今回は、狼と羊皮紙です。
狼と香辛料ⅩⅧと同時発売の、コルとミューリの物語。コルは聖職者を目指していて商人ではないし、ミューリは生まれて13年くらいで老獪さはないけれども、テイストはほぼ狼と香辛料と同じかなーと思います。それを目新しいと楽しめるか飽きと捉えるか。
あらすじ
聖職者になるためニョッヒラから船出をしたコル。しかし、そこには荷物に紛れて家出してきたロレンスとホロの娘ミューリがいた。コルはミューリを帰そうとするも、ホロのお墨付きである事に加え、慣れない女相手などでミューリは役に立ちそのまま一緒に旅をしていくことに。
ウィンフィール王国でハイランドとの邂逅を果たし、税を取って贅を尽くす教会を戒める為、ハイランドと共に聖典の翻訳版を作り世の中に普及していこうとする。しかし、教会の策に陥り2人は投獄されてしまう。そこで、ミューリは狼に姿を変えて…。
感想
ストーリーもキャラも弱かったなーという印象でした。訴求してくるものがないというか退屈というか。香辛料の時に、コル目線の話があって思ったより博識じゃないのかな?と拍子抜けしたみたいにどこかで書いた気がしますが、今回もそう。
コルも当時のロレンスと同じ25歳くらいになっていると思うんですが、真面目が過ぎる上に聖典に縛られている様子。それをお侠でお転婆なミューリが引っ掻き回していくのはまぁ面白いと言えば面白いですが…。
ミューリはコルを最初から好き(自分が狼だと気付いて絶望した時に、いつでも味方と言って貰えたから?)という感じで、1巻にしてコルはそれを振ってしまうという。ちょっと軽々しいですし、これからの先行き不安が凄い。
また、ミューリはホロと違って耳と尻尾を隠す事が出来るらしい。その一方で、混血だからかホロほど大きな狼には化けられないとのこと。
ただ期待したいのは、香辛料では商人の話になっていた為、あまり教会に触れてこなかったので、そういう部分は勉強になれば良いですね。
今回の話は、教会の放埒を正そうと奮闘する話で、聖典の写しを悪用されたことで立場が危うくなりかかるという展開でした。デバウ商会も絡んでいましたが、教会が良くないと分かっていても利害から、すぐ解体にとはいかないのかなーと思いました。それに、民衆も騒げればそれで良いといった感じだったので、そういう啓蒙は必要なんだろうなと。
ハイランドが美形で実は女だったというのは、エーブ的なオチか。
今回のbest words
あ、知ってる。キズモノにしたら、責任をとらないといけないんだよね? (p.180 ミューリ)
あとがき
この物語は、コルが聖職者となってミューリ達が耳とかを隠さなくて済む世の中にするのがゴールになるんでしょうか。
少し頼りない2人ですが、成長を見守っていければと思います。