心和のラノベ感想

1ヶ月15冊読了目標!

氷菓 感想

氷菓


今回は、古典部シリーズ第1弾です。

ラノベと一般文学の差って何?という命題が度々出てくる訳ですが、個人的にはアニメ化したらラノベ、ドラマや実写化されたら一般文芸だと思っています。もちろん例外もあって一概には言えないんですが…。

そんな事を思って氷菓を読み始めましたが、ラノベに比べて少し読みづらさがありました。僕は既にラノベ漬けになっているのかも知れない…。氷菓はアニメ化されているにも関わらず!(当然視聴済みであります) 何か挿絵が途中に入らないと寂しさを感じる体になってますね…笑。

あらすじ

「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に、だ」

省エネをモットーとする折木奉太郎は、友人の福部里志に灰色だと揶揄される。

海外を放浪する姉の勧めで古典部の入部のため部室に向かうと、そこには千反田えるという少女が佇んでいた。

千反田との出会いから、様々な日常に起こるミステリーを解いていく内に、奉太郎は省エネでない生き方を選択し始めている事に気付かされていく。

感想

最後に綺麗にタイトル回収を決めて、スカッとしました。いや、氷菓の本当の意味を知ると、どっちかと言うとモヤモヤするという方が強いのかも。

でも、何でもないような日常で起こる些細なミステリーを角度を変えて解いていく様は、読んでいて痛快でした。ふとした出来事に関心を持つ千反田も凄いし、見抜く奉太郎も凄い。

シンプルにワクワクもしますが、薔薇色の人生を送るためには、省エネな生き方だけではなく、人と接して色々な考えを吸収したり自己を開示していく必要があるんだなーというメッセージも感じます。効率性が全てじゃないというか。

1つ目の千反田閉じ込められ事件については、用務員の方が作業の合間にマスターキーで鍵を掛けるのを、千反田が気付かなかったという話でした。中から鍵を掛けることが出来ないのと、職員室にある鍵以外の鍵が存在するというのがキーですね。

2つ目の事件は、金曜日の昼休みに借りられた本がその日の放課後に返却されるという珍事が、何週間に亘ってバラバラな人によって行われているという内容。愛なき愛読書とはよく言ったものですね笑。

真相は、シンナーの匂いと、バラバラな人といいつつもその構成が同学年の偏ったクラスということがヒントとなって、美術の授業でモデルとして使われていたというもの。ここで、奉太郎と千反田の初対面の際のやり取りがまたヒントになっているのが良いんですよね。千反田が奉太郎の名前を一方的に知っていたのは、選択授業で一緒だったからと。

こっからは、千反田が昔叔父(関谷純)とのやり取りで泣いてしまったけれども、何故そんな事になってしまったのかを探るものとなって。これを探っていくことが文化祭の通称カンヤ祭の呼び名や、古典部の部誌名である氷菓の由来をも明らかにしていくと。遠垣内さんは…煙草やめようぜ。

この過程の中でも、1つ前に出てきた『神山高校50年の歩み』が効いてくるというのは良いんですよね。結論としては、学業優先で文化祭の日数を減らそうとした学校サイドと、それに反発する学生たちの間で対決があって、その最中に小火騒ぎが起こって表の学生リーダーだった関谷が退学になったという話。

表の、というのがミソで単に担ぎ上げられた関谷が退学に追い込まれてしまった、という事件で

I scream→氷菓という隠されたメッセージだったと。後味は悪い結果にはなりつつ、でも知ったからにはそれを無駄にしないように生きていかねばと思う訳で。

今回のbest words

「いえ、結果としての文集を目的にしていれば、それを目的に結果を作るという目的ができます」 (p.45 千反田える)

あえての「わたし、気になります」はスルーで。

あとがき

ミステリーも中々良いですねー。普段気にも留めないことに疑問を持つというのも大事かも知れません。

奉太郎の姉のラスボス感…、今後も気になります!

氷菓の初版は平成13年の11月となると、20年くらい前になるのか…。初版持ってないですけど、アニメカバーは映えますね!