ミリは猫の瞳のなかに住んでいる感想

今回は、ミリは猫の瞳のなかに住んでいるです。

第29回電撃小説大賞の金賞受賞作。

瞳を通じて対象の過去を見ることのできる主人公と、未来視のできるヒロインという組み合わせに加えて、演劇部と推理が絡む話でした。

あらすじ

アパートでリモート授業を受ける大学生の紙透窈一。隣の部屋で銃殺事件が起き、窈一は自身の持つ過去を見る能力を猫に使用すると、瞳の中で柚葉美里という未来が視えるという少女に出会う。

美里と話していくうちに、連続殺人になるという先の事件を追っていくことになる。そして、言われるがまま演劇部に入り調査を続けていく中で、自身あるいは美里の死が運命であることを知り、美里を助けるために奔走する。

感想

「ミリは猫の瞳のなかに住んでいる」とても特徴的なタイトルで、どんな話になるんだろうと期待して本を購入しました。序章を読んだところでタイトルの意味は大体分かる。というのも、ミリというのがヒロインの美里のことで、窈一が猫の瞳を通じて能力を使用した時に、美里に出会えるというもの。時間軸が異なるから、美里の側にいる猫は小柄で、窈一の側にいる猫は大きい。

そして、まず驚いたのががっつりコロナが作品に反映されているところ。コロナ警察的なのを揶揄するシーンもありました。結局、被害者が何股もかけててコロナに罹患した人が事件関係者っていう核心にも関わってたってことよね。それに、マスク越しのキスもエモかった。

文章についても、比喩表現が多彩だったので良かったです。天丼が多めだったのも良くて、阿望先輩のグリとグラTシャツが破けるのが面白かったです。このキャラの濃さは強かった。

ただ、最後のシーンがよく分からなかったですね。何故ミリに出会うことができたのか。それから、美里が整形して千都世先輩になったのは、飛行機事故のせいではなくて、美里として窈一に会わずに演劇部に紛れ込むため？

わたしはあなたの涙になりたいという、もう一つガガガ文庫の方で賞を受賞した同作者の作品があるんですが、個人的にはミリの方が好きかなぁ。どっちもヒロインが亡くなってメッセージを残すパターンなんですが笑。