今回は、悪魔のミカタ6巻です。
小鳥遊恕宇の過去回。これまで、巫女さんで何かしら凄い力を持ってそうな百合属性持ちくらいの情報しかなかったので読めて良かったです。恕宇の他にも今のみークルの話に関わってくる情報が出てきたので、よりこの世界観の理解が進みました。日常に潜むトリックのような短編も面白かった。
感想
〜プロローグ/冬『見鬼』〜
小鳥遊恕宇9歳の頃の話。新鷹神社の宮司の娘である恕宇は、読んで時の如く鬼を見る能力を持っており、自分を特別な存在と見なし傲慢な振る舞いを見せていた。『見鬼』の力で病気を治す任をする中で、患者の少女を裸に剥くという行為をしていた訳ですが、これが後に因縁の?日奈だったと判明すると。火傷もこの時に付いたみたいですね。
何となくこの話だけでも、恕宇の為人が分かるというか。レズももしかしたらこの時から兆候はあったのかも…笑。『見鬼』という能力も専門職みたいなもので、恕宇にとっての世界の視野を広げていたのだなと思いました。
〜第一話/四月『いやな、やつ』〜
恕宇にとってのいやなやつとは冬月日奈のことで。日奈の冬月家というのも日炉理坂では名家なんだなとここで初めて知る。ただ、1歳年上で転校してきたり箱入り娘という育ち方はしてないようで何かそこには事情がありそう?
ただ、この後の話でもそうですが、日奈の非凡な才能が随所に見られて、ここでも授業中に居眠りする恕宇を起こす教師に、恕宇が呪いをかけようとする所で、逆に日奈は祝いの言葉をかけることで恕宇の呪いを阻止。
孤高な恕宇の友人として、臍をすぐに出したがる新見亜緒と、頭に巨大な芋虫に見える何かを乗せた二葉亭由真が登場。この芋虫っぽい奴は背表紙にも描かれていますが、誰もツッコまない(ツッコめない?)為に謎は深まるばかり笑。ゆあーんとか喋るけど。
何とも、ライバル視する恕宇と能ある鷹は爪を隠すタイプで普段ほんわかな日奈の、攻めと躱しが面白かったです。でも将来的には恕宇は日奈を好きになる筈なんだよなー
〜第二話/五月『はこのなか』〜
友人が出来て少し丸くなった?恕宇。幼いイハナとかジィ・ニーとかも出てきました。195ページの挿絵の巫女衣装が可愛い。
イハナが持ってきた左右に違う大きさの穴がある箱とその中に入った両端に蓋がついた円筒。『ふたを開けずに取り出せ、さもなければ見つからない』という文字があり、蔵の『鍵』だと言うが、円筒の蓋を開けると円筒そのものがバラバラになるという仕組み。
この絡繰りを唯一日奈だけが解読してしまうんですが、よもやバラバラのパーツを穴のサイズで3つに選り分けるとは脱帽でした。亜緒に臍を出させなかったのも見事。隠された方が人は見たくなるもの。
〜第三話/六月『人生の探偵』〜
サブタイトルは日奈の夢。納豆は豆腐という名前じゃなくて良かったとか、気象予報士恕宇とか。
亜緒の魔法を使える子の話が面白かった。亜緒目線だと、そのおりちゃんという子は誕生日に亜緒の欲しかったものを渡し、亜緒の壊れた魔法ステッキを手品のように直し、雨の日に濡れずに現れたとしたら魔法と見えてもおかしくない。
これも日奈が結局解明する訳ですが、実はおりちゃんは、亜緒の両親が亜緒にプレゼントしたものと同じ魔法ステッキを渡すつもりでいて、慌てて親とプレゼントを車で買い直しに行き、それから魔法ステッキをすりかえたと。ただ、新品だったが為に絶縁体がついたままで、壊れたと思った亜緒に気付かれずに、絶縁体を抜いたという話。
後に転校してしまうおりちゃんが、自分が買ったものを持っていて欲しいという気持ちからプレゼントをすり替えてしまう心情も分かるなぁ。
また、魔法と一息に言っても、紐解いてみれば科学に裏付けられたものだったり、努力があったりもするし、それでも魔法に見える(思い込む)というのは夢があるなぁみたいなことを思いました。
今回のbest words
……あのね、ありがとう、って、言ったの (p.96 日奈)
あとがき
こうやって後からキャラの人間性が分かってくるパターンかぁ。こうなると、早く日奈を生き返らせて!と思うようになるかも。
次回も恕宇の昔話が続くらしいので、いやな、やつから好きになるまでを見たいですね。