心和のラノベ感想

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クドリャフカの順番 感想

クドリャフカの順番


今回は、古典部シリーズ第3弾です。

文化祭回。里志が期待について言及するシーンが何とも哀愁漂うというかほろ苦い。

あらすじ

第42回神山高校文化祭が開幕。しかし、古典部メンバーは意気消沈。というのも、伊原の発注ミスにより、「氷菓」の発行部数が想定の30部ではなく200部刷られてしまったからだった。古典部知名度の低さに加えて、立地条件の悪さに対し、古典部知名度向上に向けてメンバーは動き出す。

一方で、文化祭の最中に物が盗まれる事件が発生する。十文字を名乗る犯行声明から「十文字」事件と名付けられたそのミッシングリンクのヒントは、ABC殺人事件

感想

今回は、古典部メンバー4人のそれぞれの視点がコロコロと切り替わりながらストーリーが進む形式でした。♡→千反田、♢→伊原、♤→奉太郎、♧→里志だと途中で気付きました笑。

奉太郎はわらしべプロトコルをやってて、千反田は苦手な交渉事、伊原は漫研で奮闘、里志はクイズ大会やら、料理対決やらで古典部の宣伝をしたり。まぁ、料理対決は奉太郎以外の3人が出場してましたが。小麦粉が生きるのはお見事でした。

十文字事件は、夕べには骸にという作品を巡って、犯人が1人に対しメッセージを送ったもの。漫画の作画の才能がある人に描いてくれと頼んでも、当人はやる気がないという悲しい結末という感じ。適材適所と本人の気持ちはイコールではないというか。

前回苦汁を舐める結果となった奉太郎でしたが、今回はキレキレでした。結果として、氷菓は完売し、十文字事件も見事解決。やはり奉太郎には才能があると認めざるを得ない訳ですが、それを里志が悟るシーンがね…。頑張っても辿り着けない境地を実感してしまう。

ここで、タイトルを考えると、クドリャフカは本文で触れらていた通り宇宙に行った犬のことで、順番は十文字事件に関する五十音順のことかな。また、今回は大き過ぎる才能への期待と失望もテーマで、奉太郎の独白から、己にも他者の才能を前に打ちのめされる順番が来るか?という意味もあると感じました。

ABC殺人事件は原本を読んだ事はないですけど、名探偵コナンでモチーフにした事件があったのを思い出しました。順番通りに殺人が行われていると錯覚させて、アリバイ工作するやつ、あれは良いトリックだったなぁ。

今回の話もやっぱり根底には供恵がいるんですよね…。奉太郎に万年筆を渡したのもそうですし、夕べには骸にを渡したのもそう。マジで何でも知ってるおねーさんだわ。臥煙さん並みの恐ろしさ。

そういや、雉を撃ちに行ってくる=お手洗いに行くという用法は知らなかったな…。

あと、ボディートークの河内先輩が言ってた主観でどんな作品でも名作にも駄作にもなり得るって話が、少しギクッとなりました。私も、自己満足で本を読んでこうして感想を上げて、面白いつまらないと言っている訳で。

でも、とどのつまりやっぱり何でも自己満足なのだから、自分が面白いと思えばそれで良いと思いますけどね。

作り手としても、普遍的な人気こそが名作だと分かっていても、誰かしら1人にでも刺されば良いってパターンもあるのかなと思ったり。匙加減が難しいですねー。

今回のbest words

期待っていうのは、諦めから出る言葉なんだよ (p.347 福部里志)

あとがき

ふとした時に、地球上に人間って凄い数がいるんだなと思います。それは、ハルヒのように甲子園に足を運んだ時でも、新型コロナの罹患者数を見た時でも。

閑話休題

自分を客観視すると、時には優越感があり、そして劣等感があり。ま、結局は自分にできる事をできる範囲で遂行していくしかないんだなと思う訳で。加えて、自分の強みを指摘してくれる人がいるというのも大事だなと、それを生かすかどうかは本人次第ですが。