶で、否定するならどのタイミングで一度銃弾を食らっているのかって話にもなるんですが、現時点では不明。

前に、掟上今日子羽川翼説というのを見掛けたことがあって、なるほど確かに今回の出来事を勘案するに、強ち牽強付会でもないのだと思います。羽川も白髪で世界平和の為?に戦災地を訪れたりしてたみたいですし。

でも、ここは敢えて別人説を採りたいと思いますけどね。怪異的な現象が今日子さんには無い訳ですし。否定する材料が少ないのも確かですが…。少なくとも、ホワイト・ホースがマムと呼ぶ人物と紺藤さんは海外で出会っているのは確か。

そういや、置手紙探偵事務所が戦車に砲撃された件、VRで片が付いたっぽいけれど、実際よく分からないな…。想像が付かないというか。

里井先生の再登場にはびっくりしたけど、何だただの天才か。戦争は目に見えなくても世界では起きている…。

今回のbest words

お目覚めですか?薬師館さん (p.228 掟上今日子)

あとがき

どれが本当の今日子さんなのか分からなくなってきました。

表紙の加工が綺麗。イラストは今日子さんかはたまたホワイト・ホース?

筆者あとがきは、言われたら思い出せると言われても思い出せないの違いについて。断片的に覚えているからこそもどかしいというのもあるかも知れません。