今回は、ウィザブレ1巻です。
第7回電撃ゲーム小説大賞の銀賞受賞作。応募時のタイトルは『魔法士物語』で、作者名も零一二三から変更しているみたいです。
近未来SFアクション+ボーイミーツガール+セカイ系っぽさもある感じで、1つの物語を読んだ!という気分になれる作品でした。
あらすじ
西暦2082年の世界連合の発足には、ネットの発達・人口問題の解決・シティの建設という3つの要因があった。中でもシティとは、2000万人の生活を恒久的に維持することが可能な巨大建築物。しかし、今から12年前の2186年に起きた大気制御システムの暴走、そして魔法士の誕生による戦争によって、200億人いた人口は2億人足らずとなり、シティは7つのみとなった。
魔法士、天樹錬は任務の中で、黒沢祐一に戦闘で敗北しながらも、培養槽の中から『四』を意味するフィアという少女を助け出す。しかし、フィアはシティを維持するマザーシステムの為に身を捧げる運命にあった。そして、祐一の彼女であった七瀬雪は最強の騎士でありながら、10年前にマザーシステムにその身を擲っていたのだった。
感想
最初は何が起こっているか分からないものの、徐々に内容が分かっていくという感じでした。表紙も今となっては錬とフィアだと分かるし、この巻は2人の物語だったなと思います。と言っても、敵キャラっぽい祐一は、話の始めで雪に膝枕されそうになっているし、なんなら、(血の繋がりはないものの)錬の双子の兄の真昼と姉の月夜は祐一と仲良いくらいだし。
話としては、フィアという少女と1000万人を養うシティの維持どちらを取る?というのがメイン。その問題に直面した錬ですが、その前に立ち塞がるのが祐一で。この祐一が10年前にこの問題に直面し、後者を選んだ人物という。いや寧ろあまり雪から聞かされてなかったって話っぽいから、より傷が深いのかも。
最終的には、フィアを救い出しながらもシティは継続するというハッピーエンドでした。悲しい時だけでなく嬉しい時も泣いて良いということをフィアは学んだんだろうなと。
フィアと時間を過ごす描写がしっかりあったお陰で、感情移入が出来た点も良かったものの、何故フィアの犠牲なくしてシティにが問題なく済んでいるのかがよく分からなかったのが、少しモヤモヤしました。
魔法の戦闘描写とかは新人らしからぬ迫力があったように思います。後発の魔法科高校の劣等生を彷彿とさせるような。I-ブレインがCADみたいなもんなのかなーと思ったんですが違うかな?笑
今回のbest words
約束通りやろうよ、雪遊び (p.151 錬)
あとがき
何で神戸シティなんだろう…?
次回はキャラも展開も変わるかなー。