今回は、ハルヒ4巻です。(再読)
いや〜、面白かったです。朝起きたらキョン以外の日常がこれまでの認識とずれていて、他人はそれをおかしく思っていない状況から始まるのですが、このストーリーを1巻でやったとしても面白いだろうに、これまでの話があるからこそ更に面白くなっていたように思います。
キョンがハルヒに振り回される今をどう思っているかを試される話でもありました。
あらすじ
クリスマスに向けて、ハルヒはSOS団で鍋パーティーの計画を暴露する。その翌日、普段通り学校に向かったキョンは、教室にハルヒがいない代わりに朝倉涼子がいる等、昨日と変わり果てている事に気付く。
光陽園女子は共学となっていて、そこでハルヒと古泉の姿を発見する。何とか事情説明に成功し、事情の分からない朝比奈さん、無表情では無くなった長門を加えて、文芸部に集うと、古びたOSに長門からのメッセージが届く。
感想
未来とか過去を考えた時に、この出来事があったからこうなったとか、過去の自分を側から見ていたり(勿論当時の自分が見られている事には気付かない)、辻褄合わせとか、そういうSF要素って改めて面白いなぁと思いました。
と同時に、考えれば考えるほど自分が死んだらどうなる?という命題に似た、答えの無い思索の渦に巻き込まれていくような感覚もあり…。
今回の話は、ぶっちゃけハルヒがキョンと閉鎖空間に閉じ籠って世界を改変しようとした時の長門有希バージョンでした。
最初こそ何がこの状況を引き起こしたのかと分からない部分もありましたが、この状況で得をした人物、現象を起こせる人物と犯人を絞っていくと自ずと浮かび上がってくる感じがありました。ある意味ではミステリ的な楽しみ方も出来る。
SOS団がない一方で、普通の控えめな女の子に変わった長門は、これはこれで良かったです笑。長門有希ちゃんの消失という派生作品が出るのも頷けるギャップ萌えです。
で、シンプルにキョンと淡い恋を演じそうな長門だったので、ハルヒの力を借りてこの世界を作り変えたのは、キョンとのやり取りを独り占めしたかったからなのかなぁと思いました。となるとヒロイン力も高い。
一応、当初の長門からは少しずつ感情の起伏が現れてきていたとか、カマドウマの件とか伏線擬きはあって、ただ、本文中では長門の恋愛感情というよりかは、蓄積されたエラーが原因とされてました。
さらには、終盤世界を元に戻そうとしたキョンを、朝倉さんがナイフで刺すシーンがあって、どうやら長門のバックアップ的な役割だったとされていたので、これをキョンへの恋愛感情の否定と取るか、暴走の抑制役として長門の意思とは別な行動なのか。
後者の方がロマンチックなので、そう受け取りたいとは思ってますが…。長門が胸臆で作りたかった世界みたいな。文芸部にハルヒ達(=キー)を集める事で抜け道を用意していて、キョンに洗濯させたというのがまたいじらしい所でもある。
凶刃に倒れるバッドエンドかと思いきや、これもまた時間の流れとしては改変出来ない事項のようで、紛らわしくなってきますが、そのまた未来のキョンが過去に戻って長門の改変を戻したから、結果的にはキョンが刺された事実は夢オチ的な形で収束したのかな。
そう言えば、階段でキョンを押した少女ですが謎のままでした。朝比奈さんと長門の力を借りてもう一回過去に行く必要のあるキョンなので、朝比奈さんが突き落として、長門が何らかの力で衝撃を無くして失神だけさせたみたいな感じでしょうか。
さておき、長門(のツンデレかどうかは分からないですが)も良かったですが、何よりキョンが階段から落ちたことになって入院した時に、動揺していたらしいとか、寝袋で寝泊まり看病していたとされるハルヒが、やはり強かったです。まぁ、ある意味今回キョンに改めて選ばれた立場でもあるんですけど笑。
あと、古泉はハルヒを多分好きなんだろうな。長門の変えた世界は長門以外は記憶は違うにせよ性格は同じだったらしいし。
ジョン・スミス再登場の嬉しさもありました。
今回のbest words
いてもいなくても迷惑なんだから、肝心なときくらい出しゃばってこいよな。たまには俺の願いを聞いてくれてもいいだろうが…… (p.101 キョン)
あとがき
サラッとエンドレスエイトの話が出てたけど、執筆順どうなってるんだろう。今回は冬だから時系列ではその通り。
谷川さんの過去話のあとがきもうちょっと細部を聞きたいな笑。