心和のラノベ感想

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ふたりの距離の概算 感想

ふたりの距離の概算


今回は、古典部シリーズ第5弾です。

形式は短編集っぽい感じでしたが、2年になった古典部メンバーに新入部員が来てから退部するまでの出来事が大枠として描かれる形でした。アニメでは描かれてない部分で、ハルヒの後半巻を読んでた時を少し思い出しました。

あらすじ

神山高校星ヶ谷祭という名の学校の周囲20kmのマラソン行事が行われる。奉太郎は、マラソンの中で、新歓祭で古典部に加入した大日向友子がその数ヶ月の後に退部するに至るまでの出来事を思い返していく。

果たして、大日向が千反田に言い放った"菩薩のような人"という言葉の意味とは…。

感想

前知識がない状態で読んだので新鮮でした。古典部にも後輩が出来るのかと。ぶっちゃけ大日向が千反田を誤解した事で退部してしまう訳ですが、うーん本人次第ではまだ登場の機会はありそうな気がしました。というか、愛羅を説明する時に、愛染明王とか悪鬼羅刹を出したり、色々文学の教養もありそうですし、真に古典部向きなキャラな気もしますね。

今回は、大日向が退部した理由を辿るという大きな問題の上で、何個か小さいミステリーが混じるといった展開でした。推理しても外部の問題については解決の限界があるというのも、今巻のテーマですかね。

1つ目は、新歓祭での出来事で大日向との出会いの場面でもありました。製菓研究会の机が大きい事が問題に挙がって、そこから使わないコンロがあるのを見つけ、コンロを使う場合は大きい机が使える事に加えて、部のネームプレートを使っていない部が2つあることが判明。そこから、お料理研とスペースを交換している事を論破し、その理由を探る内に、お料理研で食中毒が起きていることを突き止めた、という話。

恐らく製菓研の2人は、カンヤ祭の時にわらしべプロトコルに加わった方達ですねー。

2つ目は、奉太郎の誕生日に古典部メンバーが祝いに来る話。ミステリーというか、千反田が奉太郎の家に来た事がある事を周りに秘匿しようとするところが面白いかな、2人だけの秘密って感じで。ヒヤヒヤするのと上手く躱すのと。

ここで出てきた、来訪したことがある人しか分からない仕掛け(猫の置物がリモコンになる)をサッと使わないようにするというような場面がありましたが、これも名探偵コナンで見覚えがありました笑。あの自由の女神像のライターね。何となく後ろめたい事があるとヒントを残してしまうというか正常な動きが出来なくなって、どっかに綻びが生まれるんだなーと感じました。

3つ目は、大日向の叔父さんが近々オープンするという喫茶店の店名当ての話。ここら辺の話は後々の解決パートを見ると、色々噛み合ってんなぁと思います。伏線はしっかり回収してる訳ですね。店主の奥さんがあゆみさんである事や、店内の至る所に兎の模様があって、ブレンドが売りである事から、正解は歩恋兎(ブランド)でした。奉太郎の出した答えは、歩連兎でニアピンでしたが、これは及第点でしょう。兎って聞くと無性に心がぴょんぴょんしてしまう件について。

そして、大きな問題については、大日向と中学時代の友達絡みの話だったと。色々遊ぶ為にお金が必要で、友達は金持ちの祖父を騙してお金を得ていたようで、まぁ重い友情ですね。それで、交友範囲の広い千反田にその友人の事がバレることを恐れたと。総会屋って言葉は初耳でしたが、大日向の友人の祖父がそれに関与してたってことなのかなー。

また、友達の話だけど〜、という決まり文句が実は本当にその友達が実在したという、逆説的な展開は面白かったです。注意深く大日向のセリフを聞いていると、確かに"友達"というワードがよく出てきます。下の名前にも友がはいってるのがまたね。

因みに、僕の場合友達が席を離れている際に、その人の携帯電話が鳴っても取らない派ですね。どっちかと言うと省エネな生き方が好きな質で。まぁ、ドライな付き合いだけが正しいとも言えないですけどね。

外面似菩薩内心如夜叉と言うけれど、千反田は内面も菩薩だったという話。

B5サイズのノートとA4サイズのノートってどっちが使い易いんですかね?

今回のbest words

友達が言ってたんですけど、名札を出さないのは後ろ暗いやつだって (p.69 大日向友子)

あとがき

本文の中で、平日の昼間に街中にいると違和感があるとか、学生時代は通学路だけが自分の手が届く範囲で人間関係もそこだけで完結してたみたいな描写があって共感しました。で、今となっては不思議なほどよそよそしいと。まぁ、それだけ視野も活動範囲も広がったということでもあるんですが、閉塞した場でもその外側に手を伸ばすことは出来るんだよなぁ。

というか、里志と伊原って付き合い始めたの?!