今回は、戯言シリーズ6巻です。
755ページということで、結構時間がかかりました…。と言っても、冗長な部分が多くてトリックもあっさりしてたので、登場人物を篩にかけたのと、次の3部作に向けてのラスボス登場の意味合いが強かったのかなーという気がしました。
ブックカバーはリバーシブルでしたっ。
あらすじ
この世には4つの安定した世界がある。普通の世界、玖渚機関を核とする世界、四神一鏡を核とする世界、戦闘能力の世界__。殺戮技術集団、匂宮雑技団に所属する《人喰い(カーニバル)》理澄に《人喰い(マンイーター)》出夢。弱い側を担当する自称探偵の理澄は、生き倒れていた所を春日井春日に拾われる。
ぼくの住む骨董アパートに紫木一姫は棲みつき、住処を失った春日井春日はぼくの部屋に雪崩れ込んでいた。巫女子ちゃんから話を伺っていた《死なない研究》をする木賀峰約から研究のアルバイトの話を持ちかけられたぼくは、春日井さんと姫ちゃんを連れ立って参加を決める。
感想
あらすじに5人研究所にいてぼく以外が死にましたという事柄を入れようと思ったけど、長くなるので止めました。ということで、今回はそんな事件。元々哀川さん始め危ないと言われて向かった研究所、しっかりとフラグ回収。
春日井さんは自ら脱出して、そこから最後までぼくに姿を見せないまま行方を晦ませたというのはやっぱり自由な人なんだなー。ミスリードの意味合いもあったのかも知れないけど、普通に考えて今回のヤマの因果からは外れてるよねと。
研究所にいたのは、ぼく、木賀峰さん、姫ちゃん、理澄(出夢)、800年生きてるらしい死なない少女の円朽葉。まぁ、朽葉ちゃんのような存在が出てくるのが創作だし、でも普通に死んでるじゃんって話でもあるんだけど…。
元々は、日帰りのアルバイトだったもののタイヤのパンクによって泊まりとなって、その翌日ぼくが目を覚ますとその他が死んでいたというのは、中々にホラーでした。ミステリーサークルっぽい作り方はコナンっぽい笑。
事件としては実はかなり分かりやすいもので、端っから出夢は狐の面の男からの依頼で木賀峰さんと朽葉ちゃんを殺すつもりだと宣言していて、その通り実行しただけ。そこに、好戦的な姫ちゃんが挑みにいってしまって、返り討ちに遭ったという話。
匂宮兄妹は二重人格らしく、弱い担当の理澄と戦闘担当の出夢がいて…というこれだけでも眉唾物だった訳ですが、実際は双子だったという絡繰り。これは何となく予想出来た展開でした。ということで、姫ちゃんは理澄ちゃん(出夢がある程度操り人形に出来たらしい)を倒すも、善戦虚しく出夢に負けてしまったという。
確かにぼくに巻き込まれて姫ちゃんは死んでしまった形でしたが、自暴自棄になるぼくは目も当てられない感じでした。姫ちゃんのツンデレもずるかったけど、少しくどかったです。みいこさんへの八つ当たりもなー…。宝籤当てるのは確かにみいこさんらしいかと。
そして何と言っても、狐の面の男ですね。哀川さんに似ている、零崎人識に会いたいと言って物語の外にいた人物。木賀峰さんの研究の前身の西東さんであり、哀川さんの父?? ぼくにとってのラスボスとなるのか。
それと、哀川さんと出夢の戦いはどうなったのかなぁ。火を見るより明らかっていうと語弊があるか。あと例の看護師、形梨らぶみっていうんか。
今回のbest words
勘弁してくださいよ──ぼくなんて、ただの、最弱です。人類最弱の、戯言遣いですよ (p.621 ぼく)
あとがき
強いと弱いは紙一重というか表裏一体?みたいな話と、生と死は今巻のテーマだったように思います。死を自覚するからこそ生きている、みたいなのはその通りだなと。
それと、人間は死ぬけれども群体としての人間は生き続けているってのはなるほどなーと。種としては長生き。
それから、バックノズルにジェイルオルタナティブの話も面白かったです。運命論的な話。どこを弄っても形を変えても起きることは変わらず収斂するとか、自分がやらなくても自分以外の誰かがその役割を演じるみたいな。上条もそんなので悩んでたような。
強ち木賀峰さんの口癖はそういうことだったのかも笑。