今回は、デアラアンコール5巻です。
どの話も面白かった!筆者のあとがき解説含めて素晴らしい。冬の話が多く入ってましたが、令音さんの休日の話も予想の斜め上を行く展開で飽きなかったです。
感想
〜折紙カウンセリング〜
亜衣麻衣美衣によって、恋愛相談室室長に仕立て上げられた折紙の話。
デビルな折紙の方なので、まともな思考をしながらも所々抗えずいつもの折紙との葛藤に悩んでいる様が、何回見てても面白い。私どうしてこんな事を…みたいな。
それでも、十香を陥れるような助言をしてしまうのは、根底のライバル心からか。
〜令音ホリデー〜
怪しげな男(金剛寺かおる)にモデルにスカウトされる事から始まる令音の休日。
徐々にスケールが大きくなっていく様がわらしべ長者っぽいなぁと思ってたら、文章でもあとがきでも触れられていたので、著者の思惑をちゃんと汲み取れたなぁなんて。
まぁ、とにかくいつも気怠そうな令音さんが、実は何でもハイスペックにこなせる超人だったという話なんですが、いやマジでこの人何者なんだ…。「まぁ、それくらいなら…」じゃなーいっ!
プロポーションは勿論、ヴァイオリンの腕、小国のクレル語を操り王女の通訳を務め、応急手当てに機体の操縦、国際会議への影武者としての参加…。いつもこんな波乱の休日を?とある魔術師とは全然違うな笑。
何でもインフルエンザのせいにする雑さもまた面白い。
〜白銀アストレイ〜
スキーをしに雪山に来た一行、子供を助けようとした美九を追って、士道、夕弦、折紙らが遭難してしまう話。
四糸乃は能力の特性も相俟って生き生きとしてました。スキーが苦手なのは琴里と七罪くらいの様子。
遭難したメンバーが積極的で肉食系だったのは挿絵的にも美味しかったです笑。
〜白銀マーダラー〜
雪山の山荘で怪談を話す耶倶矢は、みんなを驚かせるべく士道と十香と共に一芝居打つが…な話。
雪山と言えば、ミステリーサークル!殺人事件!というお約束を前の話に続き踏襲。とらドラ!のまんじゅうこわいメソッドの時と似てるんですが、騙そうとした側が既にバレていて逆に驚かさせるパターンでした。
死人が出たと思しき状態で、みんな反応が淡白過ぎだろーという気もしますが、ヒロインの素質としては、怖いもの嫌いの方が可愛く見えるかも知れませんね。
双丘の業(カルマ)という自身の作品を捩ってくるの面白い。
〜精霊スノーウォーズ〜
3チームに分かれての雪合戦。OO(オリリン・オリジナル)式。
雪玉に当たった人はリタイアとか、チームの後ろに旗を立てて、それを取ればチームをごそっと味方に出来るといったルール。士道、琴里、七罪の五・七・五チームとかネーミングセンスある。
試合は、四糸乃が雪を供給して十香、耶俱矢が放つチームが優勢かと思われたものの、雪だるまに擬態して旗を取った折紙チームが躍進。
言葉巧みに試合展開を牛耳っていた折紙でしたが、七罪が雪玉に擬態するというファインプレーで、士道の貞操は守られました。
七罪はかまくら作り出来て良かったね、という事で。
〜精霊ダークマター〜
炬燵が用意された五河家で、抽選の末に闇鍋をする事になる話。
炬燵の中にクジを入れて〜という発想が面白いんですが、ここでようやく狂三が絡んでくると。確かに、せっせと仕込んでたり、クジを操作したり、自分も遊びたいと思っている狂三を想像すると微笑ましい。
序盤こそ平和だったものの、狂三が用意した辛い食材や匂いの強烈なもの、不味いお菓子等によって、徐々に精霊達はダウンしていく。うーん、闇鍋って碌でもないな…笑。
本当はこういう引っ掻き回しポジションは折紙でしたが、今回は狂三という変化球。と言いながら、自分のパンツを鍋に仕込む期待の裏切らなさを見せてくれたのは、分かってても笑っちゃいました。
穿いた後のパンツだったら、それが鍋の出汁に染み込んで……クッ。
最後はわたくしたちに出汁にされる狂三はいつも通りになってきました笑。
今回のbest words
低体温からくる判断力の低下が原因。折紙ミステイク (p.151 折紙)
→美九ユートピアも短編タイトルみたいだな。最近の美九は精霊の中では特異な性癖という事で、存在感あるけどその分変態性が増してる気が…。
あとがき
挿絵の細かい所も見ていくと手が込んでるとは良いですね。もっと言えば、文章の隅々にキャラクターの個性なんかも出てるのが好き。
デアラの短編集まじでいつも面白くて凄い。何となく話の流れが読めたとしても面白いんだよなぁ。二亜とかまだ出てないキャラクターもいるし、今後も賑やかになっていく様子を見るのが楽しみです。