心和のラノベ感想

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サイコロジカル(下) 曳かれ者の小唄 感想

サイコロジカル(下) 2008.1.

 

今回は、戯言シリーズ5巻です。

完結編。映画とか小説だと終わりがページ数や尺で見えているけど、現実って自分が今どの立ち位置にいるか分からない的なセリフが印象に残っています。

あらすじ

残虐非道な磔刑という形で殺害された兎吊木垓輔。博士の牽強付会でありながら一定の筋が通った推理により、投獄されてしまう玖渚一味。そこへ現れた零崎愛識を騙っていた石丸小唄により、事件の解明に当たる猶予を得る。

小唄さんと行動を共にするぼくは、屋上を飛び移るルート等を模索するも解決には至らず。そうこうしているうちに、脱獄が発覚してしまい…。

感想

今回の話は正に戯言だなーって感じでした。これほどまでに本編と後日談の落差があって、後日談でスッキリさせるというのもある種気持ちが良い。やっぱり哀川さんなんだよなぁ。巫女子ちゃんの真似も好き。

ということで、何故に哀川さんの名前が出るかと言うと、零崎性を名乗りはたまた石丸小唄を騙った人物こそ哀川さんだったから。やけに協力的だなーとかサラッと声紋認証突破したシーンもあって引っ掛かってはいたけど、まさかでした笑。

そして、眼を隠したり指紋を隠したりすると判別が難しくなるという会話から、もしやと思いましたが、やはり兎吊木は生きていたようですね。となると、あの惨殺体は神足さんのものということになるんでしょうか。例の血文字も兎吊木によるものか。殺してから時間が経って両腕を切断した件は…。

それから、何故兎吊木が博士に拘束されていたかがはっきりとは分かってないのも気になります。そして、最初から玖渚はこういう展開を予想していたのかという点については、何となく最初の兎吊木との一対一の対話で提案されたような気もします。電子認証など物ともしない玖渚は勿論、結局兎吊木の天才さも堕落三昧の比ではなかったという話か。

因みに、本編での解決シーンでの解答は、屋上を飛び移れる身体能力、断髪したことによる髪のロープと、切断した腕が緊張性死後硬直によりハンガーの役割を果たして笑、神足さんが犯人という結論でした(死体の腸を用いたんだっけ?)。雨が降ってたとか建物の高低差とかのギミックも良い。にしてもこの時既に、神足さんは兎吊木にすり替わっていたんだろうけど、声とかって似せてたのだろうか。

結構、度肝を抜くという意味ではこのトリックはとても面白くて良かったです。それと、確かに烏の濡れ羽島の事件の時と状況は近いなと。被害者と思われていた人物が入れ替わてのうのうと生きていたという事まで含めて。

終わってみるととても良く出来たストーリーだと思うけど、神足さんを死なせて良い理由が見えなかったのが可哀想かなぁ。それと、博士のホームでありながら博士にとっての状況がアウェー過ぎでしたね笑。

今回のbest words

それじゃ、次に十全なる機会がございましたら、またお会いしましょう、お友達 (p.386 哀川潤)

あとがき

西尾維新さん主人公を痛め過ぎなんだよなぁ笑。でも、今回は哀川さんに密着されキスまでされてるからプラマイゼロで言ったらプラスかも?

やっぱり戯言シリーズは天才との隔絶の話なのかな。