今回は、ヴィザブレ10巻です。
少しモヤっとする展開がいくつかありましたが、収まる所は収まって、また新たな関係性や物語が始まる期待を感じる回でした。
あらすじ
中央招集会議2日目。アニルとルジュナの言葉の応酬によって、次々と人々にマザーシステムの現状とこれまでの経緯が明かされていく。そこで、再び現れる賢人会議。攪乱された会議の中で、マザーシステムの新たな課題が公表され…。
妨害されながらも、病気の事を明かしたアニルは、錬やフィアなどの面々の助けによって、マザーコアとしての手順を完遂する。月夜は再度の真昼との接触も交渉は決裂するが、そもそも真昼の目的は推進派の阻止ではないようで…。
感想
今回のポイントは、マザーシステムの真実、クレアの決断、そして錬とフィアの物語の延長と覚悟だったかなーと思います。
まずは、茶番のような兄妹の討論があったんですが、後から見るとやはりルジュナの方が兄のやろうとしていた事を大体理解した上で、立ち回っていたようですね。だからこそ、真昼がルジュナを探った事がビンゴだったと。
そして、読者として驚いたのがマザーシステムの寿命の話。それによると、魔法士をマザーコアとしてシティを維持するシステムも、30年だか50年だかで立ち行かなくなるという。
これには、度肝を抜かれたし、真昼が世界を変えると言ったのはこういう事情を知っていたからなんだろうなーと思います。次回以降、資源の奪い合いに傾き始めるのか、代替案が生まれるのか、魔法士の犠牲が無くなるのを喜ぶべきなのか。
次に、クレアの件。これが今回個人的には1番面白かった点で、まさか本当にヘイズの相棒になっちゃうとはなー。
元々、この章が始まる際に重要なポジションになるだろうと予想していましたが、どちらかと言うと、物語を動かすというよりかは自身で殻を破ったというイメージ。というのも、マサチューセッツからの指示を完全無視して、追われる身とは言え自由の身になったこと。
何が心を動かしたかというのは、ディーとセラの件もあるだろうし、イルの存在やアニルの献身さも貢献したのかなという気もします。いづれにせよ、前を向いて歩き出すクレアは中々に魅力的だったと思いました。
そして、錬とフィアの物語の延長というのは、シティ・神戸を犠牲にフィアを助けた後の悩みに対して、アニルの覚悟を見た事で、神戸の件をしっかり考えるようになったというか、また一つ成長したというか。
真昼の目的については、シティも賢人会議も得をすることだった?と終盤明かされていましたが、実際のとこはどうなんでしょうね。少なくとも月夜には伝わってないようですが…。反対派のあぶれ者を賢人会議は仲間にして、ニューデリーとしては反乱分子が除外されたということで。
モヤモヤポイントについては、まずアニルの病気が都合良過ぎるという点。これ逆に病気じゃなかったら、アニルはどうしてたんだろうねと。父がマザーコアになってから時間あったのに、あまり対策が考えられてない気もしました。
それから、賢人会議の目的が犠牲になる魔法士の救済の筈なのに、自らマザーコアになると言うアニルに対してのスタンスってどうなんだろうね。ここは、真昼の見せかけという話もありますが。
会議の警備ゆるゆるじゃんってのはまぁ良いか…。あとは、セラ強くなり過ぎじゃね…というのと、森羅の代償が分かりづらい点かなー。
イルって壁抜けできるんかいってのと、サティさんニューデリーの守護神なんて綽名付いてるんかいってのがびっくりでした笑。あとは、アニルとヘイズの過去話はどこかで見たいところ。
錬とサクラの再戦では、同じ悪魔使いでありながら、『合成』と『並列』という差があるらしく、引き分けでしたが次はまた敵同士になるのかも注目です。
今回のbest words
何よ、いいじゃないのよ減るもんじゃなし (p.339 クレア)
あとがき
確かにインドらしい描写はほとんどなかった笑。
次回はファンメイら残りの面々も出るようで、新たな関係性とオールスターの感じで楽しみです。誰が敵役になるかなー。