今回は、キノの旅です。
第6回電撃ゲーム小説大賞の最終選考候補作にして、2023年現在では23巻まで出版されている人気シリーズ。
喋るモトラドのエルメスとその運転手のキノが様々な国を訪れる連続短編形式で、立ち寄ったそれぞれの国の成り立ちに、色々と考えさせられて面白かったです。
感想
〜人の痛みが分かる国〜
あらゆる事が機械化されて便利なものの、人が全く見当たらないという町の話。というのも、新薬の開発で全人口が他人の心の声が聞こえるようになったから。初めは褒め囃された力も、暫く経つと綻びが見え始めて、それぞれが人と距離を置くようになってしまったという。
丁度、忘れえぬ魔女の物語2巻で触れたばかりの話題だった訳ですが、人の考えている事が分かる能力って、自分1人が使えるからこそ意味があるんだよなーと。双方向に考えが筒抜けだと、隠し事が出来ないからプライバシーがダダ漏れになる。
側から見てる分にはお世辞が言えない場ってめちゃくちゃ面白いだろうと思いますが笑、当人たちにとっては死活問題だよな…。
最後のオチも秀逸で、割と意思疎通が上手くいってない方が上手く事が収まることもあるんだなーと思いました笑。
〜多数決の国〜
こちらも人が見当たらない町の話。多数決で死刑を執行していく内に住民が1人になったという多数決の極致。最初は我儘な国王の粛清から始まったようですが、これはエスカレートし過ぎ…。
2:1になりさえすれば何でも許されるというのも考えものだなーと。自分の意思や意見を持つことの大事さも感じました。
〜レールの上の三人の男〜
レールを綺麗に保つ老人→レールを取り外す老人→レールを敷設する老人という順番で出会う話。これを読んだ時に無性に、ロングコートダディの荷物運びのネタが思い浮かんだんですが笑、報われないな…。
老人たちもどこかで手を抜けば別の老人に出会って自分を見つめ直せそうですが、勤勉が故に悲劇を生んでいるような側面もあるような気がしました。
この話は国とか町ではなく道中って感じでした。
〜コロシアム〜
市民になる為には入国者同士で戦って、最後の1人のみ1つ法律を定めると共に市民に認められるという話。観光で来たキノも強制参加させられてしまうものの、キノはパースエイダーの名手の為生き残る。戦闘回。
そこそこ長めの話に加えて、キノが積極的に国に干渉した話でもあったなと思います。最後に戦ったシズは、放蕩の現国王の息子の1人で、キノは戦闘に紛れて国賓席を銃撃する。この後の町もかなり大変そうというか、この町もこれで崩壊するのか復活するのか。
普通に流されてるけど、キノの旅の世界観ではモトラドが喋ろうと犬(陸)が喋ろうと何でも有りなんですよね。この辺りはラノベ要素か。
〜大人の国〜
キノの始まりの話?大人はどんな仕事でも働かなくてはならず、子供は暫く子供として育った後に、洗脳に近い手術を受けさせられ、誰もそれを不思議と思っていない。
別に楽しい仕事があっても良いし、なんなら仕事をしないという選択もあり得る訳で、自由の大事さが分かる話でした。
前任者のキノと名乗る旅人が救ったこの国の娘が今のキノか。
〜平和な国〜
隣国との戦争が絶えない国が、隣国と結託して別の集落を襲撃して、その殺人数で競い合って平和を保っている国の話。憎しみの連鎖って感じでした…。
タタタ人かわいそー。
今回のbest words
ふんっ。スケベ犬が (p.162 エルメス)
あとがき
プロローグとエピローグの順序を逆にした意味って何かあるんかな…?
滞在は3日間というルールは良いですね。それと、勿論主人公はキノだけれども、街や国の文化ありきで物語が出来上がっていくのは、毎回新鮮で飽きなくて良きでした。
時雨沢さんはガンマニアで有名ですが、銃系統の説明付いていけない…笑。