心和のラノベ感想

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ウィザーズ・ブレインⅡ 楽園の子供たち 感想

ウィザーズ・ブレインⅡ 楽園の子供たち

 

今回は、ウィザブレ2巻です。

そう言えば前回書き忘れていましたが、このタイミングで今作を読み始めたのは、10年振りくらいの新刊が発売された為でした。wikipediaや今巻のあとがきでも筆者は遅筆と言われていましたが笑、乗るしかないこのビッグウェーブに、という訳です。

さて、今回は祐一や錬たちの話とは離れたとは言え、また不運を背負った人々のお話になりました。400頁という物量もありますが、長編映画を観たようなスケールでした。

あらすじ

シティ北京によって築かれた高度2万2000メートルにある実験基地。そこには、生体制御特化型魔法士《龍使い》と呼ばれる4人の少年少女達が暮らしていた。依頼を受けたヴァーミリオン・CD・ヘイズは、来るニューデリー軍の総攻撃を前に、施設の査察及び実験サンプルの奪取を目的に、彼の地へ降り立つ。

しかし、戦闘の末に和解の形に落ち着き、ヘイズは少年少女たちと数日間を過ごすこととなり、友好関係を築いていく。施設で暮らすファンメイという少女は、外界の様子を全く把握しておらず、戦争を通じて崩壊したシティ北京の事も知らなかった。ふとした弾みで、その事実を知ってしまったファンメイは、徐々に実験の真相にも辿り着いていく。

感想

今回の表紙が、ファンメイとシャオロンだと読んだ今は分かる訳ですが、この二人の不器用な恋愛模様が、何とももどかしくて良かったです。良きライバルでありながら、最近は何かと意識していたり、嫉妬があったり、向き合うと思ってもないことを言ってしまって(バカ女、カニ男)喧嘩したり。

ファンメイは13歳ということで、持ち前の明るさや突っ走る感じには読者としても好感を覚えました。ファンメイの下手くそなケーキを美味しいと食べ切るシャオロンのエピソードもエモかったです。ただ、今作はほほえまーなだけではなくて、悲しい宿命を背負っているというか、一筋縄ではいかないんですよね…。

実験の中で適応力があったのが、ファンメイ、シャオロン、ルーティ、カイの4人であったものの、黒の水の使用には人間としての生体反応が拒絶してしまい、暴走が起こると。それでも生き存えてきた4人ではあったけれども、実は何回か生まれ変わりをしていて。出だしのシーンの凄絶さが、後になって分かってくるという。

あまり記憶がどう受け継がれているのかとか、指令を断絶したお陰で外に出られるとは言え、ファンメイは外に出ても生きられるのかとかは不明ですかね。

最後は、暴走したカイと、外界からの攻撃からヘイズとファンメイだけが生き延びて、ファンメイは最後シャオロンから託された指輪の"これからも、がんばろう"の文字を見て、前に進むという形で終幕。

ヘイズに関しても、元実験体としての境遇からファンメイ達には早くから同情していたようで。魔法はあまり使えないっぽいですが、演算能力の高さから回避や指パッチン攻撃が出来るみたいです。追われる身となっても後悔はしてないんだろうなーと思います。

今回のbest words

そんなことしたら、友達になれないじゃない (p.118 ファンメイ)

あとがき

前回で神戸が消滅して、残るシティはベルリン、ロンドン、マサチューセッツニューデリー、モスクワ、シンガポールらしい。アフリカは無くなったみたいですし。

どんなに辛くても生きて前に進むしかない…か。