今回は、ウィザブレ12巻です。
真昼の発案によって一時いつものメンバー達が協力し合っていたのは良かったです。そして、天樹健三、アルフレッド・ウィッテン(アル)、エリザベート・ザイン(エリザ)、そしてアリスという魔法士の始まりの鍵となる話も明かされて、面白くなってきました。
あらすじ
突如として発動した空間転送の情報制御によって、大気制御衛星に飛ばされた錬、フィア、イル、ディー、サクラの面々。5人は一時休戦として施設内を探索し、そこでアルフレッド・ウィッテンの記録データを見つける。
地下の町の住民に助けられた一方で、人質として捕らわれたファンメイ、エド、セラ。ロンドン自治軍及びシンガポール自治軍は、地下の町の調査へとそれぞれ向かい、再び戦闘となってしまう。戦力を失っている賢人会議の参謀としての真昼は、ヘイズや祐一らを巻き込んで、現状打破の一手を打つのだった。
感想
徐々に過去が分かってきて、魔法士の原点の謎にも触れてきたので面白かったです。また、現実の方でも真昼の打った手がハマっていく様が気持ち良かったです。
真昼の案というのは、根底には転移されたサクラやディーを取り戻す手段の確保と、人質となったセラの救出もあった訳ですが、実際にイツメン達の利害関係が一致して三方良しの形となっていたのは見事でした。本当は、自身の立場もピンチだったにも関わらず。
情報制御が起きてしまったことで、地下の町にロンドン自治軍とシンガポール自治軍が侵攻するのは当然のことですが、それをシティ・モスクワという一シティの存在をチラつかせつつ、祐一ヘイズクレアを新たな集団(世界再生機構)として威嚇として見せかけることで、地下の町が戦場になるのを免れたという感じ。
やはり人死にが無い方が良いよねと。ファンメイが重症の住民を黒の水を用いて生存させたのは驚きでしたが、その代償が次回以降ありそうで不安ですね。命を削って住民を助けた魔法士を見て、人々の魔法士意識に変化があれば良いなと思います。
あとは、地下の住民達ですが、オスロの生き残りということで、シンガポール全権大使の出身地と同じというのが、鍵になりそうです。
そして、魔法士に関わる昔話について。アルは飛び級の天才で、健三やエリザよりは若かったようで、アリスはニューデリーからエリザに送られてきた最初の魔法士ということらしい。そんなアルとアリスの同居や、海に行った時のシリーズ内で大変貴重な水着姿などなど、ラブコメ臭がしていて良かったです。
自分が作った物が後に、人類の助けになるのか兵器に利用されてしまうのか、次回はそういう部分も出てくるのかなー。
月夜とクレアのお喋りも面白かったですし、いつも悪い者扱いされるヘイズは可哀想でしたが、クレアの可愛さに拍車がかかり過ぎな件について。
今回のbest words
だ、だから『こいつ』ってやめてよ! (p.158 クレア)
あとがき
アリスも中々可愛いキャラでした。
人間と魔法士という構図の解消、シティの維持方法の解決、この作品はどのように終結していくのか。そういや、七瀬雪についても車椅子だったとかありましたが、どう1巻冒頭に繋がるまでは謎のままか。