心和のラノベ感想

1ヶ月15冊読了目標!

死物語上 感想

死物語 上

去年の始め頃から始まった新型コロナウイルス感染拡大ですが、今思うとデマでマスクやトイレットペーパー等が品切れになった事は懐かしいなと思います。そして、ワクチン接種も進み、日本でも7割近くの方が2回の接種を終えたとされています。かく言う僕も接種完了しています。ワクチン接種に関しては、進撃の巨人の髄液ではないですが、後々何か弊害があったら怖いなとも思いましたが、コロナの恐ろしい所は、人に移すリスクもあり自分だけの問題でもない事であって、そこも考慮して接種を決めた訳です。同調圧力に屈したくはなかったのですが、こればっかりは仕方ないです。

さて、今回は死物語上です。貝木絡みの話は下巻に譲るとのことで、少々の肩透かし感があってプラチナむかついたものの、しっかり読みましたよと。まったくまったく。時系列ごちゃ混ぜなのは今に始まったことではないですしね。

そして、まえがきというか序文で触れた新型コロナウイルスについて、実は今巻でもその話題が出てきます!

あらすじ

大学2年になった暦は、リモート授業など新型コロナウイルスの影響を受けていた。そんなコロナ禍の最中に突然、忍は暦をヨーロッパ旅行に誘うのだった。

理由を聞くと、忍は盟友であるデストピアヴィルトゥオーゾ・スーサイドマスター(デス)に係るインスピレーションだと答える。そして、場所は忍が人間だった頃に滅ぼした国(仮称:アセロラ王国)と言い、不要不急の外出ではなく帰宅だと言い張るのだった。

絶縁中の臥煙さんには相談できず、悩んだ挙句に影縫さんとリモート通話をすることに。そこで、影縫さんは丁度ヨーロッパにビジネス渡航中であり、逆に暦らに招聘依頼を出してきた。

移動手段としてやって来た斧乃木ちゃんは、ヨーロッパで吸血鬼が死ぬパンデミックが起きており、デスも陽性である事を告げる。現地に向かう事に決めた2人は、斧乃木ちゃんにしがみつき、トランジットを繰り返しながら死体城に辿り着く。

影縫さんと再会、そしてデスと対面すると、デスは大分老衰した様子だった。様々な推測の後に、デスの忠実な眷属であった、トロピカレスクが忍とデスを引き離す為に、忍を人間に戻す怨念、執念が今回の感染症の正体と結論付ける。

忍によって人間化したデスだったが、後日コロナウイルスに罹って亡くなったとのこと。

感想

以前に、作者の西尾維新さんがあとがきで、物語シリーズの構想はどこまで決まってたのかについて、結構行き当たりばったりだと語っていました。その頃は、時系列のごちゃごちゃもあったし、上手く纏まってるし、そうは言ってもでしょと思っていました。けれども、2021年8月に刊行された今作で、現実で猛威を振るっているコロナが物語シリーズにも逆輸入された事に驚きました。それと同時に物語シリーズの自由さも感じましたね。

元々、感染症関連の話にしようとしていて、コロナ関連の話題は渡りに船だったのか、鬱屈したコロナ禍というテーマを敢えて物語に取り入れて、創作したのか、神のみぞ知る、否、作者のみぞ知るといったところです。まぁ、今回の場合は後者な気がしますが笑。

今回の話としては、面白かったかと言われると、個人的には少しうーん…って感じです。斧乃木ちゃんの忍の呼び方とか所々面白さはあるのですが、根本的なこととして、忍と暦のペアリングや忍とデスの関係性や、吸血の有無やら人間と吸血鬼の度合いみたいなところが分かりづらいんですよね。結局は姉妹喧嘩という落とし所ですが、トロピカレスクと忍の関係性ももう少し掘り下げて欲しい気もします、暦の出る幕なくなっちゃうけども。

ただ、怪異とウイルスの相似点や吸血鬼ハンターと吸血鬼の関係、人(感染者)とウイルスの関係なんかは学べる所もあったと思います。あとは、当事者にならないと危機感を感じにくいとか。

あとがき

今回は物凄くタイムリーな話題でした。これを数年後に読み返した時に、あの時こんな事あったっけなと思うのでしょうか。コロナ禍になってそろそろ2年が経ちますが、その間に世界も色々と変容し、ニューノーマルというものも出てきました。生かせるものは生かして生きていきたいと思います。

2021.12.19