心和のラノベ感想

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春夏秋冬代行者 春の舞 下 感想

春夏秋冬代行者 春の舞下


今回は、春夏秋冬代行者 春の舞 下巻です。

まずは、表紙が上下巻で一枚絵になるのが良いですよね。いや、もしかすると今後も横に繋がっていくんでしょうか。

シリアスな展開も多いながらも、救いがある下巻でした。

あらすじ

秋の代行者、祝月撫子の奪還に向けて、春夏冬が一致団結し捜索が行われる。

しかし、各所で起こる裏切り行為によって、戦局は厳しいものとなっていく。

感想

ハッピーエンドに落ち着いて良かった、そう思います。前半で、少し過去の雛菊の両親の話やさくらとの出会い話があって、中盤はバトル、バトル、バトルで、エピローグでテロを経てのそれぞれの関係性の変化と温かみがありました。

最後の文章を物語の始めの文章にするやつ(とらドラ的な)好きなんだよなぁ。

下巻だけで、500ページに亘る長い物語でしたが、雛菊はさくらというかけがえのない同性の友人を得、一緒に生きることを誓い、そして、再会した狼星からは、監禁の末に精神が壊れて、別の人格となった雛菊も含めてまた愛してくれて、月日は経ったけれども気持ちは変わっていなくて良かった。

それから、秋の護衛官、竜胆は今回の件で今まで以上に撫子の大切さに気付いて、救出後に宛ら騎士のように接するシーンは良かったです。幼いながらも、竜胆をドギマギさせる撫子さんは大物ですね。

そして、戦いの中で竜胆と夏の面々も仲良くなる訳ですが、それ以上に瑠璃とあやめの絆が深まったのも感じました。結果としては、凶弾に倒れた瑠璃を撫子が復活させて、夏の代行者が2人になるというハプニングもありましたが。

とにかく、大半が暗いシーンばかりで心が折れかけましたが、最後で報われたって感じでした。今回の敵は、10年前に雛菊を攫った賊と同じ【華歳】観鈴で、当人も裏家業の両親や娘の流産など過酷な過去を持っていて、その過去を引き摺る人物でした。同情はできませんが。

賊にも春至上主義とか色々種類があって、10年前の雛菊拉致の際も、代行者の力を何かに活かす目的で政府を脅迫する【華歳】と冬の根絶を目的とした【彼岸西】という2つの賊が黒幕だったらしく。観鈴は、雛菊の能力を利用し大麻を栽培させて味方を増やしていたと、なるほど。

自分さえ助かれば良いと考えず、倍返しの復讐もしない雛菊のお人好しさには、少しやり過ぎ感もありますが、結果的には「たえしのび、せんきをまつ」を完遂して、因縁の相手を捕縛出来て、撫子も奪還出来たので、良かったなと思います。

読んでいて気付いたことを少し。

撫子のセリフが平仮名多くて可愛い。

一等という言葉が頻出する。

あとがき

筆者のあとがきが尊い(定期)。

哀しさと温かみが同居した春の物語は、過去との決別とこれからの希望に満ちた、ハッピーエンドと言っても過言ではない終幕で満足です。

夏の物語は、既にちらほら出てますが、次の話がどういう展開になるのか全く予想できないなー。

2022.7.3