今回は、忘却探偵シリーズ9巻です。
今日子さんがアリバイの証人になる事件が前にありましたが、今回は容疑者に。相棒役は、厄介だったり警部だったりの合わせ技。裏表紙ということで、コインを始め表裏の物も多数登場したしました。
表紙裏には警官コスの今日子さんが!
あらすじ
「初めまして。容疑者の掟上今日子です」
メガバンク御曹司でコインコレクターの十木本未末が密室で刺殺された。傍には眠っている今日子さんが剣型貨幣を握っていたことで、強盗殺陣未遂で現行犯逮捕となったのだ。
取り調べをするその強面から冤罪製造機の異名を持つ日怠井警部は、今日子さんの『専門家』冤罪体質の隠館厄介を捜査の協力者に仰ぐのだった。
感想
あんましすんなりスッキリするようなトリックでもストーリーラインでも無かったかなぁという感じでした。今日子さんが留置所の中でも活き活きして、人心掌握してたのは面白かったですが。刑務所に居ながらにして、厄介を走らせる。ふむ。
今日子さんが忘却探偵であるが故に、事件の事を予想は出来ても覚えていないというのは設定を生かした話でした。勿論、密室で死体ともう1人がいたら、その人が犯人という事になる。
引っかかるのが、希少なコインを安置する部屋が酸素を少なく保つ部屋であるのは良いとして、オートロックで内側から解錠出来ないとかありえんくない?という部分。流石に、外部に連絡を取る手段備えとけよ、みたいな。あるいは、扉の内側から破るのは難しくても音を立てるとか、空気穴を確保するとか出来なかったのかとか。
被害者が今日子さんに懸想してたというか恋慕していたからこその心中にも思えなくもないですが…。それこそ親族とは幼少期の肺癌誤診による片肺摘出事件で疎遠になっていて、寂しさもあったのだろうし。
放蕩息子と揶揄されることはあれ、実家が資産家なら働かなくても良くない?とも思えるが、そこはそれで悩みがあるって所でしょうか。金があるから幸せとは言えないと。誤診と隠蔽の恐ろしさも感じる所ですね…。
肺壁を穿刺するという救命行動は寡聞にして知らなかったです。まぁ、凶器による出血が少なかったのも違和感としてあったので、今日子さんはちゃんとしてたんだなーと。
コインによる暗号も中々面白かったです。ユーロ圏での貨幣が同じ物ではなく、裏面は国によって違うというのも初めて知りましたし。
嫌いの反対は好き? 日怠井警部が事件後に今日子さんファンになってたら面白いのだが。
今回のbest words
こんな格好で失礼します。裏表紙用です (p.152 掟上今日子)
→メタ的発言
あとがき
今回の事件において、警察って全然仕事してない気がする…。何ならポリスボックスは裏口の存在でほぼ意味を成してないばかりか、家主をみすみす殺させてしまってるし、留置所の警官たちは今日子さんの掌の上でした。
筆者あとがきは、表裏の話。小説は筆者と読者の信頼関係も大事。