心和のラノベ感想

1ヶ月15冊読了目標!

半分の月がのぼる空7 another side of the moon_first quarter 感想

半分の月がのぼる空7


今回は、半月7巻です。

短編集第1弾。時系列が少し分かりづらいですが、ギャグ要素多めかつ良い話というものが多かった印象。猫缶の話が好きです。

感想

〜雨(前編) fandango〜

文化祭(山上祭)の様子を描いたもの。後編は8巻に持ち越しらしい、里香が演劇に出そう。文化祭の準備をやるとか、里香と文化祭を回るっていう話ではない。

fandangoとは馬鹿騒ぎという意味らしく、まさにその通り。古典ロシア映画上映会という表看板で、実はAV鑑賞会をしている所に裕一は山西と共に入る。教師らに見つかって必死に扉を死守する様が馬鹿らしいけど、何か逞しいという笑。修学旅行で女子風呂を覗きに行くような、何ともラノベらしい流れでした。

〜気持ちの置き場所 find my way home〜

亜季子さんの少しセンチメンタルな話。失恋、に近いのかも。峠を走る亜季子が、前方に頼りなく走る車を見つけて、そのドライバーの中原さんと出会って話をする。気弱だけど、看護婦の自分を認めてくれた中原さんだったが、帰り道で事故って亜季子のいる病院に検査入院をすることになると。

ガサツで元ヤンな亜季子さんですが、意外と軟弱な人がタイプなんですかねー。父が漁師ってのは初出かな。昔から漢勝りなのは変わらず。

〜君は猫缶を食えるかい? a cat never die〜

橋本さんあとがきでも毎回出すくらい猫好きですからねー。裕一と司、山西でゲームを夜通しやる内に、買っていた食料が無くなっていることに気付いて、空腹の中思考も働かず、何故か猫缶を用いて司が料理を作ったものの、はたと我に返ると。

これもまたラノベらしい展開だった訳ですが、面白かったです。半月って普段ラノベらしくないですからね笑。3人でお前食えよみたいに押し付け合う様が良いですね。

結果としては、裕一と父の思い出によって一周回って良い話にすり替わっていたのが印象的で。ちょくちょく出てくる父との思い出話が、何でもないようでしっかりと裕一の記憶に残っているのが良いんですよね。

僕は、どんなに空腹でも猫餌は食べられないかな…

〜金色の思い出 water〜

多田さんが亜季子さんの赤福を盗み食いするのと、里香から借りた高瀬舟の本がゴミ回収されて司と共に収集車を追いかける話。

ここでもまた裕一の父との思い出が出てきていて、競艇でお金をスッた父がバスで帰るお金もなく歩いて帰って、道中喉が乾いたところ、他家の軒先の水道水を盗み飲みするんだけど、その味が忘れられないと。

里香が古い本を大切にするのも、そこに父との思い出があるからと思うと、何か温かい気持ちになるというものです。

今回のbest words

なにしろ毎日触っておるからな。わかるに決まっておる (p.79 多田)

あとがき

多田さんが久々に出て来て嬉しくなりました。終盤には、軽く漫画も入ってましたし。

話変りますが、2000年前後の電撃文庫の挿絵に意外と漫画って多いんですよね。当時のイラストレーターはコミックからの人が多かったのかなー。