涼宮ハルヒの暴走 感想

2004.10

今回は、ハルヒ5巻です。(再読)

短編集というか、雑誌掲載の3本が収録されていました。少し読むのに時間が掛かりましたが、やはり面白かったです。

この中で1番長い3本目の話は、確かアニメ化されてない部分だからか再読とは言え新鮮に読めました。数学知識が入ってくるのも、物語シリーズ同様で好きな点。

感想

エンドレスエイト

夏休みの後半2週間を、記憶がリセットされ無自覚に何度も繰り返していた話。

アニメでの演出が話題を生んだ回ですが、文庫本のページとしては80頁弱。というのも、繰り返していた部分の記憶は闇に沈んで、抜け出せた時の1回だけをなぞっている為。なので、小説として読む分には心に優しいと思いました笑。

最近は身の回りで起きる不思議現象は誰の何が原因?という話題にシフトしつつある中で、これは正真正銘ハルヒが元凶でした。

案外、夏休み初日に孤島に行ってからはSOS団の活動は下火になっていたものの、後半は怒涛のイベント消化になってました。こんなに、遊び尽くしても足りないと思えるハルヒが眩しい。

結局、1万回以上のループを脱出出来たのは、キョンが最後に自身の夏休みの宿題を追い込みで終わらせよう!と勉強会に誘った事でしたが、9月になった時の安心感は凄かっただろうと思います笑。

因みに、ハルヒは宿題をすぐに終わらせて後半目一杯遊ぶ派のよう。ハルヒも無自覚でループを起こしていた筈ですが、キョンの宿題が正解だったというのが、何ともキョンを何だかんだ気にしてるのかなって感じです。

あと、ループした時に前の記憶がリセットされるのが肝でした。記憶がリセットされてなければ、あまりにも長い年月に人間の精神が持たないので…。長門だけが意識を保ったまま観測し続けていた…。

この話を見た後だと、デジャヴを起こした時に実は途方もない数のループを裏ではしていたのでは…と考えるようになってしまいますね笑。

射手座の日

コンピ研部長がPCの奪取に、部で自作したゲーム《The Day of Sagitarius3》で勝負を挑んでくる話。

因みに、サブタイから射手座の人の性格を調べて見ると、好奇心旺盛とか出てきてハルヒっぽさを感じさせますが、長門が中心な話だったように思います。

そもそもPCを奪ったのはハルヒなので、負けて元々と思っていたキョンでしたが、古泉が言うように、負けても説得出来うるキョンハルヒ対応としては凄いと言える。

ゲームは宇宙艦の戦闘シミュレーションのようなものでした。負ける気で挑んだものの、敵側が索敵やワープ機能で不正を働いた事で、考えが変わっていく。と言っても、目には目をではなく、あくまでフェアプレーで最終的に勝利。

まぁ、長門の高速タイピングでの20機同時並列操作やハッキングがあってこそなので、グレーと言えばグレー笑。

この勝負によって、逆にまた人数分のPCが配布されることになった他、長門は時間がある時はコンピ研に顔を出すように。少しは我が出てきたとも言えるのかな。

雪山症候群

孤島に続き、雪山への合宿。今回は古泉が一芝居打つと明示しているのと、別荘提供の鶴屋さんキョンの妹、シャミセンが参加。

穏やかな推理ショーが見られるかと思いきや、吹雪で遭難しお誂え向きに現れた洋館に閉じ込められるという話でした。元凶が明かされてないので、今後の展開に向けての分岐点的な立ち位置でもあるように思います。

ハルヒが、キョンに有希を見過ぎではと言っていたのはある意味、ハルヒが元凶でなかったのでミスリードとも言えるのかな。というか、咄嗟に長門が転校しそうだからと嘘をついたのは何かしら伏線になるかも?

というか、元凶もそうだけど現象も謎のままでした。いつものように、古泉がSFチックに解説してた説が興味深かったです。今の自分達は本来の自分達をコピーしたもので、箱庭のような形で実験させられてたのでは、みたいな。

まー、ある意味で竜宮城が例としては1番しっくりくるんですが、屋敷の中でも時間の流れが場所によって違ったのは、本当に謎でしたね…。最終的な偽りの解釈として説明された集団催眠は、ハルヒとしては納得してたのだろうか。

ユートピアディストピアは表裏一体といった発言も、今回の現象に対しては的を射ていたように思います。望んだ物が手に入る自由はあるけど、鳥籠の不自由さがあるような。

今回の出来事は、長門に標的があったようで、SOS団としても長門を突かれると弱い点が露呈してました。また、明確に敵の存在が見えた回でもありました。

何とか長門が倒れる前に残した暗号やヒントのお陰で脱出出来たので、消失の件でまだ過去に行ってない心残りも繋がりそう。ハルヒの力が弱まってきている?とかは懸念点でもある。キョンの妹が朝比奈さんの方に懐いたのもそのせい?

暗号については、オイラーの多面体定理が使われていたようです。3次元なら、頂点の数-辺の数+面の数=2で、二次元なら必ず1みたいな。

あとは、鶴屋さんが何者?ってのも気になった所ですね。キョンと同じ一般人と言いながら、SOS団の特殊性に気付いていたり、何なら今回の場所を提供した彼女が怪しいとさえ思える。

ハルヒが身近に置いてない時点で異世界人とかそういう族種じゃない説もあるので、微妙な所ではありますが…。というか、キョンも本当に一般人枠認定で良いのか。

ハルヒの力が弱まっていく事は、普通に考えたら良い事なんだけど困る勢力もいるんだろうなという事で。

今回のbest words

今回が、一万五千四百九十八回目に該当する (p.57 長門)

あとがき

ハルヒって料理も上手かったんだな…。あと、面白い方向に行くために他と同じ事はしないと言ってたのも印象的でした。

それから、今作はSFの面白さも見せてくれてるなーと改めて思いました。