心和のラノベ感想

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遠まわりする雛 感想

遠まわりする雛


今回は、古典部シリーズ第4弾です。

短編集になっていて、時系列も区々。タイトルはそのまま7つ目の短編の題名でもありました。奉太郎に春が来たって感じですね!

短編集なので、いつも通りあらすじは感想に内包します。

感想

〜やるべきことなら手短に〜

千反田が部室に閉じ込められた話のちょっと後くらいの話。学校の七不思議的な噂を聞きつけた千反田が奉太郎に相談する前に、奉太郎が千反田に別の謎を突きつけることでそれを回避、上書きしてしまおうという内容。具体的には、放課後の音楽室で月光が奏でられていたという話に対して、奉太郎は女郎蜘蛛の会という謎の組織が部活勧誘の張り紙をしていると千反田に吹き込むというもの。

ポイントとしては、音楽室に行くよりも別の事件を持ち出す事で昇降口に行くだけで済んで、帰りが早くなるという所。いやいや、大した変わらないし寧ろ面倒事作っちゃてるでしょ笑という。

そして、1番面白いのが千反田に教えた"不慣れなやつほど奇を衒う"という教訓が、奉太郎の行動に当てはまってしまっていること。まだこの時は千反田の扱いを理解していない訳ですね。でも、結局奉太郎は千反田の気になりますには対抗の術がないので、俯瞰的に見たら手短な結果になっているのかも。

因みに、月光のピアノの件は、部員がCDプレイヤーを目覚ましにしていたというものだとか。案外どうでもいい話でしたね…。

〜大罪を犯す〜

7つの大罪を絡めた上手い話。内容は、数学の授業で習っていない単元にも関わらず先生はやっている前提で授業を進めて生徒を詰ったことに対して、千反田が珍しく?怒ったというもの。

先生が進度を間違えた理由は、AクラスとDクラスの進んだページをaとdで見間違えたため。人間間違いはあって然りですが、高慢ちきで高圧的な教師も猛省すべきだなと思いましたね。

チタンダエルは確かに天使っぽい!

〜正体見たり〜

氷菓事件の後に、伊原の親戚の民宿に行く話。伊原と千反田が首吊りの影を見たその正体は、民宿の娘姉妹の妹が姉の浴衣をこっそり借りて祭りに出掛けたところ、雨に当たって夜中に部屋で乾かしていたというもの。

兄弟姉妹の仲が良いのは幻想?という少し暗いラストでした。奉太郎がのぼせて介抱されるのは珍しいシーンかな。

〜心あたりのある者は〜

これは面白かったです。ありがちな気はするけど内容は全然ありがちじゃない。最初にやろうとしていたことが脇道に逸れて、事件を解決したら本来の目的を忘れていたという。結局、奉太郎の筋道を立てる才能が証明されてました。本末転倒で瓢箪から駒

職員室への少し切羽詰まった呼び出しの放送。推理をしていく内に事件性があることが判明していき、呼び出されたXは偽札を使用し、謝罪文を残していたという結論に。万引きじゃあありきたりな結末ですからねー。

確かに、先輩から貸していたお金が偽札として返ってきたら途方に暮れるな…。名前を言わずに心あたりのある者はと濁す感じが良いですね。

〜あきましておめでとう〜

元旦に加えて、千反田と奉太郎が納屋に閉じ込められてのこのタイトル。この辺りでもうお互い意識してそうだなぁと思ったり。そして、この2人携帯持ってないという。時代を感じる所ではありますね笑。

脱出方法は、所持品をあえて外に落とす事で、落とし物詰所にいる伊原と里志に気付かせようというもの。もう少し冴えたやり方はありそうですが、巾着の上下を紐で縛って袋のネズミというのがやりたかったんでしょう。

〜手作りチョコレート事件〜

倒叙ミステリーというジャンルは、平たく言えば初めに犯人が出てくるパターンの手法ですが、これはそれに当たるのかなぁ?

伊原が作ったチョコレートが盗まれて、実は里志が犯人だったという話。今回の犯人は、消去法で分かりやすかったと思います。2人は両想いなのだから早く付き合えと言ってしまいたいんですが、矜持とか思春期の自我形成の難しさ故かな…。

里志はデータベースは結論を出せないということで、自信を無くして生き方に迷っている感じがありました。まぁ、自分が楽しい事をするのが一番だと思いますけどね。それから、色々試していく事も大事かな。それと、相対的な視野。

1つ目の短編の借りを奉太郎はここで里志に返しているんですねー。

遠まわりする雛

これは青春ミステリーですわ。奉太郎が完全に千反田を好きになってますよこれは。恋に落ちてますわ。アオハルですわ。

話は、千反田の地元で行われる雛祭りに奉太郎が参加し、雛となって歩く千反田の付き添いをする中で起こる突発的なルート上の橋の工事は誰が起こしたのかというもの。

犯人は、毎年行われる雛祭りに対して"滅多に見られん行列"と宣った人物。橋を渡らないことで、桜と行列が一緒に見られるというのが動機。平和な理由ですねー笑。これによって、奉太郎はより千反田に見惚れてしまうと。

「ところでお前が諦めた経営的戦略眼についてだが、俺が修めるというのはどうだろう?」これを言ってしまったら、もうプロポーズですよね笑。

今回のbest words

でも、でもでもですよ、それはありえません現実的ではありません論理的ではありません破綻してますカタストロフです! (p.173 千反田える)

あらすじ

2巻続けて400ページ近いとなると中々読むのに時間がかかりますね…。

恋愛模様も動き出しましたが、本編にどう繋がるか。