心和のラノベ感想

1ヶ月15冊読了目標!

忘れえぬ魔女の物語 感想

忘れえぬ魔女の物語


今回は、忘れえぬ魔女の物語です。

第12回GA文庫大賞金賞作品。本の触った質感が良くて、イラストが京アニっぽくて、百合の話で賞受賞作品という事で期待して読んでみましたが、全然面白くなかったという…。

ここ最近は長編タイトルばかり読んでいたので、短めの積み本を少し消化しておこうと思ったんですが、うーん…これが受賞してしまうとなるとレーベルそのものを疑ってしまう。

あらすじ

同じ日を5日ほど記憶を保ったまま過ごす特殊体質な相沢綾香。同じ日を過ごす中でも、人の気まぐれで些細な行動によって細部が変わる。そして、綾香自身にも過ごしたどの一日が採用されて翌日に移行するのかは選択できなかった。

そんな綾香に高校に入って人生で初の友達が出来る。将来魔法使いになると曰う未散は、やり直しの一日でも綾香の友達となり、綾香の体質にも寛容な態度を見せる未散に、綾香は徐々に心を許していく。

感想

どうして面白くない?となった時に、感覚的に言ってしまえば続きが特に気にならないから、いうことになってしまうけれど、それでは修正点が見えないのでもう少し踏み込んでみると、設定の複雑さと説明不足、キャラの魅力と没入度、説得力の無さ、辺りか。

設定の複雑さというところでは、恐らく作者としても単なる百合では弱いと思われたから、1日を何度も繰り返す主人公という設定を作ったのだと思います。言われてみれば、毎日を今日は一生の内の一日だと思って本人は過ごしているつもりでも、実は忘れているだけで、何回か過ごした内のどれかが採用されているかも知れない。

そういう意味では着眼点は面白くて、当人からすればほぼ同じ光景を過ごさなければいけない一方で、他の人の何倍もの時間を過ごせる訳だから、勉強は出来て然りだと。ただ、ここで躓きポイントがあって、主人公が完全記憶能力的なものを持っているらしい事が分かる。この設定って必要だったのかなーと。それに、体質との区別もあまりされてないせいで、ごっちゃになっている感もあるんですよね。

そして何より両親からネグレクト状態という話。これが出た瞬間に、あぁこれ駄目だ…って思いました。主人公は同じ日を何日か過ごす為に予言めいた事が出来るということで、親に披露していたようで、それで気味悪がられたとのこと。いや親w もうこれだけでも薄っぺらさが際立ってしまって読む気が失せてしまいました。しかも、最後に取って付けたように親が戻ってくるシーンがありましたが、完全に蛇足でした。ちゃんと原因と結果の過程を書いてくれないと…。

まぁ、そんな主人公の体質、どの一日が採用されるか分からないという事ですが、話の中で日付が飛び飛びなので分かりづらい。というか、どれが採用されやすいとか主人公は実験とかしてないんですかね。そういう描写とかがあれば、読者も共感しやすいのではと思いました。あと、4〜5日繰り返すって話だったのに、何で綾香か未散どっちか死ぬ的な運命になった時に、何日も繰り返してるん?

途中からは最早下手なタイムリープものみたいにもなってましたし。そもそも未散が魔法使いになると言ってたり、優花が何者なのかも全然分からんし。主人公もよく分からん行動取ってしかも被害者面してるし擁護出来ない…。

今回のbest words

ふへへ、綾香の味がするね (p.202 未散)

あとがき

ラノベってジャンルは無限で何やっても良い自由さはありますが、筋は通さないといけないなと思います。もしくはそれを上回る面白さがあれば良いのですが。エキノコックスをエノキコックスと間違える的な会話はどんどんやって欲しかった。

かも仮面さんの絵柄は京アニっぽいけど別に京アニの人って訳ではなさそう?