心和のラノベ感想

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半分の月がのぼる空 looking up the half-moon 感想

半分の月がのぼる空


今回は、半月1巻です。

第4回電撃ゲーム小説大賞金賞作家の橋本紡さんの5作目に当たる作品で、元は短編だったようです。

ラノベ界隈では何回か耳にするタイトルでして、1巻の初版は2003.10.25ということで、19年前ですか。

ラブだめ5巻で、7番さんのお父上が口にしてたのもあって読み始めました。

あらすじ

戎崎裕一は、急性肝炎で入院中の身だった。しかし、それほど重病でもない為、夜中に病院を抜け出しては、よく看護師の亜希子さんに叱られていた。

ある時、裕一は同年代の少女が入院しているのを見かける。軽症が多い西病棟ではなく、東病棟でだ。亜季子さんとの取引で、その少女(秋庭里香)の話し相手になるのだが…。

感想

これぞボーイミーツガールですよ。切なさと田舎の何とも言えない懐かしさの中で、わがまま系ヒロインと出会って、知って恋していく内に、ヒロインの秘密を知っていく感じ。くぅ〜、今時のラノベにはない確かな何かがあると感じました。

絵もまた今風じゃないのがまた良くて、文章も風景描写が丁寧で引き込まれます。何というか、軽いんだけど軽くないというか。決して上辺だけを取り繕った小説ではない。

それから、小ギャグがいちいち面白い。この昔のノリ?みたいなのは、やっぱり趣があって馴染む。恐怖の十メートルとか多田コレクションとか諸々ネーミングセンスが抜群。笑

やんちゃな看護師(昔は看護婦)がいて、めっちゃ頼りになる友人がいて、大手術を控えるヒロインのために、無茶をする主人公…この設定だけでも素晴らしいでしょ?

芥川龍之介を知ったかして会いに行くという最悪の邂逅から、亜季子さんから逃げるために狭い場所で2人隠れたり、里香の父との記憶の場所へ連れ出したり…エモい。

どちらも父を亡くしている身だった訳ですが、意識が朦朧としていた裕一は果たして里香に何て言ったんだろうなぁ。里香を死ぬ覚悟から生きる覚悟に変えるほどのパワーワードだったことは確かなんですが。好きくらい言っててもおかしくない。

なんかね、こうテキトーに生きてても人生何とかなってしまうというのは、裕一の父の話を聞いていると思ってしまうし、でもやっぱり劇的な展開を期待してしまう気持ちもあって。多田さんの嘘か本当か分からない話ではないですが、後悔しないように生きたいですね。

今回のbest words

おまえもそのうち好きな女ができるんだろうなあ。いいか、その子、大事にしろよ (p.13)

あとがき

病院でのボーイミーツガール。今後はどう展開していくんだろうなー。8巻までどう進んでいくか想像つかないです。でも、この2人のやり取りを見てると、ハルヒキョンを見ているかのような安心感があります。

2巻の一文目がもう決まってるとのことで、先読みしたら笑いました。多田さんはとんでもないものを遺したいきよったで笑。