心和のラノベ感想

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ウィザーズ・ブレインV 賢人の庭〈下〉感想

ウィザーズ・ブレインV 賢人の庭〈下〉 2005.9

 

今回は、ウィザブレ7巻です。

470頁という分厚さで、それぞれのキャラクターの苦悩と、そして自分の道を見つけるような巻でした。この話を以てシリーズの序章が終わったという位置付けらしいです。魔法士vs人間という構図になってしまうのかなぁ。

あらすじ

マザーコアや実験に苦しむ子供達の救済の為に戦う賢人会議ことサクラ。対して、自身も実験で生み出された身でありながら、マザーコアによって成り立つシティ側に立つ幻影No.17ことイル。元々は、周りを顧みなかったイルが何故身を犠牲にしてまでシティの為に戦うのか。

サクラに必要以上に協力する真昼、その作戦を手伝う月夜や祐一。そして、祐一の森羅を継承したディーは、満身創痍になりながらセラを守る為に戦うのだった。

感想

今回の話は、キャラクター間の関係性で色々と語れる話だったなーと思います。関係を深めた後にそれをぶっ壊したり、死に別れさせたりで感情が揺さぶられました。

Ⅴ新キャラのイルとサクラ。この2人がこの巻だけでも確か3回くらい戦闘を行なってましたが、まずは最後痛み分けで終わって良かったなと。普通に読むとサクラ寄りになりがちですが、実はイルが良い奴だったんだよなぁ。

特に、イルの過去話は良かったです。勿論最初は人間を忌避していて、それが一転シティサイドに着く出来事がある訳ですが、それが一人の孤児院のシスターとの出会いで。あのクッキーから始まったんだと思うと感慨深いです。

人間側にも、魔法士の犠牲の上で暮らせているという事を理解して生きている人もいると。一旦、騙されたような形と知らされた後で、イルを助ける為に身を抛つという行為。子供達に優しくするイルもまた微笑ましく思えます。

そんな訳で、イルはサクラにとっては敵でもやはり悪い奴とは言い切れない。イルが一度サクラに勝った際に、人殺しと言ったのもイル側から見れば頷けるというもので。それで、サクラは自分の正しさに猜疑心が生まれるものの、そこは真昼が背中を押してました。正義とか正義じゃないとかではなくて、何の為に戦ってきたのか、何が何でも譲れないものは何なのか、と。

イルとサクラの対決は、基本的に一人を救うか大勢の命を救うかみたいな対立でした。ただ、元々サクラが親しくしていた子がマザーコアになった経緯があるので、サクラも可哀想な立場だなーと思いました。

それから、イルの能力についてですが、詳しい仕組みは分からないものの(シュレディンガーとか関わってくる的な)、簡単に言えば全ての攻撃を透過させられるというものらしい。だから、防御力は完璧なんだけれど、この能力だと自分しか守れないから、敢えて自分にダメージが通るように調整して敵を欺いているとのこと。そう考えると、あの生傷の量の意味合いも変わってくる…。

でそれをどうやってサクラが打ち破ったのかというのが、コピー能力を生かして30%能力を妨害させて攻撃を当てるというものでした(これで合ってるのか)。うーん、というかノイズメイカー使えば大丈夫な気もするがどうなんだろうね。

ディーとイルについては、イルの方が同じ境遇の兄(クレアの弟)という立場になっています。ディーは、イルの考え方に敵わないなーと思っているようで、でもあそこの会話があったからこそ、セラを命懸けで守る意思を強くしたのかなーとも思いました。イルがモスクワ軍から信頼を得ている点も尊敬してる感じでした。

真昼とサクラについては、深く言及はなかったと思います。カールは死んでしまいましたが、幼少期に2人は会ってそうな気はします。サクラが真昼に無意識に強目に当たってしまったり、ふとした時に顔を赤らめるのは、意識している部分があるんだろうなと。一方の、真昼もサクラの為に危険な作戦に協力してましたし。

セラとサクラについては、セラにサクラを好きですって言わせた後に、賢人会議とバレる展開にするのは悪よのぉ…。でもまぁ、最悪の事態にはならなかったので、徐々に慣れていくのかなーとは思います。

それにしても、祐一が森羅を使わないで脇役やってて、ディー君が頑張ってましたねー笑。人を殺すという殻を破ったのもびっくりでしたが、でもセラがいれば大丈夫かなと思える。というか、リミッター解除した森羅が諸刃の剣過ぎて、ディー君の身体が大丈夫なのか私、気になります。

今回のbest words

ほくはたぶん、自分より、セラのほうが大事なんだ (p.212 ディー)

あとがき

最後で、賢人会議がシティに宣戦布告を行う形で終結しました。どーなることやら。

因みに、月夜はイル側に捕まったままですね。

桜咲きました!