
今回は、たかが従姉妹との恋。3巻です。
最終巻。開幕とラストの落差が凄かったですね…。序盤は面白かったですが、色々と腑に落ちない部分があって読後感は微妙でした。
どんな終わり方をするのかと思っていましたが、案外穏やかな終わり方だったなぁと思います。幹隆は最初から最後まで従姉妹に振り回されたし、振り回したなと。
あらすじ
眞耶は、母にホットケーキが出来上がった旨を幹隆に伝えるよう言われ、幹隆の家に侵入していた所、幹隆が帰って来て咄嗟にクローゼットに隠れてしまう。幹隆に付いてきた凪夏は、眞耶の存在を認知しながらも幹隆を誘惑し性交を始めて…。
従兄の痴態を目撃させられた眞耶は失踪する。伊緒と迎えに行った先で眞耶が告げた願い事は、幹隆に御武凪夏と別れさせる事であった。
感想
開幕から凪夏が性を解放してたのが、宮澤くん2巻を思い出しました。
腕相撲大会とかのほんわかエピソードからの豹変が凄くて笑いました。中西さんもノリノリで書いてたんだろうなぁと容易に想像できる感じでしたね。
こういう描写すらも拒否反応を示す人がいるとは思いますが、個人的にはこれまでをぶっ壊すような向こう見ずさみたいなのは好きなので良かったです。
性交の様子を他ヒロインに見せつけるなんてのも中々にクレイジーで狂っていて、逆に清々しさもありました。やると思ったけど笑。
前回幹隆にキスしながら眞耶にピースするくらいの肝っ玉さを見せていた凪夏ではありますが、幹隆が彼女を狂わせた要因でもあるんだよな…。
ある意味では、あやねえを忘却させる為に凪夏が身体を張ったとも言える訳で。
さて、本作がどういう結末を辿るのかというのは前から気になっていた事であり、忠実にいくならあやねえルートが王道ではあるのですが、2巻を終えた時点であやねえ周りの状況が余りにも開示されていない為、これは無いのかなという気分でした。
そして読み終えた時に、あぁ伊緒に落ち着くんだ〜という所で、これはこれでありなのですが、2人の描写がもうちょっと欲しかったなぁと思いました(一応、伊緒目線では別の人と付き合った上で幹隆の方が好きという結論にはなっていた)。
何なら、強制的に別れさせられた凪夏が可哀想だと思いましたし(結果として別れた方が幸せな道を歩いてそうだけど)、眞耶に至っては凪夏の被弾でフェードアウトした感じであり、2人が不憫でしたし、舞台装置感が強かったです。
眞耶は幹隆の布団をクンカクンカして家出少女になっただけだよ…。
凪夏に関しては、従姉妹じゃないから除外されたのでは?とさえ思います。あそこまでやるだけやったのなら、逆に幹隆は責任を取るべきなのではという気もします。
ラブコメの中で自分が1番嫌いなのは、何の取り柄のないとかクズな主人公が、ヒロインにモテるという状況なのですが、残念ながら本作はその轍を踏んでいました。
要は幹隆という主人公が好きになれず感情移入が出来なかったです。
終盤になってようやくあやねえに結婚間近の男がいる事が判明します。さらに身籠ってさえいるらしく。
そんな状況が分かった上で、俺をその気にさせた責任でヤらせろとか言い出すんですよ?正気か??
さくら荘の仁みたいに、大事な人ほど傷付けたくない思考の方がしっくりくるのですが。
ま、全ての高校生がここまで性欲が強ければ、少子化になんてなってないのかも知れませんけど、それは置いておいて子供っぽさが抜け切ってないとは言え、流石に気持ち悪いと思いました。
あやねえもあやねえで、ここまでミステリアスに振る舞ってきたのだったら、もっと超然としていて欲しかったというのもありました。
確かに小学生時代の幹隆少年を惑わせた罪はあるのですが、それだってせがまれたからしただけだし、勝手に好きになっただけの幹隆が悪いんですよね。それだけの衝撃だったというのはあるにせよ。
もっと言えば、その後の4年間接触を図ろうとしなかった点も完全に悪手であり、思いをちゃんと伝えて来なかったツケが回って来ているだけとも言えます。
ここで、何であやねえは思わせぶりな態度を取ったの?という話になるのですが、彼女の親との折り合いの悪さによる不安定感や、それこそマリッジブルーみたいなのもあったようで、幹隆を存在証明の理由付けに用いる狡い意味合いもあったとの事。
そうそう、幹隆の寝込みを襲ったキスについて、一度伊緒という結論が出たのですが、真辺家に何回も泊まっているからこその勘違いみたいなもので、実は伊緒のものは認識下にないもので、感触が残っていたものはあやねえの仕業だったと判明しました。
結局、あやねえはこれまでずっと幹隆を男として見た事はないという話ではありましたが、結婚への不安感からした行為としては、軽率ではあったと思います。
そんな弱さがあったからこそ、4歳差だからこそ、手遅れになる前に行動出来ていれば結末は変わってたのかなと。
ぶっちゃけ、幹隆からの好意に気付いた時点で、私付き合ってる人いるよ?と言えば良いのだし、何ならマリッジブルーは友人らで晴らせばこんな事にはなってない()
でも結局、思わせぶりな態度を取ったあやねえよりも、最悪なのは主人公の方だと読んでいて思いました。
ただ、そんなクズ主人公にハーレム主人公の女神に微笑まれている…。凪夏は別として、伊緒と眞耶は過去の貯金が全てみたいなとこあるのがまた。
ハーレムラブコメが急に最後になって顔を出してしまったというか。そういう路線じゃなかったじゃん…。
それから、2巻で何で新キャラ?と思って出て来た流南と日和は結局何の為に登場させたのか分からなかったです。とりあえず出したけど、本編との絡ませ方が分からなくなってそのまま、みたいな。
その場凌ぎで最後に後日談的なのが出てましたけど、完全に蛇足でした。思い入れがないから…。
どのエンドが良かったかと言われると、まぁどれも可能性はあると思いますが、爛れた関係を送りながら流南と意気投合するは割とアリだと思いました笑。
あやねえの夫設定を取り去ってしまえば、強引にあやねえルートにも出来そうではあるけれど、この話はやっぱり4つ差って難しいよねって話な気もします。
ま、3巻までやるとキャラクターに思い入れが生まれるというのはそうだろうなーと思います。
今回のbest words
すみませェん……、実は二回ほど、邪な気持ちから愚息を弄んでしまいましたァ…… (p.131 幹隆)
あとがき
眞耶が書いた小説の表だけじゃなくて裏を知った上で愛せるかみたいな話は結構深かったです。
これで中西さんの作品は4作読んだけど、宮澤くんが1番で、次点でサクチシノニエだな。さようなら〜と、たかが従姉妹は上2作に通ずるものがあったけど、物足りなさと腑に落ちなさがあったので…。