今回は、ブギーポップ22巻です。
帝王学、皇帝、支配やエンペロイダーということで、ここ最近の上遠野さんの物語やあとがきで語っていた内容が盛り込まれたストーリーでした。末真こそが支配者として相応しいという流れか?
あらすじ
末真は、予備校のアドバイザーに呼び出されたと藤花に告げる。熱を出して模試の結果が良くなかったからではと当たりを付けた末真だったが、その逆で全国1位だったという。
そんな末真に寄ってきた須賀聖良子は、〈インペリアル・ゴールド〉と呼ばれるサークルの会合に末真を招待し、藤花もそれに付いて行く。そこで出会った傲慢な態度を取る江成泰征、そこへ合成人間マロゥボーンが現れて…。
感想
前半は面白かったけど、後半は失速したかなぁという感じ。人の愚かさ含め色々と納得させられる部分もあったのと、200p弱と読みやすかったのは良かったです。
今回の話は、パニックキュートとマロゥボーンの2人が、美しさに似た思想を持つと噂されるブギーポップを探して、それに末真が巻き込まれるといった感じでした。でも、実際はパニックキュートは前に死んでいて、暴走したマロゥボーンがブギーポップに殺されるという幕切れ。
パニックキュートは病気で亡くなったのかブギーポップに始末されたのか曖昧なのと、江成泰葉のもう一つの人格がパニックキュートだったのか、よく分からなかった。というか、パニックキュートって良い奴だったということになるのか。
末真はカレイドスコープに助けられて無事だった訳ですが、今回の末真は能力を使っていなかったので、時系列的にはヴァルプルギスの時の前になるのかな?デジャヴの逆が起こった的な?
"あらゆるものを支配しながら、同時にそれを受け入れる感覚"これが末真にあるというのが重要なんですかね。人間の矛盾を超えたエンペロイドになり得る存在?
終わり方的には、末真の相棒枠が誰になるのかという話でもあったような気が。勿論、藤花のズレたような掛け合いが見ていて楽しいですが、フォータル・クレセントこと聖良子も今後関わってきそう。カレイドやポリモーグ(ポンちゃんとは)ではなり得ないらしい。
"その人がいちばん美しいときに、それ以上醜くなる前に殺す"と前々から噂されるブギーポップですが、実際には自動的に世界の敵を倒しているのが現状で、適当だなとも思います。
のっけから、江成泰征の驕慢な態度が面白かったですが、正に自分だけで良いという気持ちと、皆から認められたいという気持ちの矛盾の体現だなーと見ていて思いました。そして、確かに平和を実現出来ない人の愚かしさも考えさせられたなと。
今回のbest words
欲しいものが手に入らないのは、幸せなことなのさ。人間はすぐに飽きる生き物だ。死ぬほど欲しかったものでも、結局いつかは捨てる (p.11 パニックキュート)
あとがき
末真は博士が定着しちゃってる笑。
筆者あとがきは、帝王学について。一人ひとりに自分の帝国があって、唯我独尊でいられればそれで良いかもしれないけど、他人の影響は必ず受けるもので。