今回は、プラメモ-Heartfelt Thanks-です。
アニメが2015年の4月で、この小説は2016年の9月に刊行された外伝的な短編集という位置付けらしいです。アニメは観たことがあって、読んでいくにつれてこういう設定だったなと思い出していく感じでした。アニメではツカサとアイラが中心でしたが、今巻は第一ターミナルサービスで働く面々それぞれの話が収録されている形。
設定といい内容といい素晴らしい作品で、基本的には人とギフティアとの関係性で起こる様々な課題をどう解決していくかという構造なんですが、どれも心温まる話でした。
感想
〜はじまりの場所 -Episode Tsukasa-〜
人間のツカサとギフティアのアイラが代理店で働くギフティアのフィルを回収に行く話。大体の世界観はこの話を読む上で鏤められているので、初見でも設定は理解できるのではと。
簡単に言えば、舞台は人の心を持つアンドロイド"ギフティア"が人間界で普通に溶け込んでいる世界で、ギフティアは81920時間(およそ9年4ヶ月)しか生きられない。それで、終わりが近づいたギフティアを所有者の許可を得て回収する仕事をしているのがツカサ達で、機械的に回収を断行しても良いにも拘らず、所有者らに寄り添う形で回収するのが特筆すべきところ。
フィルはギフティア購入者の応対の仕事をするギフティアで、数多くの購入者と買われたギフティアの対面式という歓喜の瞬間に立ち会ってきた一方で、密かに自分も人と一緒に暮らすことに憧れていたと。そんなフィルにツカサは、フィルに感謝を抱く人達からの寄せ書きを依頼してプレゼントするという話。
ギフティアに寿命があるというのがいじらしい設定で、別れがあるからこそその存在の大きさに気付くというか。最後に最高の形で送り出すというのは尊いなと。
〜捨てられたギフティア -Episode Zack-〜
ミチルとギフティアのザックが捨てられたセシリーを回収に行く話。ギフティアもペットと同様に所有者から捨てられるパターンもあるよね、と。
この話はとにかく夢見る少女というか、一途に待ち続けるセシリーが可愛いのと報われないのが辛いですね。見捨てないミチルの思いやりにも胸が打たれるし、最後はセシリーも人間を少しは信頼できたのかなと思います。
〜機械仕掛けの歌姫 -Episode Sherry-〜
ちゃらんぽらんだけど仕事はできるヤスタカとギフティアのシェリーがギフティアで元アイドルのユーフェミアの回収をする話。一個前の話で、ユーフェミアの事がちらっと出て来るのですんなりと内容は頭に入りました。
ギフティアであることを隠して表舞台に立っていたユーフェミアは、正体が明かされてライブ中に1人の客から暴力を受けたことで活動休止中。回収前に引退ライブをやらせようとする事務所社長と折り合いがつかないという状況。
優しい嘘も時には大事というのがこの話の教訓でしょうか。途中、ライブ配信的な形で落ち着くのかなーとも思ったんですが、しっかり舞台に立って、再び暴徒が現れながらも、ヤスタカのマッチポンプというか、手術を控える子の存在を仄めかしながらユーフェミアの後押しをしたと。飲みニケーションはやっぱり大事なのかなー笑。
〜ターミナルサービスの在り方 -Episode Constance-〜
姉御肌なカヅキとギフティアのコンスタンスがお節介で人の話を中々聞かないカミラを回収する話。カミラは夜勤の同居人ミチヒコの母のような立ち位置で、残すミチヒコを過剰に心配し、カヅキらを困らせると。ギフティアの役割は色々考えられますが、このパターンできたか。
カヅキも中間管理職みたいな立場で、上からの経費削減要請と自分の信念との板挟みになっていましたが、コンスタンスが部長をこっそり説得したシーンは良かったです。というか部長もちゃんと社員を守る為に言ってたと分かるのも良かった。
コンスタンスは釣りにハマったのかな？
〜親友の想い出 -Episode Isla-〜
ツカサがアイラに告白をする所から始まり、遡ってアイラが初めて出来た親友チェルシーとの想い出の話。情が入り過ぎることによって人も変わるし回収の意味合いも変わってくるよねと。
終わりがある限り後悔なく生きたいなと感じました。人は想い出があるから強くなれる。悲しみも乗り越えられる。
今回のbest words
….…エ、エラー。よく、聞き取れませんでした (p.322 アイラ)
あとがき
完成度が高かったです。しっかり原作者が書いてくれていますし、絵もアニメのまんまで安心感しかなかった。
これは設定の勝利かなーと思いました。ミチルがギフティアに育てられたとか、その父がワンダラーになって、カヅキが負傷したとかその辺りってアニメで触れられてたっけな…？
アイラの「〜ので」が癖になる！
