今回は、呪術廻戦 逝く夏と還る秋です。
漫画原作を読み終えたので、ノベライズの方も読みました。時系列としてはかなり序盤の、姉妹校交流戦以前に当たる5つの短編でしたが、本編で出来ない話やキャラの深掘りがかって良かったです。
特に真人と老人の話が深くて面白かったかな。
感想
〜休日徊詮〜
ゲーセン、メイド喫茶に連れて行かれる伏黒が割と不憫でした。こう見ると、虎杖はちゃんと陽キャなんだなぁ。
というか、呪術廻戦って虎杖と伏黒がメインで活躍すると思いきや、そんなに2人が活躍しまくる展開でもないのよね。だからこそ、オフの2人なんてのもまた貴重であり。
因みに、釘崎がアメ横に行ったのに付いて行かなかったのは、買い物が長引くかららしく、3人のわちゃわちゃも見てみたかった気もする。釘崎の買い物が長引くのは、水戸黄門の勝利、日曜サザエさん並みの確実な事、か笑。
五条先生はアキバを満喫しているように見えて、仕事していた模様。
〜反魂人形〜
ナナミンの北海道出張に五条が付いていく話。
五条先生との会話はドッヂボールというのが分かったかも笑。でも、五条先生の真意は虎杖を任せたいという思いであり、不器用なだけなのかもとも思いました。強すぎるが故に理解者が少ない人でもあるので。
事件としては、死んだ幼子の反魂人形の販売が行われている現場の確認であり、その人形師自体も呪骸に侵されていたみたいな話でした。
五条先生はじゃがバター好き、らしい笑。
〜闇中寓話〜
真人がトンネルに佇む老人に出会って対話をする話。
これがまた哲学的な会話をしていて、深かったです(こう言うと浅くなりがち)。騙されて財産のみならず、視力まで失った老人は、街を離れたからこそ逆に今は自由を感じていて。
騙された事について、復讐しようだとか呪ってやろうだとかを思う事なく、穏やかな心待ちでいる老人に、人の魂に興味を持つ真人は惹かれるものがあり(目を失っても真人の存在も感じ取れていた)。
そんな自然と調和したような、達観した老人は、薄っぺらい若者の暴力で呆気なく死んでしまいますが、それでもやっぱり孤独は感じていたのかなぁという最期で、人間だったのだと思いました。
〜働く伊地知さん〜
虎杖が伊地知さんの仕事見学をする話。
これは本編では見れなかった、高専の裏側みたいな話で面白かったです。呪いを祓う術師がいれば、それをサポートする側の人間もいるという。
これがまたかなり大変な仕事で、世間的には呪いの存在は周知の物ではない為、辻褄を合わせるように、市役所に工事の手続きやら何やらと書類を提出したり、利害関係者への挨拶をしたりと煩雑。苦労が絶えない。
でも、1番骨を折る仕事が五条先生の無茶振りというのが笑える所で。適材適所というか、その場所で精一杯尽くす事が、ひいては全体の利になってるのだと感じました。
全国各地の呪いの観測手伝いをする役割の窓という概念を忘れていた…。
〜守鬼幻視行〜
湊海里という、家の前に鬼が出るという少年に虎杖が出会う話。
この話を読んだ時にちょっと似てるなぁと思ったのが、化物語のまよいマイマイ。呪いと怪異って無意識な人の思いが、人に作用する点で近いのかなと。
少年が両親と喧嘩して家に帰りたくないというのではなく、両親を亡くし、血の繋がらない親に育てられる事の罪悪感のようなものが、鬼の姿を生み、家に帰る足を遠ざけているという感じか。
鬼自体は虎杖でも赤子の手を捻るような弱さだったものの、何度も再生するという事で、少年の気の持ちようが改善するまでは、居座るといった性質だったようで。
でも、ある意味では少年の悪意ではなく、優しさで生まれたような呪いだったから、修復可能だったのだと思います。若くして負い目を感じる必要はないんだよと。
今回のbest words
かしこまリィンカネーション☆ (p.30)
あとがき
五条先生の生活なんかも見てみたい気がするけど、不思議だからこそ秘匿されてるからこそ、美なのかも知れない。
虎杖が夢で見たメタルタモリとは()