今回は、刀語10巻です。
少し解釈の難しい巻だったなーと思います。まぁほぼ戦わずして刀を回収出来たのは良かったのでしょうが。
感想
再び否定姫の元へと舞い戻ったとがめ達は、奥州へと進路を向ける。奇しくも飛騨鷹比等が処刑された百刑場跡地。
そこに現れた仙人・彼我木輪廻は、誠刀・銓を地中に埋めたという。見る人の苦手な人物に己を見せるという彼我木の言で、とがめは銓を探す為穴掘り、七花は暇潰しに彼我木と相対することとなる。
感想
冒頭は七花と慚愧が徒手空拳で戦うという、前回のこぼれ話から。刀を持つ方が弱くなるという虚刀流の体質は呪いなのでは、という説の補強的な意味合い。初期に四季崎記紀の完成系こそが虚刀流という話が現実味を帯びてきました。
そして、とがめにとって因縁の他での刀集めとなりましたが、蒐集自体は容易でした。交渉すら必要無し。そういうすぐ渡してくれるパターンもあるかなと思っていましたがここでようやく。ただ、15mほど掘削する必要があった訳ですが…。
彼我木輪廻について、個人的な事は300年ほど仙人と生きている他は判然とせず、七花にとってはこれまで戦った面々として見え、とがめにとっては父の性格でトレースされていた模様。とがめが父を苦手に思っていたのは意外でした。にしても、自分の苦手意識を投影させ対峙させるとは中々に嫌な能力。
誠刀・銓に関しては、柄と鍔のみの刀で誠実さを特徴とし?、自身を斬ってみたくなる刀ということなんですが、これが解釈が難しいとした所以でした。要は無刀であり、虚刀流に近い作品とも言えるのか。
七花と彼我木の戦いは、彼我木が防御に全振りした事で決着付かずの引き分け。シリーズとしては初の引き分けでした。このタイミングというのは、勝ちとは何かというのを考えされるような気もします。目的の衝突というのもある訳で。
次回は真庭鳳凰戦らしいですが、人鳥が誰にやられたのか、右衛門左右衛門がどう関わってくるか気になります。否定姫は四季崎記紀の末孫?
今回のbest words
どうして寄る必要がある。汽口慚愧に会うためか?あん? (p.201 とがめ)
あとがき
残すところ2冊となると、真庭鳳凰と否定姫ですね。
筆者あとがきは、苦手意識と人の記憶の話。何を判断に自分の脳は取捨選択しているのか…。