りゅうおうのおしごと!20 感想 ★★★★

2025.7

今回は、りゅうおし20巻です。

10年に亘って続いた作品の最終巻。本当ダンまちと並び立つGA文庫の看板作品と言っても良いくらい熱の籠った作品なので、今からでも多くの人に読んで欲しいと思います!

現実にも振り回された今作ですが、キャラクター達が生き生きとしているのが伝わってきて、その集大成が見られて感無量でした。

あらすじ

プロ編入試験を訴えてきたあいは、棋士総会での賛成多数により実現を成し遂げる。しかし、その相手を務めるのは空銀子となり…。それぞれが伝手を頼って1番勝負への準備を整えていく。

竜王戦で八一が迎え撃つは、現在は無冠の生石充。谷間の世代と言われてきた生石さんの振り飛車は進化を遂げ、八一を翻弄するのだった。

感想

600ページに迫る大ボリュームでしたが、もっと読んでいたいと思わせてくれたのが、正にこの作品の魅力なのかなぁと思います。

りゅうおうのおしごと!という作品は、先ほど現実に振り回されたと述べましたが、それこそ藤井聡太やAIソフトの台頭、それに伴う振り飛車復権傾向や、プロ試験の間口の話など、それらの時流も貪欲に吸収していたのが印象的でした。

そして何と言っても、ソフトに依らない人類による熱さと、それが生み出す人間ドラマが特徴で、それ故に作品の中で各キャラクターがまるで生きているように、成長あるいは変化していく模様が見られたのが良かったです。

また、1巻の感想で触れたのですが、将棋という専門知識が必要+静の競技のイメージで、ラノベの題材とするにはかなり苦労があったと思いますが、著者の取材や監修なんかも入って、さらには熱さを感じる対局が最後まで続いて、よく締めてくれたなと思います。

あらすじの通り、大まかな所は銀子vsあいと、八一の竜王戦の模様でしたが、その過程で各キャラクターの成長とか、その後みたいなのがあったのが嬉しかったです。

例えば、あいが銀子対策で雷の元へ出向くとお淑やかなお嬢様キャラになってたり笑、澪ちゃんが海外でチェスを極め始めてたり、飛鳥ちゃんが大学の将棋の団体戦で活躍していたり、あいに弟(勇気)が誕生したり…。

八一が女子小学生を孕ませたのでは??みたいな疑惑になってたのは面白かったです。あと、八一にあいと銀子の対決を秘匿しようとして、トラックの電光掲示板でバレる流れもラノベらしくて笑いました。

面白かったと言えば、桂香さんがかつらかおりとして作家デビューをちゃんとしていて、名人の太鼓判から売れ行きが伸びていたのは、我ながら嬉しかったです笑。

好評なレビューを探すとか、思ったよりお金が入ってこないとかは、新人作家あるあるなんだろうなぁと微笑ましく見守ってました。白鳥さんの実話とかも生かされていそうな気がする。

あとは、鏡洲さんもプロ棋士になったんだろうなぁという描写があって、これも長く見てる側としてはホッとしました。田舎の幼馴染はどうなったんだ…?

因みに、八一の竜王戦は2-2となった後、結果が明示される事は無かったですが、初の永世竜王みたいな文章があったので、生石さんを退けちゃったんでしょう。

にしても、護摩業をしてくる生石さんと言い、於鬼頭さんは剃髪して来たり、バイの山刀伐さんと、谷間の世代の面々も大概癖が強い笑。

そんな訳で、20巻のメインは銀子vsあいのプロ試験でした。

結果としてはあいが勝つ事となりましたが、詰みを何回か逃していたのは銀子の方で、あいの読みを認めた上での戦いになっていた時点で、勝機はあいに傾いていたのかなと思います。

ハンデありでも歯が立たなかった過去を乗り越えて、竜の雛は羽化の時へ…。

エピローグでは2年後に飛んでいて、そこでは立派にプロ棋士をしているあいが、八一と対決するという場面が訪れていました。

何となくちはやふるを彷彿としたのですが、恋愛で勝利した銀子と、将棋の才能で勝利したあいという、八一を巡って二分化したヒロインという感じでした。

一時は銀子は死んでしまうのではないかとも思いましたが、流石に物語の中でそんな悲劇は誰も喜ばないからなぁ…。

もう1冊八一と銀子の結婚式とかの話で刊行されるようなので、甘々な話はそこでの回収に期待。銀子の揮毫した万里一空は、八一と空を意識してだったというのも可愛いのですが。

その他、天衣が留学するかも?とか創太と仲良さそうに将棋してたので、どうなったかとかも気になります。

そういや、月夜見坂さんも酒の口移しと称して、八一にキスしてましたねぇ。今後もあいの切り開いた道で?プロになっていきそうな予感。

最後に、この物語は桂香さんが紡いだものであると明かされ、タイトル回収する流れはベタだけど綺麗でした。狼と香辛料的な。

魔王と畏怖された八一ですが、俯瞰して見ると将棋界を存続させ得る希望という立ち位置だったのかなとも思いました。棋界最強の竜王だけれども最強ではないと言うか。

今回のbest words

……もう一度、わたしを………………弟子にしてくれますか……? (p.586 あい)

あとがき

表紙で八一が後ろを向いてたので、名人になるんじゃね?とか思ったんですが、そうはなってなかったですね…。寧ろ八一よりも創太の方がタイトル独占しちゃいそう()

ジンジンとたまよんの話はちゃんと次回やってくれよな!?