心和のラノベ感想

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これはあくまで、ままごとだから。 感想

これはあくまで、ままごとだから。 2024.4

 

今回は、『これはあくまで、ままごとだから。』です。

友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。〜の真代屋秀晃さんの最新作。こちらも、思春期の恋愛に悩む高校生達が背徳感や淫靡さ(隠微さ)がテーマでした。

あらすじ

芭蕉深紅はガサツである一方で顔の良さからよくモテる。そんな深紅の遠縁の枕木蒼一朗は、家庭の事情によって深紅と同じ高校に通う事となったばかりか、写真家のアヤ兄の所有となった田舎の別荘でシェアハウス生活をする事に。

深紅と蒼一朗は、昔から親戚の集まりで顔を合わせていて、傷心の蒼一朗を励ます為によくごっこ遊びをしていた。高校生になった2人は、演劇部である深紅の恋人の練習として再びままごとをするが、深紅には演劇部の先輩の彼氏がいて…。

感想

序盤こそ前作より掴みは弱いかなーと思いましたが、ままごとをする理由が徐々に相手の本心を覗く為の行為みたいに変わってきてからは、見ていて面白かったです。

ままごとと言うと、夫婦役を演じたり料理をしたりというのを想像しますが、ここで言うままごとは、広範なイメージでごっこ遊びの延長みたいな所があるので、今後も色んなシチュエーションが出来そうだなとも感じました。

深紅とのままごとは基本的には兄妹ごっこか恋人ごっこが多い訳ですが、やはり高校生にもなると、純粋な子供時代のごっこ遊びとは趣旨が変わって、男女という意識が強くなってしまうなと。

ちゃんと過去の回想もあって、蒼一朗にとってのままごとは、母と妹の紅子を交通事故で無くして、紅子の穴を埋める所から始まったと分かったのも良かったです。ただ、深紅にとって紅子の代わりと思われるのも嫌だと思ってそうな節もありそうだなぁ。

また、蒼一朗の父が再婚して、腹違いの妹が出来た事で、蒼一朗が身を引く形で家を出てシェアハウス生活になったのも重要なポイントかな。

一方の深紅も親の問題を抱えていて、父が浮気した事でシングルマザーとなり、母がボロボロになっていくという過去がありました。これによって、大人の恋と子供の頃の愛情の差や、恋をする事への恐怖感を待つことになる。

好きと恋の違いというのも本文で触れられていて、それについては取り返しの効くものが"好き"で、代替の効かないものが"恋"なのかなーと思いました。その人が他の人とキスしてたらどう思う?ってやつですね。

そんなこんなで、深紅は蒼一朗と本当の恋愛をしてしまうと破滅してしまうのではという恐れから、ごっこ遊びの中でのみ本心を告げるという形を取り、蒼一朗の方はそんな都合の良い彼女的な深紅との交流を通して、糊塗しながらも本当は深紅の事が好きだと自覚してしまうという展開に。

深紅には、一応付き合っている赤井先輩がいる為に蒼一朗も背徳感を感じながらになる訳ですが、結局深紅にとって本当に側にいて欲しいのは蒼一朗なのでは、というもどかしさもありました。演技が上手すぎてどっちか分かんねぇよ!みたいな笑。

今回は、蒼一朗目線が主だったので、次回の深紅目線でどうままごとの中で自分の気持ちを制御していたのかを見るのが楽しみです。深紅はちょっとお馬鹿なギャルかと思ってたけれども、めっちゃストイックな天才型だったなー。

それと、ここまで全く言及してませんでしたが、国枝黄純というヒロインも登場してました。kiss meで覚えやすい。

この子も親戚で例の祖父の家に集まっていて、高校で再開のパターン。嘘笑いといった偽物を忌み嫌い、本物を追及する子で、何故か蒼一朗が入るまでは1人女子で美術部。

SMプレイでままごとを盛り上げてくれそうなのと、彼女がいるアヤ兄に恋してそうな気配?

序盤からおやと思っていましたが、主要な登場人物の名前に色が入ってますね。これって、恋愛は黒だから、混ざり合って黒に…という暗示な気もしました。

そう言えば、ままごとは漢字で書くと飯事で、英語だとplay houseですって。

今回のbest words

あー、そうなんだ。あ、あたしも最近、半チャーハンを二個頼んだよ……? (p.308 深紅)

あとがき

ちょい物足りなさもありましたが、官能な感じや読みやすさもあって楽しめたと思います。夜瑠の喋りが好きだったからなぁ。いやでも、スーパーみくみく四連突きって何?笑

唐突におっぱいを連呼するアヤ兄も軽くツボでした笑。