今回は、ふたきれ5巻です。
内容としては、純と琉実と那織が横浜に行って、純が那織に告白するのみで260頁どう埋まるのかと思っていましたが、それに加えて琉実の過去のデート回と、告白後の合宿(水着回)という構成でした。
あらすじ
「那織、僕は那織のことが好きだ」
純の誕生日祝いの名目で横浜へと出かけた3人。帰り道の公園で純は告げる。
しかし、当の那織は内心欣喜しながらも、まだ付き合ってとは言われていないことに加え、何故琉実ではなく自分を選んだのか判然としないとして、煩悶していた。
そんな那織を見かねて、部長や慈衣菜は見せ場を演出するために合宿を計画する。その合宿には琉実も自分の意思で参加を決めるのだった。
感想
最初の100頁弱は琉実視点の純との初デート回でした。不器用で恥じらいを隠蔽しながら、それでも楽しく過ごしている様子が伝わってきたので良かったです。普段あまりないヒロイン目線だと、色々発見があるのも良いですね。まぁ、中学生くらいだと女の子の方がませていて、男の方が思ったことをすぐ言えないみたいなのはあるよなぁ…。
そんな幸せな時間があったけれども、やっぱり純と那織が最後には結ばれるというのが、横浜のお出かけ後のことで。抜け駆けをした琉実にとっても、禍根を残さない結果として。
この辺りからは、いつも通りの文学かぶれで映画かぶれの文章でした。本当この作品の特徴は、遺人(偉人?)の引用の多さと地の文の難解な熟語の多さで、那織と純の知識が高校生のそれじゃないことですね笑。結構ヒロイン目線が多めでもあるので、純の良さが出にくいものの、これだけ話が通じるんだったら一緒にいて楽しいのかなーと。
あとは、やはり神宮寺家のママは元ヤンっぽい笑。合宿の海沿いの宿泊地は母の伝手で手配と。そういや、この作品の舞台って埼玉だったっけ…?
基本は3人の関係性がメインの話なので良いですが、周りのキャラの印象がほぼ部長以外薄めなのはしょうがないかなぁ…。間が空いたというのもありますが、教授ってどういう奴でどういう関係だっけ?と思ってしまいました。
オチの純が那織に付き合ってと海辺で言った辺りのことを、部長が隠れて録画を撮っていたのは笑えました。これは酷い。
それから、ディスり式部とスタジオディスりの韻の踏み方が素晴らしい。
今回のbest words
でも、これで可愛くて嬋娟で婉美な見目麗しい彼女が出来たね (p.246 那織)
あとがき
物語は付き合って終わりではないというのは確かにそうで、ましてや学生時代に付き合った人とそのまま必ず結婚するという訳でもない。
ということで、話は一区切りですがこの作品は続くらしいです。ただ、琉実がちょっかいを出す展開にはならないだろうし…。