今回は、りゅうおし11巻です。(再読)
姉弟子との逃避行+追憶という感じでした。
あらすじ
「私を殺して」
三段リーグでの連敗で自暴自棄となった銀子は、八一に向けて死を乞う。
一度姉弟子を落ち着かせたい八一は逃げ場所を提案する。月光会長の手助けもありながら、2人が向かう先は福井。それは、八一の地元でもあった。
感想
少しのすれ違いからお互いが茨の道を行き、交わる事が難しくなっていた八一と銀子に再び歩み寄るチャンスが!といった所でしょうか。まぁ、和解した先も試練の多い修羅の道なのですが…。
どうしてこうも不器用なんだろう、と言いたくはなりますが、将棋に魅入られた2人はその存在証明を将棋の強さでしか示す事は出来なかったんだろうと思います。
ある意味では1番近いライバルで、お互いが見返してやろうという思いで強くなっていく一方で、いつからか八一が銀子の手の届かない場所へと行ってしまう。
けれども、最初に女流棋士としてタイトルを獲ったのは銀子の方で。その時から、八一が銀子を銀子ちゃんと呼べなくなってしまった場面はジーンときました。
こぼれ話ですが、幼き銀子が感想戦の2人を蹴散らした時に、供御飯さんに八一と呼ぶなと言った意趣返しに、八一は銀子を姉弟子と呼ぶように仕向けられていた、という真相はびっくりでした笑。供御飯さん賢い子。銀子の異名も供御飯さん発ですし。
とは言え、八一の恋心は銀子にしっかり向いている事が今回明らかになりました!八一の田舎の棚田に映る天の川の景色の中、お互いが好き合っている事を確認し、キスシーンまで用意されていた!
銀子による封じ手によって、お互いの思いは一旦保留となりましたが、これまでの齟齬やギスギス感が抜けた事によって、銀子の心は軽くなったのではと思います。
さらには、名人のタイトル百期、最多1413勝で国民栄誉賞受賞の会見では、女性初のプロ棋士の未舗装を駆け抜ける姿を讃える発言があり、それもまた銀子の心に火をつける形となり。
そして、椚創太との再戦において銀子は、ミスもありながらも、自身も将棋星人の一端に触れ、辛勝したのは熱かったですし、対局後に敢えて厳しい発言をしてきた鏡洲さんに喜ぶシーンも良かったです。期待があるからこそ厳しく当たるという優しさ。
過去編に関しては、これまで出てきた回想と被る部分も多かったです。八一が師匠に一手差で負けるよう仕向けられた話とか、八一が内弟子になる時の養育費はいらないみたいな清滝師匠の発言とか好きなんだよな…。
それから、八一が初めて銀子を見た時はお化けかと思ったとか、銀子の振り飛車大嫌い発言とか、研修会の連続対局で倒れてしまったとか、花立さんが壊れるタイトル戦のとことか、桂香さんのカチューシャをお下がりで貰うとか。
あの雪の髪飾りは八一からのプレゼントだったらしく、センス良いな。
そもそもの銀子は体が弱くて、生石さん、辛香さんと同期で小児科医の明石さんが面倒を見ていたと。将棋を指し始めてからは体調も回復傾向に。
明石さんは有望株でありながら、奨励会の人を蹴落とす所業に耐えられずに転職したって話だったけど、実は生石さんの才能に恐れてたという事情もあったらしい。
いづれにせよ、色々繋がっているんだなーと思いました。
そういや、銀子は病院食ばかりだったから、ソースダバダバが好きなのね。まぁ、それで料理の隠し味がバグるのは控えていただきたい所…笑。
今回のbest words
そういえば、封じ手は二通作成するんでした……すみません説明不足で (p.279 八一)
あとがき
ロリ歩夢を溺愛してた桂香さんはショタコンだったのか…。
ラブラブパワーこそ最強。