心和のラノベ感想

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ソードアート・オンライン7 感想

ソードアート・オンライン7

12/13に今年の漢字が発表されました。それによると、今年の漢字は「金」だそうです。理由は、オリンピックの「金」メダル、大谷翔平藤井聡太などによって数々の「金」字塔が打ち立てられたこと、コロナ関連の補助「金」などから。僕は何となく「内」という漢字を思い浮かべました。オリンピックが国「内」で行われたこと、自粛生活から室「内」でいることが多かったからです。まぁ、読書を趣味にしてからはコロナ関係なくインドアにシフトしつつありますが…。

今回は、SAO7巻マザーズ・ロザリオです。挿話といった感じで、ALO内でのある不思議なパーティとの出会いが描かれた話でした。また、最近出番の薄かったアスナのメイン回でもあります。

あらすじ

ALOで、絶剣と呼ばれるプレイヤーがデュエルで物凄い強さを誇っているとの噂を耳にしたアスナ。勝者には、オリジナル・ソード・スキルが伝授されるという。先んじて戦っていたキリト曰く「もし絶剣があの世界にいたなら、《二刀流》スキルは、俺ではなくあいつに与えられていたはずだ」、曰く「完全にこの世界の住人なんだな」と。

絶剣(ユウキ)に戦いを挑んだアスナは、試合の途中でユウキに認められ、ギルド《スリーピング・ナイツ》を紹介される。そのギルドの目的は、6人+アスナを加えた7人だけで、新生アインクラッドのボスモンスターを撃破することだった。その理由は、普段は4〜50人の大掛かりでボスを倒すのが通例だが、ボス討伐の記念として刻まれる石碑にメンバー制限の7名全員の名を残すため。

苦戦を強いられつつ、再戦を決めた一行。しかし、ボスを横取りしようとするギルドに道を塞がれてしまう。数の暴力でなす術ない一行だったが、キリトやクラインが決死の覚悟で道を開き、再戦が叶う。アスナの的確な指示やメンバーの連携により、ボスを無事撃破。歓喜に沸く中、アスナはユウキ達の懐に入っていこうとするものの、煮え切らない態度を取られてしまう。

後日、アスナがキリトの紹介で足を運んだ場所は、メディキュボイドの臨床試験をしている病院だった。そこで、ユウキこと紺野木綿季はAIDS患者であり、薄々勘づいていたものの余命が少ない事を知る。

VRでは、視聴覚に難があっても直接脳に映像を送ることで、本物の風景に触れられるようになった。また、発展途上ながらも体感覚キャンセル機能も活用しようという、医療用フルダイブ機器こそがメディキュボイドである。それを終末期医療として利用していたのがユウキだった。なんと既に3年もの間ダイブしっぱなしだという。

ユウキが自分を遠ざけた理由を知ったアスナは、もう一度ユウキに会いたいと感じ、赴くままにALOにダイブしユウキと再会。そこで、本物の学校に行きたいという願いを聞く。

キリトやメカに詳しい生徒の力を借り、視聴覚双方向通信プローブを利用することに。これによって、ユウキもアスナと共に学校にいるかのような体験が出来るようになったのだった。それから、他にユウキが行きたい場所として、ユウキの家に立ち寄ることに。ユウキは姉と両親を既に亡くしている。しかし、そこでアスナはユウキの強さの片鱗を感じるのだった。

ユウキから貰った気持ちをぶつける方法を、アスナも母に対して実践。思いは伝わり、アスナの転校の話は努力次第で取り消すとの言質を得る。それからも、ユウキと様々な思い出を重ねていく。

やがてユウキの体調が急変、アスナにソードスキルを託し、沢山のALOユーザーに見守られ、生きる意味を感じながらユウキは亡くなる。

感想

あとがきにて作者が言及してますが、キャラの肉付けの為に不幸な運命をキャラに負わせてしまう事が多いらしいですね。今回のユウキ然りSAO時代のサチ然り。僕はその点に関しては、理由がしっかりとしていれば良いのかなと思います。ユウキが亡くなる必要はあったのかみたいな議論もあるかも知れませんが、平和なALOの世界と今作品の世界観である「死」を結びつけるという意味では有意だったのだと思います。流石に、クラインクラスのメインキャラが亡くなるみたいな事態は、思い入れの観点からも難しいでしょうけど。

ここ最近、SAOの話の中で度々強さについて俎上に載る事が多いなと感じます。それは、キリトがシノンに、シノンがキリトに、アスナがユウキになどなどが挙げられます。やはり自分に無いものを持っている人に対してそういう感情を抱くのだと思います。しかし、外から見る強さとは裏腹に、その人は内面に弱さや葛藤を秘めていたりします。得てして人は上手く自分を取り繕っているのだと感じますが、逆に弱さを持っているからこそ強くあろうとして、他者からそう見えるのかも知れません。

アスナの家庭を見ていると、裕福な家庭で窮屈に過ごすのと、多少切羽詰まっていても自由に暮らせるのとどっちが良いのかという問題が出てきます。僕は結構レールの上を歩きたい派ではありますが、結局隣の芝生は青く見えるってことなんじゃないかと思います。というか、アスナママのキャラデザまじで林原めぐみさんの声しか浮かんでこない笑。あとは、アスナママ普通に常識人ですね、冷たい人というイメージがありましたが。それもまた見方の問題ですかね?

今回の医療系メディキュボイドもそうですが、ナーヴギアを始めとするVRについて、ゲームだけでなく様々な用途に応用出来る事を示唆していました。かがくのちからってすげー。そしてまた、茅場晶彦の存在感ですよ。どこにいっても根底にはSAOがあるので、切っても切り離せない訳ですね。

おわりに

ユウキのOSS(オリジナル・ソード・スキル)の名前が《マザーズ・ロザリオ》、そして「あなたの【剣】は……永遠に【絶】えることはない」と終盤に色々と回収していったのはエモエモのエモでした。

正直、メディキュボイドの辺りの件よく分かってません!笑。ユウキの活動がどう科学を進歩させたのか、とか。それでも、脳さえ正常に稼働すれば、VRの方で生き生きと活躍できるというのは良いですね。

難しいテーマ、重いテーマではありましたが、ラノベの表現力の幅を感じました。ユウキには死後の世界でも強く生きて欲しい…。

2021.12.17