今回は、キノの旅9巻です。
電波の国、殺す国辺りが面白かったです。
感想
〜なってないひとたち〜
口絵①。他人の行動に口出しする癖に自分は何にもやってない人ですねー。これはなってない。
〜城壁の話〜
口絵②。高さのある城壁に囲まれた場所。入り口が見当たらない。明確な描写はないけれど、不穏な雰囲気を感じさせる。
〜記録の国〜
何でも無料で良い国。のだけれど、密かに記憶の移植(何人分かの死んだ人の記憶を埋め込まれた)実験が行われていた。良い事ばかりではない。
〜いい人達の夕べ〜
師匠のがめつさ。「〜なければいい人なんだけれど」の風刺。
〜作家の旅〜
他国で流行った本を、それを知らない国で自分の本として売って金持ちになった女性の話。知らない作品に触れられるというのは屁理屈に近く、盗作は盗作。
流行の分析は大事だけれど、パクりまでしてはいけないという戒め。グローバル化してなければ写本みたいな感じでもあるけれど。
〜電波の国〜
良い国なんだけど、偶に残虐な事件が起き、しかしその犯人は刑が軽いという話。というのも、奴隷を先祖に持つ人々の国で、当時チップを組み込まれて従属していた過去があり、凄惨な事件を起こしてしまうのは、基地局の電波のせいだ、とのこと。
で、山奥の基地局に分け入ったシズが見たのは、既に倒壊した基地局という。これで、因果関係が否定される筈なんだけど、凝り固まった国民達はシズの方が狂ってしまったと。
これ、シズが馬鹿正直に報告せずに、今基地局を壊して来ました!って言えば、英雄みたいな扱いだったんですけどね…。ティーは手榴弾好きか。
〜日記の国〜
日記の定義とは?という話。確かに色んな人の文を採用するより、自分だけの目線で書く方が日記っぽい。
〜自然保護の国〜
大きな樹がある国の話。樹が倒れた後の処理としてドームで囲っちゃうのは、光合成的にまずいって事かな。
〜商人の国〜
取引において、内心どちらも得したと思っているのがベストなんじゃないかなー。商人は腹黒いので、情報は小出しということで。
〜殺す国〜
キノの旅らしい話で面白い。宣戦布告して、その実自殺志願者を差し向けて、一石二鳥で処理して貰うという。適材適所。
〜続・戦車の話〜
前に出て来た、自分が標的なのに気付かずに標的を探し続ける戦車の話のまさかの続編。少年少女が用意した鏡で気付いたっぽいけど…?
〜むかしの話〜
シズ、ティー、陸がそれぞれ求められる国の話。ティーがシズ様に懐いているようで良き。
〜説得力Ⅱ〜
キノと師匠が一緒にいた頃、キノが男に稽古を付けてもらう話。全然勝てない中で、卑怯な手を使ってでも勝つ、不意打ちの大事さを学ぶ。そして、油断しないことも。
今回のbest words
あれは殺してもらうために突撃させたのでして (p.191 軍人)
あとがき
筆者あとがきは、真面目な感謝でした。