心和のラノベ感想

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輪廻ノムコウ 感想

輪廻ノムコウ 2004.4

 

今回は、輪廻ノムコウです。

クリスタル・コミュニケーションのあかつきゆきやさんの2作目。魔女、吸血鬼、輪廻転生といったキーワードが出てくる、恐らく吸血鬼の少年が主人公の物語でした。吸血鬼は人間を殺して良いのかみたいな、よくあるテーマも。

ただ、この作品は続編が出る前提で書かれたにも関わらず、2巻が出ていないという現状なので、中途半端感は否めません。クリスタル・コミュニケーションの流れで読まないと当分、何なら一生読まないのではと思って読んだけど、まぁ避けても良かったかなと。

1巻完結だと思って読んだのがそもそもの間違いなんだよなぁ。続刊出ない理由が、作者の病気によるものなのか、普通に行き詰まったのか、商業的なものなのか…。

あらすじ

辻葵は帰り道の公園で、少女と少年と若い男を見掛ける。男2人は西洋人だった。何をしているかと覗いてみると、少年が少女の血を吸っているところであった。少年が手を翳すと少女の傷は始めから何も無かったかのように治ってしまう。

吸血鬼であるジルベールとアルベールの兄弟は、魔女の一族であり人間の行いによって吸血鬼となった。また、《森》で暮らしていた同朋の吸血肯定派を追う否定派の追跡者でもあった。

感想

面白い部分もあるんだけど、分かりづらいというのが1番かなーと思います。1作目と比較するならば、前作は言わば主人公がどうEPS能力者のヒロインと仲良くなっていくかという単純明快な目的があって、無知な主人公が起こる出来事で学んでいくというように、意味があって分かりやすい内容でした。

一方で、今作は様々なキーワードを用いたにも関わらず、全てを消化しないままに1巻が終わってしまう。続刊で色々と回収するのであれば伏線で済むところであるが、1巻で止まってしまっているのである。となれば、中途半端とか焦点が合ってないとかごみごみしてるとかそんな感想になってしまう訳ですね。

序文に書きましたが、主役は誰かという問題もある。吸血鬼に出会ったことで、ヒーリング等に興味を持った人間の葵なのか、吸血鬼の兄弟の弟でかっこ良くない方のアルベールなのか。終わり方的には、禁忌とされるリーインカーネーションを、亡き彼女と再会する手段としたそうなアルベールという広げ方をしたかったのかなーと。

一応の話としては、イメージとは違って占いやヒーリング等を生業とする魔女達がいて、魔女狩りのような軋轢があって、アルベール達は吸血鬼となったらしい。魔女であり吸血鬼。これも、太陽の光とか十字架とか大蒜とか不死身とかそういうのは度外視で。暗示は魔女と吸血鬼のどっちの能力なんだろうね。

吸血鬼となれた理由はそういう部族だからなんだろうとしか言えませんが、人間の仕業らしい。その部族の中で、吸血行動を良しとするか否かで内乱のようなものがあって、今回追う側のアルベールらと、肯定派のイザベルやサイラスと戦闘があるというもの。

そんな設定に、リーインカーネーション=輪廻転生が付いてくる。死人の生まれ変わりに会いたくないかい?と。そんな方法があるのかないのかに振り回されるお人好しアルベール君といった感じ。その分クールで無慈悲なのが兄ジルベール

結果的には、イザベルが策を打って、彼氏でありながら変わってしまったサイラスをジルベールらに殺させようとしたという話であり、自身は腹違いの弟ユーグと亡き妹であり生まれ変わり後のリサを守ろうとしていたというもの。ちょい分かりづらいのと、どういう目線でこれを見届ければ良いんだ…ってなる。因みに、イザベルはジルベールが手を下しましたとさ。

今回のbest words

亡くした者に会いたいと願うのは、人間なら誰でもそうだ……けどな、自然のメカニズムを壊すな。俺たちは自然を土台にして生きてるんだ (p.253 ジルベール)

あとがき

挿絵の魔女入門みたいなのが宗教っぽくて面白い。占いに高い。お呪い?

作品の方向性としての、人間に紛れる能力者という意味では前回と同じか。正直1巻だけの完成度は低いと言わざるを得ないですが、化ける可能性も残していたので悲しい。