妹さえいればいい。10 感想

妹さえいればいい。10


今回は、妹さえ10巻です。

前回のシリーズ屈指の千尋の告白があって迎えた記念すべき10巻、案外すんなりと進むのかなぁと思いましたが、最後に落とし穴が…。

感想

全体としては、ラノベ作家としての光と闇が描かれていたという印象でした。

まず始めに、伊月の父啓輔と再婚相手の棗の馴れ初めの番外編。妻の和花を病気で亡くした啓輔がワーカホリック気味になりながら、後輩に勧められて行ったキャバクラで出会った棗と結婚を決め、丁度そのタイミングで伊月が新人賞を受賞し、その内容が妹萌えであり、結婚を諦めかけたところで、家族に憧れる千尋が弟となることで解決したという話。

キャバ嬢の「なつ」ではなく、「めぐ」が棗さんだったというのは少し騙されました。

そして、妹であることを告白した千尋は咄嗟に誤魔化すけれども、それを逃すまいというタイミングで刹那が来て、公然の事実になると。呼び方に戸惑いはありつつも、割とあっさり面々には迎えられて、表面上は伊月も変化なしといった感じで、言ってしまえば拍子抜けくらいの感覚でした。

それからというもの、千尋はこれまでの事が嘘のように女の子として魅力的なキャラになってますね。服装然り口調然り。なーんか春斗と千尋が結ばれるフラグが立ち始めてる気がするけど、京もいるしうーん。

初の作品の打ち切りを始め、新人賞作品の売れ行きも数字として出てきて…というのは現実的な話でした。正に、砂漠という比喩がしっくりくる。とにかく頑張るしかないんだなと。

撫子と伊月の交流シーンもあって、神経が衰弱しない『イチゴリラ』や『どうぶつしょうぎ』をやってました。撫子ちゃん将来は才女パターンだな…。将棋であいちゃんになるのは笑いました。

そういえば、3年ルールって出て来ましたが、最近ガガガ文庫とライトニング文庫で同時に賞を受賞した人がいると聞いたんだけど、その場合ってどうなるんだろうね…。ラノベ業界としてみれば良い話なんだろうけど。あとは、物事は色々な側面から判断しないと正確な結論は出せないなぁと。

そして、作家としての光のシーンとしては、台湾でのサイン会。伊月と蚕が参加してましたが、この2人ルートもあり得る訳ね。蚕ルートを見てみたいと思ってしまうということは、蚕もまた魅力的なヒロインなんだなぁと。

また、世界にも販路があって、ファンの熱い声援があるのは良い事だと思うし、作品の逆輸入というパターンもあるんだなと。高級食材を食べたり、観光したりと満喫して順風満帆に見えたんですが、最後でやはり千尋のカミングアウトが伊月に重大な影響を与えていた事が明かされる。

自分のデビュー作を見て稚拙だなと感じることはあっても、気持ち悪いとなってしまうのは重症だな…。人間として成長した一方で、尖った感性を失ってしまったというか。奇しくも、伊月の父が願った通りになったことで、小説家としての危機に陥ったと。アニメ化の成功で原作の売上は伸びたんですが、ままならないねぇ…。

そういや、ガガガ文庫って小学館でしたね!

今回のbest words

熱い!なんという凄い戦いなんだ!具体的にどう凄いのかと言われると困るが、なんとなく熱い!まるで将棋だな! (p.106 羽島伊月)

あとがき

大分前から伊月に妹が出来たら…という伏線が張られていて、表面上は何ともないように見えてましたが、妹キ●ガイをしても影響は大きかったようで。こうなると、妹萌え路線から外した新境地の作風にするか、やっぱり妹しか勝たん!っていう出来事があるか…。

那由多が20歳になってお酒を飲めるようになったのも大きいですね。那由多の親の話はいつ出てくるのやら。那由多は、元々完成してるので年齢的な成長のみが目立ちますが、京はコネに頼らない方法で編集者の内定を得、春斗は流行を読んで作品に反映させる職人気質から自分の書きたいものを書こうとしたり、みんな精神面での成長も見られて良いですね。

そういえば、オクリッシュって何ですか?