今回は、狼と香辛料11巻です。
短編集第2弾。少し時系列が前の話になるので、ロレンスの口下手さが懐かしくも思えるようになってきました。そして、短編ではホロの気持ちが本編よりも分かりやすい気がするなぁ。エーブの過去回は必見。
感想
〜狼と黄金色の約束〜
商人にとっては金のなる木である植民の村を訪れる話。
あまり稼げたかは分からないものの、未開拓の知識やビールの製法等は商売の匂いがするところ。逆に、旅商人としての知識が役に立って重宝がられるパターンもあり。
ホロが少年の頬を張った?のは意外だったんですが、衝撃の出来事として記憶させるという意味があった的な?これがオチにも繋がっていると。
〜狼と若草色の寄り道〜
前に入手した地図を手に、暖かな陽気が降り注ぐ肥沃な草原での昼寝の為に、森を横切り寄り道をする話。
あやふやな地図なのが肝なんですが、言った手前戻れないロレンスとホロの揶揄いはよくあることとして、ホロがデレるのが珍しい。
〜黒狼の揺り籠〜
エーブが商人として駆け出しの頃の話。今のエーブの考え方に直結する事件の話でもありました。展開としては読めてしまうものの、こういう感情が揺さぶられる話は良いですね。多分ミルトンに恋心まであったのが尚更に。
話は、ボラン家が没落して買われた主人すらも凋落した後に、お手伝いのベルトラと、商人の師匠オーラーと暮らし、商人を軽い気持ちで目指しつつまだ貴族的な甘さが抜け切らない時期のこと。
今のエーブと比べると可愛い過ぎるんですが、まぁその甘さ故に付け込まれる訳で。商人は失敗から学ぶというのを体現してます(失敗を前提にしてるのか!とオーラーに食ってかかるエーブが良き)。
あまり裕福でないながらも主人からくすねていたお金があるエーブは、服を上手く売り付ける術を持つミルトンを信頼して出資をして、商会を頼って服を仕入れる。その時に、契約書まで拵えるものの、商会が契約書の文字を書き換えて損をさせられるというのが大体の出来事。今だったら、帳票とかで契約書の控えが貰えたりするんですけどね…。神に誓ってとか言いつつインチキするんだから商人は腹黒い。
しかも、ここで終われば良いものをミルトンまでエーブを裏切るという…。中々に応えてたものの、金で人は変わるという典型的なものを見た感じですね。逃げるミルトンが荷馬車に下敷きになったところで、ミルトンを助けるよりも積荷の回収に舵を切ったシーンは、冷徹な商人が生まれた瞬間だったなぁ。
今回のbest words
ぬしよ、怒っておるならそう言ってくりゃれ (p.26 ホロ)
あとがき
借金をしないこと、現金大事!
ノーラの短編には期待したい。