りゅうおうのおしごと!電子限定版収録文庫 感想 ★★★★

2025.7

今回は、りゅうおし電子限定版です。

電子のみで配信された15.5&16.5&17.5巻を収録した紙の本なのですが、そのボリュームは540頁。17.5巻だけで文庫本1冊クラスという事で、20巻と並んで鈍器です笑。

半年前くらい?から予約していてようやく手元に届き、物質的な本として読んで、またはコレクション出来るのはとても有難い事です。出版業界は大変だと聞くし…。

あい、銀子、天衣とそれぞれの話でしたが、特に16.5巻の八一が竜王になる前後の話は、銀子とあいのその後の行方を占う意味でも興味深かったです。

感想

15.5〜髪を切った理由〜

八一の元を去ったあいが髪を切った(今まで髪を切らなかった)理由に纏わる話。

職質されかけて、対局に遅れて勝てる将棋を落としたあいが、宿の女将が天職だと思っていた母が実は美容師を目指していた過去を知り、自分が好きな将棋が出来ている今をもっと大事にしたいと思ったという感じ。

あいには将棋の才能があって、その上で将棋が好きな気持ちを持ち合わせているというのは、強力な武器なんだなぁと思います。

あいにとっての髪は、八一に見つけて貰えるのではという期待であり、言わば甘えでもありましたが、それを切ったというのが本人の覚悟だった訳ですね。

お母さんに切って貰うというのが親孝行だなぁとも感じます。

好きな事よりも才能を選び、愛する夫を手にした亜希奈さんと、八一への未練を髪と共に捨て去り、才能の行くままに将棋への道を驀進するあいの対比でもある。この頃から勝負は決まっていたのか…。

後ろ髪を引かれるって良い言葉ですよねぇ。

 

16.5〜あねでしのおしごと!〜

八一の初のタイトル挑戦(竜王戦)に姉弟子も同行する話。

碓氷尊元竜王の初出が実はこの話だったようで、第三者目線で八一の天才ぶりが描写されるというのも珍しかったです。

この碓氷さんの神経質ぶりと、それに応える女将(あいの母)のやり取りもまた面白かったです。波の音が気になるとかはこの人だったのね。

神経質なのはマイナスに映りがちだけれども、逆に言えばそれだけ真剣に将棋に向き合っているとも取れるのはなるほどですし、勝負師故なのだと思いました。

優れた刀工が剣術の達人ではないという例えが凄く分かりやすくて、碓氷さんは戦術を生み出す天才だけれども、指し熟すのは名人には劣るという。

描かれたのは3-3で迎えた角番のみでしたが、銀子の八一が竜王になる事への葛藤みたいなのもあって、切なさも感じました。

あいがフラフラになった八一に水を渡しに行くシーンは有名ですが、あれ銀子も行こうとしてたんだなぁ。

手助けが禁止だから自重したみたいですが、あのシーンがなければ、あいが弟子入りする未来もなかったと思うと運命の悪戯ですね。

あいの作ったお粥も八一の2日目の再起に役立ってるし、八一は運命に味方されてました。

また、控え室の面々が気付いていない詰みに八一は気付いていて、評価値が変わっていく感じは熱かったです。手が震えて喉もカラカラで…みたいなのも改めて凄い緊迫感だなと思います。

そして、あいもルールうろ覚えながら詰みに気付いていたというのが脅威の才能でした。

願わくば、打ち上げ後の裸踊りのシーンも見たかった笑。銀子が食レポとか温泉のPRをやったからこそ何とか調和が取れてたっぽい。

輪島名産のかかしという食べ物は、確かにアレの形に似ている…。供御飯さんの平常運転も良かったです。

姉弟子の下着姿のイラストって本編で無かった?気がするので、ここの挿絵は貴重かな。文中でも密かな八一好き好きモードで可愛かったです。

 

17.5〜天ちゃんのおしごと!〜

〜福男レース〜

八一が福男レースに出場する話。きっかけは、姉弟子と弟子に逃げられた悪運に対して、天衣が助言した事。1番福ならテレビにも出られるよと。

あれよあれよと中二こと波関五段に陸上を教わる事になったり、福男レースの蘊蓄なども出てきて、勉強になる部分もありました。

八一も八一でランナーズハイにもなりかけてましたし笑。

クジも良く、途中までは1位を走っていたものの、最後で転倒し(怪我はせず)敗北。何故か久留野先生から教わった太極拳が役に立ってたのは面白かったです。

 

〜天衣お嬢様、自転車に乗る。〜

天衣が一日署長の依頼を受け、それに伴い八一が自転車の乗り方をレクチャーする話。

因みに、夜叉神グループは警察とも癒着があるらしい…。

神戸の人は自転車乗れない、は正確ではないようですが、坂が多いとか、天衣の場合は車移動が多いとかで、自転車に乗れなかったらしい。

そう言えば、天衣があいを淡路に対面させた時は自転車に乗ってなかったっけ?と思いまたしたが、ここで練習したおかげかな。

ストライダーというのを初めて聞きましたが、ペダルがない二輪車らしい。これで平衡感覚を養うのだとか。

プライドの高い天衣お嬢様でしたが、当日は自身の両親を事故で亡くした事も絡めながら、レクチャーしてて逞しかったです。

小学校行き慣れてますから!で地雷を踏む八一が面白い。八一と晶さんと良いコンビ。

 

〜淡路、誕生〜

AWAZ(アワーズ)が淡路となる話。

と言うと何言ってるか分からないけれども、天衣の両親が残したスパコンのAWAZに「I」を加えて、淡路という名前になったというのは良く出来てるなぁ。

時期的には天衣と登龍のタイトル戦の話で、ロリ評価関数と対抗しながら、天衣は理研の職員である大塔ヒヤリとAWAZをより強い将棋ソフトへと昇華させようと試行錯誤する。

がっつりAIに纏わる話となっていて、天衣の出番と絡めてこの話題をやっていくのは、展開的にも上手いなぁと思わされます。

確かに、ソフトがない時代は人間による独創的な手が周囲を惹きつけたのに対して、ソフトが出てしまえば、その手が悪手かどうかすぐに判断され、競技性も変容してしまった訳ですね。

にしても、将棋の正解を探るという重い役目を女子小学生が担っているというのだから、改めてりゅうおしも凄いとこまで来たなと感じます笑。

天衣にとっての八一は、好きは好きだとは思いますが、一緒にいて欲しい存在って感じなのかなぁ。

今回のbest words

お湯、抜かずに残してきたから。後で飲んでいいわよ (p.105 銀子)

→終始デレてる気が…

あとがき

ifルートとか八一と供御飯さんの天橋立の夜とかも読みたいですね笑。

感想戦は、高槻観光。不良の月夜見坂さんは田舎に親近感を覚える模様。