今回は、半月2巻です。
里香の手術の件は次回に持ち越しで、今回は喧嘩状態になった里香との仲をどう持ち直していくか奮闘する話でした。
あらすじ
戎崎コレクションが里香にバレた。
里香とかなり親密な関係になってきたと思ったところで、多田さんから纘継したエロ本が見つかり、避けられてしまう。何度も謝ろうとしたものの暖簾に腕押し。
そんな中、里香の主治医であり二枚目の夏目が復帰する。そして、裕一と里香との関係がより拗れていき…。
感想
最初の一文から面白いんだよなぁ。ここ最近で言うと、ふたきれで母に那織が敢えて忘れていったパンツの件で追求されるシーンが似てるんだけど、あたふたと言い訳を考えたり許しを乞う姿は他人事として面白い。句読点なしで倩と書かれるやつ好き。
あと、地味にp.76の"あまりにも予想外で、意外で、望外で法外な状況だった。"とか、"逃走か闘争を選ぶべきなのに、"みたいな言葉遊びも好き。
でも、展開としてはシリアス寄りになってきた感じですねー。殴り合いとか痛々しいシーンもいくつかあって。何か不思議な力を持っている訳でもなく、奇跡が簡単に起きる訳でもなく、現実はままならない訳で、基本的には無力を嘆くしかない。
また、やはり裕一の父は碌でもないんですが、何でもない思い出が意外と記憶に残っていたりというのは、言葉にはしづらいものの素敵だと思います。運動会のかけっこで我が子を競馬の掛け声で発破をかけるのは流石にアレですが…。
1巻では直接的な記述はなかったように思いますが、2巻では裕一にとって里香が何よりも大事であるとの言及が多かったです。だからこそ、茶々を入れてきたり、はたまた言うことを里香にさせることの出来る夏目に対して、醜い嫉妬をしてしまう訳で。
夏目はどことなく嫌なキャラでもあるんですが、一人の大人でもあり。まぁ、夏目の過去話などの掘り下げがない状態なので、現時点ではどういう意図で行動してるのかは図りきれない感じ。本の入れ替えをするくらいだから、2人の仲を引き裂こうという肚でもなさそうですし。
山西の馬鹿エピソードはいちいち面白かったですねー。隠し物ゲームは面白そう。
因みにどうでも良いですが、造反有理は体制に反抗したり背くことには、それなりの理由があるという意味らしいです。
今回のbest words
さよなら、『メガネっ子ふぃーばー』 (p.202 戎崎裕一)
あとがき
銀河鉄道の夜かー。読んだ記憶あるけどあんまり覚えてない…。一番の幸いとか、自己犠牲とか色々あるようですが、今回の話に照らし合わせると、里香の手術の成功率が低い(死のイメージ)ことを暗示していたみたいですね。
となると、次回は今作の最大の山場が来ると予想されるんですが、どうなることやら。