心和のラノベ感想

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タイム・リープ あしたはきのう[上] 感想

タイム・リープ


今回は、タイム・リープ上です。

1997年発行ながらも、評価が高いとされている作品です。この時代のラノベは今から比べると、ラノベっぽくなくて、普通にSFものという感じがします。いつからラノベ萌え要素強くなったんだろう…。

あらすじ

クラスメイトの若松和彦とのキスで意識を浮上させた鹿島翔香。しかし、全くどうしてこの状況になったのか記憶がない。そればかりか、次に意識を取り戻した時には、月曜日を過ごした記憶がないのに火曜日となっていた。

「若松くんに相談なさい。」自分が書いたとされる日記から、和彦に協力を打診し、不可思議なタイムリープ現象の謎に迫っていく。

感想

まず言いたいのが、上巻めっちゃ良い所で終わるなー笑ってことです。ようやく事態が掴めてきてさぁどうなる?ってとこでした。序盤は何が起こってるか分からないことの連続でムズムズしたので、下巻での伏線回収が凄く楽しみという。

なので、上下巻を読み終わってから1本の感想記事にしようかなとも考えたんですが、やはりこの時点だからこそ予測とか、思う点もあるのかなと思って1本ずつ残すことにしました。

200ページ弱のボリュームなのでとても読み易かったです。それに、文章も引っかかるところも少なく、なるほどなぁと唸りながら読み進められましたのに加えて、先も気になりましたし。

時間移動系の話というと、シュタゲとか物語シリーズとか色々な作品で取り上げられるテーマですが、僕は涼宮ハルヒ絡みで谷川流さんが言っていたことを思い出します。確か、タイムリープものは、その時間軸に自分が2人いるパターンと置き換わって1人のパターンがあるって話だったと思います。

今回のパターンは、後者の場合と言えそうです。その時間の意識と体が一致してないと駄目みたいな仕様でした。また、自分で意図して過去や未来に行ける訳でもないようです。怖い目に遭った時に無意識に未来に跳躍して、安全だと分かったら怖い目に遭った時間軸に戻る(やり直す?)という。

でも、そもそも未来に行けているということは、怖い目に遭った瞬間では大事に至っていないということを証明しているような気がします。だからこそ、翔香が和彦に危機を伝えて、和彦が翔香を救う行動というのは、過去改変に見えて実は必然だったのかなぁと思う訳です。

そのよく論われる過去改変というテーマ。対照実験でないと差がわからないように、枠外にいる人でないと観測できないと。確かに極端な話、本能寺の変が起きないように過去を変えたとして、今いる人間は本能寺の変が起きてない事を下敷きにした歴史観を養うので、歴史を変えた事実を認識することはできない。

それでも、逆に少しの変化でも人の意識や行動を変える要因となり得るというのは興味深いですね。

さらに面白いのが、予言を与えてしまうと逆に行動に歪みが生じる可能性があるということ。未来を知っている事が行動に選択肢を与えてしまう。乃ち、同じ人間が同じ状況に置かれたら、同じ行動を取ると信じて、未来の出来事を吹き込まないという形が安全なのだと。

あとがき

とかく何事も自分視点で見てしまいがちで、この話も主人公の翔香目線で読んでしまうんですが、和彦とか翔香の友人目線で読み返すとまた面白いのかなと思いました。

日曜の夜に何があったのか、和彦とキスをする未来がちゃんと訪れるのか見届けたいです。

2022.4.25