今回は、劣等生22巻です。
話が全く繋がっていないという訳ではないですが、下巻と言いながらも、上巻とは違った敵でした。達也の孤立への道筋と見れば繋がっているかな、という感じ。
あらすじ
二十八家の会議を、結果として非協力的な態度で終えた達也であったが、真夜は四葉家の意向としては二十七家との対立を容認するのだった。
中央政府の最終防壁とも呼ばれる十山家は、達也の国防軍への妨げになるかのテストの一環として、詩奈を訓練という名の拉致監禁を決行。それに対し、一校の面々は詩奈が誘拐されたと判断し、捜索を始めていく。
感想
今回みたいな内容はアニメ化するのは難しいんだろうなぁと思います。三矢家と十山家と国防軍の力関係の背景のとか、四葉家とバランス大尉とか、リーナと八雲の関係性の説明とか。
今回のメインは、遠山つかさによる達也の国防軍への反感具合のチェックでした。訓練の捕虜として詩奈を籠絡しつつ、公には何も知らせなかった為に侍郎ほか一校生の面々は誘拐だと思い、詩奈を捜索するというのが、今回の話。
つかさの達也の調査は笊で、詩奈を奪還しに来る行動予測は外れていた訳で。ある意味冷静だったのと、USNA軍に恩を売るという任務も事件の裏側ではありました。日本軍も、意外と非合法的な手段を使うんだな…と感じましたが。
今回の件で、リーナとの共闘が今後あったりするのかなとか、やっぱり国防軍と対立する未来なのかなとも思ったり。ただ、上巻の敵の方が優先度は高そうですけど。
前回の終わり方が、二十八家の若者たちを中心とした反魔法運動への対処の会議で、達也の非協力的な判断という体でしたが、あれは正論でしかないと思いますね。
能力を持っている者がどうしたって、能力のない人から見れば不安要素でしかなく、歩み寄りは難しいという話。そしてこれが魔法使たちの中でも四葉家とそれ以外という構図でもそっくりだなとも感じました。
そもそも、あの会議で深雪を広告塔にするみたいな話に傾きかけてましたが、そりゃ達也から見れば反対するでしょと。達也でなくても反対したくなるよねと。
確かに、十師族として魔法師たちの規範にみたいな暗黙のルールはあるのかも知れませんが、婚約者をマスコットにしたがる人なんていないでしょと。ここの部分は、同調圧力で説明されていましたが、達也に賛同する人がもっといてもいいのかなーと思いました。
面白かったのは、達也が克人、真由美、摩利に会議後のことで呼ばれて、真由美が少し遅れて座敷に入って来た際に、「いえ、我々も今来たところです」と答えたシーン笑。同じ過ちは繰り返さない。
あとは、エリカの心境の変化が随所に描かれていました。侍郎を鍛えていることもそうですし、レオのラッキースケベ?とか、直情径行でなくなっていたり。この変化については、やはり寿和の死が影響しているようですね。
ただ、復讐のベクトルが達也に向いている訳ではないようで、安心したというか、これもエリカの強さなのかなとも思います。巻き込まれ体質の達也の割を食って死亡した寿和だけれども、恨むべきは運命に抗う力が無かったからで、それもあって侍郎を鍛えてそのテストケースにしていると。
そういえば、光宣が水波を可愛く思うシーンがありました。このカップリングもワンチャンある…?
あとがき
何か凄く面白くなってきたなぁというのを沸々と感じます。20巻を越えての安心感と、これからの展開がどうなるかのワクワク感。
克人とは一度干戈を交えるんだろうなぁ。
また、達也が深雪至上主義というのは、不変の事実ということで、そこもまた一途で良いですね。
2022.7.5