今回は、ヴィザブレ18巻です。
9年の歳月を経ての新刊、章の途中でというのがまた、ね…笑。時間は空きましたが、文体や雰囲気はそのまま！、残酷な展開とまたしても錬の良い所は…。
あらすじ
南極の制御衛星を掌握し、人類に雲の除去の可能性を示唆して見せたサクラ。南極への転送装置は破壊かれ、北極のそれを流用したとしても、2年以上の月日を要するという。追い詰められた人間サイドは、全てのシティのマザーコアを暴走状態にした上で、フィアの同調能力を以ってして南極衛星へのハッキングを試みる。
シティ連合は陽動を仕掛けた上で、本丸のシティ・ベルリンの守りを固めていく。最終防衛には錬が待ち受けるも、ディーによってイルも含め守りは突破され、作戦は失敗したかに見えたが…。
感想
今回と来月発売がそれぞれ500頁弱ということで、年月の重みを感じますね笑、ということで。
内容としては、人類サイドの動きが多めだったような気がします。その上で、賢人会議が南極への干渉を食い止めただけでなく、シティ・マサチューセッツまで陥落させるという感じ。これで残るシティは4つにまで減りましたが、人類側にも反撃の目が残り、両サイドの疲弊も無視できなくなってきたという。
意外と盲点だったのが、これまで賢人会議vs人間の軍隊という戦いが見えていたものの、無辜の民にも視点が移ってきた所。魔法科高校の劣等生のように戦略級魔法があれば良かったんですが、何の罪もない人々を殺戮するのは少し見るに耐えないというか、精神的なものがあるというか。
それから、賢人会議の知識不足について。これが結構大きくて、I-ブレインのメンテナンスはシティの人間が行なっていた為に、賢人会議内では疲労の回復が遅れるらしい。真昼がいればまだしもそれも頼れない。その他にも人間の技術がない事で色々と不具合が生じるということで、ここにも0か1かで量れない部分があるなと思いました。
今回の話のポイントとしては、錬とフィアそして、ディーとセラの物語の残酷さと、黒沢祐一の最期だったかなーと思います。
錬とフィアの物語はここに来ても苦しいものがあって、大人の事情に振り回されて利用されて報われないなと。シティの側で戦うことを半ば強いられて、フィアは再び危険な役目を押し付けられ、最終的に脳内が空っぽになり目を覚まさない状況に。
錬もまたディーと戦い、不運にも見舞われて再び敗北。グウェンさんの命を賭して数秒を稼ぐ姿はフェアリーテイルのウルティアさながらでした。
ベルリン然りマサチューセッツ然り、代表が魔法士絡みだったりした訳ですが、どちらも人間だという言葉もあったように、生物間関係なく手を取り合う未来になれば、なることがこの物語のハッピーエンドなのかなーと思いました。
ディーとセラの物語は、人を殺さないセラとそのセラを守る為に大量虐殺者となるしかないディーの悲しい話でした。セラの立場も分かるんですが、個人的にはグウェンさんを守れなかったりする姿は、嫌悪感がありました。ディーが頑張ってるだけに尚更ね…。
まぁでも賢人会議でありながら、人類を抹殺する以外の道を模索するのは甘えと言えば甘えだけれども、一概に悪いとも言えないし…、難しい所です。
結果として、セラは賢人会議を脱退して、エドやファンメイらと同様に世界再生機構に合流する形となり、ディーはマサチューセッツを滅ぼしながらも、決死の覚悟の祐一に止められたという。
そして、祐一の件については、I-ブレインの使用過多で3ヶ月の命？ということになっていました。魔法士って消耗品だったんだっけ…？そう考えるとアニルがマザーコアになる経緯が納得できるけど、あの人炎使いとして魔法使ってたよな…。
そんな状況で、魔法が使えない状況になっていた祐一でしたが、ディーとセラに人を殺す事について言っていた責任、ディーに森羅を与えた責任もあってか、ディーを止めに行き寿命より先に天寿を全うしてしまうという。ここでまた退場者が出るのか…と思いつつ、旦那が格好良かった。
今回ほとんどサクラの動きがないまま終わってしまいましたが、賢人会議の古参組がほぼ一掃されてしまって、サクラとも連絡が付かない状況なので、行動方針がどうなるか。うーん、早く雲を除去すれば良いんじゃない？
気になった点は、フィアを利用したマザーシステムの統合の準備が早過ぎたのと、何か人類が逆に魔法士を排斥する術を手に入れた的な話がよく分からんかったです。
そういや、拠点防衛としては最強のイルがディーらに敗北したのも凄かったです。透過能力も酷使し過ぎると、使用し続けられない的な。周りに助けられるのもまた英雄。
今回のbest words
やっぱり祐一はすごいね (p.464 錬)
あとがき
「ー 錬は、なにがやりたいですか？」のフィアの表情がお姉さんでした！
頑張れ錬、次回はもっと見せ場が来る筈だ。
