心和のラノベ感想

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半分の月がのぼる空6 life goes on 感想

半分の月がのぼる空6


今回は、半月6巻です。

5巻の作者あとがきであったように、この6巻はリバーズ・エンドafter daysのような蛇足と言ったらアレですが、それぞれのキャラクターたちの進路やその後の方向性を描いたものになります。実は本編としては最終巻だと。

あらすじ

裕一は遂に退院して学校へ向かっていた。そこには、里香の姿もあった。留年を回避する為に必死に勉強していた裕一だったが、試験当日に風邪を引きあっさりとダブりが決定してしまった。

2年生としてスタートした裕一と、編入試験をパスして1年生としてスタートした里香。色々な意味で目立つ里香はクラスの女ボスに目をつけられてしまうが、医者や看護師を手玉に取ってきた里香にとっては、降り掛かる火の粉を振り払うのは容易だった。

感想

裕一が学校に戻るのは分かるんですが、里香もさらっと学校に通い始めていてまずびっくりしました。

今回は進路がテーマでした。里香と共に伊勢に残る事に決めた裕一でしたが、やはり東京への未練は無いとも言えないと。司とみゆきは何だかんだ上手くいって、司は料理の修行、みゆきは付いて行くように東京の大学へ行きそうな感じ。この2人のここまでを描いてくれたのは嬉しいですね。あ、山西も地元を出ていきそうですね笑。

夏目が手術した後に言った、裕一にとっての最悪の結末とは何を指していたのかをここ数巻考えてきました。話の流れからすると、里香の病状は安定していて手術が成功したことが分かる。けれども、里香の病気は完治するものではなくて、いつ悪化するかも分からない。

そういう意味で、裕一の選択は自身の将来を捨てる事に等しい。だから、いっそのこと里香の病状が取り返しのつかない状況の方が、選択肢が潰れて裕一は自由になれたと。そういう風に取ると、夏目の意地悪な発言だなぁと思えてくる訳ですが。

その夏目も、誘いによって遂にはアメリカへと行くことに。夏目も一時は自分の将来より小夜子を選んだ過去があるものの、野心家なのは変わらずかな。いや、亜季子さんが思い出させたと言った方が正しいか。

里香の巫女の口絵があっておや?と思いましたが、しっかりと本文で巫女バイトをやっていました。それも、元・女ボス吉崎多香子と売店での売上勝負をして。このシーンは、イリヤの無銭飲食列伝を読んでいるかのような感じでした。女同士のバトルは中々熾烈ではあるんですが、戦いの後にお互いを認め合うみたいな。

今回のbest words

おまえな、人がまじめな話してるときに、豆腐なんかどうでもいいだろ (p.122 山西)

あとがき

5巻で恋物語としては上手く収まった訳ですが、今巻で病院を離れて各キャラの今後の展望があって、読めて良かったなと思います。

残り2巻は短編集のようです。