心和のラノベ感想

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狼と羊皮紙Ⅶ 感想

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙


今回は、狼と羊皮紙7巻です。

400頁越えやめれ…と思ったものの、展開が分かりやすかったのと、大枠のストーリーが結構前進していたので良かったです。ル・ロワも登場しました。

あらすじ

教皇庁からやって来たカナンは、教会サイドでありながら国王との緊張関係の緩和の為、コル達を頼って来たのだった。その方策は、聖典の俗語翻訳版の流布であり、かつて禁断の技術とされた印刷を手段に挙げる。

困難と思われた職人ジャンを何とか見つけたものの、手を借りるに当たって難題を突きつけられるのだった。そこで、カナンはコルに列聖を推薦する。迷うコルであったが、そんな時、コルは何者かに攫われてしまう。

感想

そこそこ面白かったんですが、やはり主人公のコルが弱いのが気になる。ストーリー重視で、コルの人間味をあまり感じられないのがこの作品の弱味な気がします。活躍はしているんだけど…。

さておき、今回のテーマは印刷。今となっては当たり前でとても便利な世の中になったなーと感じますが、当時は活版印刷ですら貴重だった訳ですね。聖典の俗語翻訳には写経しかないので、普通にいくと1冊に数ヶ月かかってしまうし、ヒューマンエラーもある。

いかに本が当時高価だったかも分かるものですね。それで、印刷の良い所もある一方で、悪い本を大量に流通させることも出来てしまうという負の一面もある、というのも言及されていて良かったです。そして、本と言えばル・ロワが出てくると。

ル・ロワ自体はそんなに活躍はなかったですが、稀覯本を集める立場からしてみれば、印刷技術は商売敵になるんだなーと。

あとは、コルの誘拐について。これは後に手違いだった事が分かるんですが、これを機に前々から名前が出ていたクリーベント第二皇子と、ハイランドの和解に繋がったのは大きかったですね。やはりクリーベントは悪い奴ではなかったし、寧ろ人間味があって、前の騎士団の話のように、第二皇子としての立場にある意味苦しむ側だったんだなと感じました。

馬上槍試合に至る流れは少し雑ではあったものの、上手く纏まっていたかなーと思います。ミューリが聖女と呼ばれるのもこのせいだった的な。

列聖になれば、何でも聖遺物として大儲けできるというのは凄い。カナンも悪いキャラではなさそうなので、どうなるんですかね。かなり戦の確率も下がってきているとは思いますが、西の大陸とも絡めて今後も進んでいくんでしょうか。

今回のbest words

神が俺たちをこの世に作ったんなら、俺たちは一回くらい輝けるはずだ。そうだろう? (p.363 クリーベント)

あとがき

帯にある「私は兄様のこと、絶対に許さないから」で深刻な展開を予想しましたが、杞憂に終わってホッとしました。別にミューリは騎士でなくとも、コルの隣にいれば良い訳ですし。

ジャンの印刷についてどうなったのかは分からないですが、ミューリの書いた物語も見たかったような気が…。