今回は、野﨑まど劇場(笑)です。
短編集第2弾。面白いものもあり微妙なものもありましたが、個人的にはアラサーOLの話と相撲が好きでした。
感想
〜白い虚塔〜
原作の内容は知らないですが、完璧に白い巨塔の捩りですね笑。自分の執刀映像をネットに投稿し、レビュー等を受けるシステムの話。意外と現実でも採用されてもおかしくなさそうに思える。このシステムがまた小説家になろうのパロディなのが面白い。良い話に思えてラストでの違法医療だと発覚するまさかの展開でした笑。
〜Cafe Bleuetは元気です〜
珍しい縦に本を持って読むスタイル。これは電車の中では読めないな笑。
カフェの店先でよくある小さな黒板みたいな立て看板がずっと続いていく形で、この手描き感は現実でもそうですが味があって良い。元気ですと言いながら結構入れ替わりが激しい。
〜年下退魔師〜
クリスマス間近のアラサーOLの話。これは普通に心温まる良い話でした。アラサー女子が再び女の子になろうと立ち上がる様は清々しい。後輩ちゃんも良い子で泣ける。
〜深窓の大令嬢〜
これはよく分からなかった。深窓の令嬢という単語を誇張して、惑星探査と絡めたような話でした。
〜MERVEILLEUX MARIAGE DU SOMMELIER〜
最高のソムリエ対決「ソムリエしりとり」。ワインの味を喩えたものでしりとりをしているのだけど、最早こじつけが酷い。恋は実らず?
〜二十人委員会〜
拗らせ系おじいちゃん達の会話劇みたいな。こういう身内だけ伝わる感じは良くて面白かったです。
〜全年齢向官能小説 人妻悦料理~媚猫弄り地獄~〜
官能小説っていかに直截的な表現を使わずにエロさを醸し出すかみたいな事を聞いたことがありますが、これはそんな感じ。というか、状況は全然違うんだけどやり取りとか声だけだとエロく聞こえるみたいな。最後の、ポケモン仲間を失ったで笑いました。
〜シンデレラアローズ〜
売れる破魔矢を考えていく話。絵と共にエスカレートしていく様が面白い。破魔りたいという言葉も生まれて、何故だか最後はアイドルユニットになってた…笑。
〜大オーク〜
徳川家斉が生涯子供を53人作ったという逸話と、大奥とオークをかけた話なんだけど、これは微妙だったかな…。
〜ワイワイ書籍〜
電子書籍とニコ動のコメント機能が合わさった形の話。冷静な「職人が来てくれています」で笑える。いや、普通に読みづらいだけだし改変までされちゃってるし笑。
〜墨滴ビフォーアフター〜
3500万円をかけて良い墨汁の作成を匠に依頼する話。全然差が分からなーい。
〜大相撲秋場所フィギュア中継〜
これはシンプルに面白かった。取組の撮影が禁止となって、力士のフィギュアの静止画から解説をしていく話でしたが、躍動感はないしフィギュアのスケールも雑だったり笑。「浴びせ倒しですね」「死んでるよ」の流れが素晴らしい。
〜人生RありゃQもあるさ〜
「このQRコードが目に入らぬか!」この一言に尽きる。QRコードが出てくるのは新しいけど、専用ページに飛ぶ訳ではないのは残念。タイトルは座布団一枚でしょう。
〜建設バブルの闇~大手ゼネコンの真実~〜
本のタイトルや装丁を決める話。ここだけU35さんの絵だ。半沢直樹のインパクトって凄いよなと改めて。
〜第20回落雷小説大賞受賞者インタビュー〜
にがうりさんの話再び。書影がカッコ悪い笑。
〜麻雀出エジプト記〜
これはよく分かんなかったやつ。天和はタコス娘しか見たことがない。
〜まごのてコレクション〜
ボツだけど面白かった。おじいさんおばあさんの出てくるソシャゲ。実際にやるんならクソゲーなんだろうけど笑、見る分には楽しい。
〜のりもの の えほん〜
トーマス的な?平仮名の連続はこんなにも読みにくいんだなと気付かされる。鉄道に詳しくないと馬耳東風って感じ。
〜メーユー夏バリューチャレンジ〜
これも面白かった。メーユーは携帯会社のauの捩り。メーユーと付ければ何でも罷り通る様がツボでした。結局、プランってどーでもいいやつ多いんだよなぁ。
〜インタビュウ〜
うん、これは面白くなかった。早川書房の何かしらの前提知識があると楽しめるのかも?
〜東京ねこさんぽ〜
動物写真家の写真が沢山出てくる話。出てくる写真に全然猫が写っていないというのが肝。猫と接していると猫が何を考えているのか分かる気がするという感覚は分かるなぁ。
〜クウ!〜
これは叙述トリックかな?ということで。どのクラブに入るか迷っている橙子が写経クラブに入って茜と出会い、途中地味な写経からチアリーディングの方に移ってキャピキャピするけれども、最後はやっぱり写経の地味じゃないところに気付いて戻るという一見良い話。
これ最初に部活じゃなくて、クラブって言ってるんですよね。主人公が学生だといつから錯覚していた?
今回のbest words
せっせっせのよいよいよいだよ (p.163 味乃素 義光)
あとがき
裏表紙やカバー裏、巻末の電撃文庫作品紹介のところまで細工があって隅々まで楽しめました。電撃MAGAZINEの方にも少し興味が出てきたなー。